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- 弱ペダBL小説 真荒 「いつまでも」
- 日時: 2017/11/30 02:43
- 名前: 齋木怜人 (ID: lHq5KZGM)
※誤字脱字おおめにみてもらえると助かります。できれば最後までお付き合いください!
「いつまでも」
これはとある男子高校生の恋の物語。
(1)
学校からの帰りの電車はいつも混雑している。それは今日も例外でなく、いつにも増して人が多いような気がした。次の電車は1時間後…。受験生で時間を無駄にしたくない自分にとって、この電車は逃したくなかった。人と人との間に器用に体を滑り込ませた直後、電車は俺を乗せて走り出した。
1人の電車が寂しいと感じるようになったのはアイツのせいだ。付き合ってから一緒に通学するようになって、それが当たり前になっていたことに今さらながら気づく。真波のストレートな告白と…なんてそんな話はまた別の機会にでも話すことにしよう。今日は人が多いからか、真波の姿を見つけることはできなかった。やっぱり駅での待ち合わせは止めた方がいいのかもしれない。部活を引退して、ただでさえ会える時間が少ないのに、こんな日が続いてはきっと真波不足で死んでしまう。大好きな人に、はやく会いたい。流れていく景色を眺めながらそんなことを考えていると誰かの手が俺の太ももに触れたような気がした。人が多いからただぶつかっただけなのだろうと思い、暫くそのままにしていたがどうやら本当の痴漢であるようだった。こんな男なんか触って何の得があるのか俺にはさっぱり理解できなかったが、流石に気持ち悪く思いその手をきつく握り、文句を言いながら振り向こうとした。
「おいっ!お前さっきから何して…っ!」
後ろを振り向く前に頭を強い力で抑えられ、その人は俺の手を不自由にした。そして俺の耳元でこう呟いた。
「ここ、電車だから静かにして。みんなに見られるの嫌でしょ?」
俺は周りを見渡してすぐにこの状況を把握した。皆には俺が痴漢にあっているとは気づかれていないのだ。ただ、俺が少し大きな声で話してしまいこっちをやや注目しているようだった。
「気持ち悪いからやめろ。」
「そんなこと言って良いのかな?」
「…は?どーいうことだヨ??」
「真波山岳君を知ってるよね、荒北君?」
自分の名前に加え恋人の名前まで知られていることに恐怖を感じる。嫌な予感がする…、そんな気持ちを抱きながら俺は慎重に言葉を選ぶ。
「どうしてそんなこと聞くんだヨ?」
「真波君と君がどういう関係なのか、知ってるんだよね〜。男子同士で付き合ってるとか皆に知られたら困るよね?」
「はっ、脅しかよ」
「うん。俺、君に一目惚れしちゃったから。付き合って欲しいんだよね。別に2番目で良いからさ」
「はァ!??何言ってんだ気持ちわりー。大体お前の顔もよく見てねーのに…」
「大丈夫。後でちゃーんとみせてあげるから」
「…とにかくっ!俺はお前とは付き合わない」
はっきりと自分の言葉を伝えたが、いつの間にか俺の降りる駅についていて、その人は俺の腕を掴んで強引に連れ出した。何で降りる駅まで知ってんだよ…。自分の腕を掴む力の痛みと言いなりになっている自分が嫌で顔を歪ませる。電車を降りて、人気のない建物の中の壁に俺を押しつけ、顔を近づけた。中年のおじさんを想像していた俺にとって、目の前にいる高校生とみられる若い容姿に驚いた。
「想像と違った?」
こいつは俺の心までよめんのかよ。
「まぁ…な。…どうして女に不自由しないような奴が俺なんか好きになるんだよ?」
身長が高く、すらっとした体型、整った顔。こんな奴が何で俺なんかを気にしたのかが分からない。
「んーーと、俺もよく分かんない。“一目惚れ”って説明できるものじゃなくない?」
「とりあえず、さっきも言ったが、俺はお前と付き合う気はねー。俺は真波が好きだから。…っお前何してんだヨ!?」
急に唇を重ねられ口を塞がれた後、舌が中に入ってきて呼吸を乱される。
「てめぇっ…!何すんだっ…//」
「荒北さん何してるんですか?」
怒りを含んだ凛とした声がその場に響く。
「っ…真波」
「どういう関係なんですか」
足早に詰め寄り、この状況を問いただす。どう答えたら信じてもらえるのかが分からずそのままでいた。
「言えない秘密の関係かな?」
そう言ってそいつは不気味な笑顔を真波に向ける。
「もうやめてください。行きますよ荒北さん」
真波は強引に手を掴み、俺を連れだした。
(2)
連れ出してから一言も口を聞いてくれない真波は足早に家に帰り、ベッドに俺を押し倒していた。こんなに怒っている真波は今まで見たことがない。
「なに…してたんですか…」
「その…えーと、痴漢にあった…」
「あの人に?」
「そうなんだけど…信じれないかやっぱり…」
「何でキスなんかされてたんだよ。荒北さんもイケメンに迫られてその気があったんじゃないの?」
「それはっ…力が強くて離せなかっただけで…
真波しか好きじゃないっ!」
少し無言になった真波は俺の言葉が真実かを考えているようだった。
「あいつにどこ触られたの?」
「…太もも」
真波はあいつが触った俺の太ももを触る。
「こんな感じで?気持ち悪い?」
「ま…なみに触られると体おかしくなっちゃう…なんか熱くなる…っ///」
そして真波は必要以上にあいつの触れたところを触り、たくさんのキスをし、体中に痕を残した。
「あ…らきたさんっ、すきっ…大好き」
「俺もぉっ…もっともっと真波でいっぱいにしてぇっ?」
「あいつのこと忘れるくらい酷くしてあげる。
上書きするから、俺のことだけ見て。」
返事の代わりに俺は真波に唇を重ねた。
(3)
「さっきは、きついこと言ってすみませんでした。俺、自分に自信がなくて…。」
「いや、あれは俺が悪かったし、こっちこそごめん…」
そう言うと真波は俺に抱きついて、胸に顔をうずめた。
「荒北さんと会える時間少なくて、俺よりもいい人たくさんいるから不安になっちゃって…。荒北さんのこと信じられなくてごめん。大切な人のこと信じられないなんて、恋人失格だよね……」
涙を流しながら自分を責める真波の姿に心が痛んで
俺は真波のことを強く抱きしめかえした。
「お前が怒ってくれたのは、俺のことが、本当に好きだからなんだろ?あの状況で怒らない恋人の方が失格じゃないの?それに、1番駄目なのは俺なんだよ。お前のことを傷つけて、そんな顔させるなんて…本当にごめん。」
「俺、荒北さんのこと大好きだよ。今も、これからも絶対なんてないっていうけど、俺は絶対に荒北さんのことを好きで居続ける。だから、もう不安にさせないで、ずっと傍にいてほしい…」
「うん、一緒にいよう。今日みたいに1人にしない。嫌なこととか不安は全部俺に話してほしい。」
「…ありがとう」
ぎゅっと抱きしめられた暖かみと、真波の涙から溢れる悲しみが入り混じって胸が苦しくなったことを俺はこれからずっと忘れないだろう。
「こんな俺のこと好きになってくれてあんがとネ。」俺は大切な人にそう告げた。