BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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【おそ松さん】ある噂(チョロ松総受け)
日時: 2017/12/17 03:09
名前: 大福 (ID: B2tgeA34)

※学パロ?もはやパロディ通り越してキャラ崩壊。
※割とモブ女が出っ張る。
※お坊ちゃん兄弟達×三男(しかしおそチョロ要素が多い)
※シリアスにしたつもり。

初投稿で至らぬところも多いかと思います…!!なにか問題点がございましたらコメントお願いします<(_ _)>


__________________

Side 赤

『松野』
その名前を聞いたことがないと言う人は少なくともこの国にはいないはずだ。
街を歩けば必ずその名が入った広告が貼られ、テレビをつければその名でCMが流れている。
日本で最も有名な企業であると言える。が、その実態はよく分かっていない。
実は社員は数人だけとか、裏でヤバいことをやっているだとか噂は絶えない。その中には松野家のあの五つ子は実は六つ子である、という噂もあった。



無駄に黒光りしている車から降りれば視線の集中砲火。
まぁこんなこと『松野』に産まれたときから、いや産まれる前から分かり切っていた。
周りから期待され、自分勝手に振る舞うことは許されず、いつも良い人間を気取って、そういう人生だと決まっていたのだ。
しかし俺が、俺達がこんなに注目を浴びる理由は『あの松野の御曹司』だからというだけではないだろう。
俺達は世にも珍しい〝五つ子〟なのだから。
教室に入り、自分の席に座る。高校に入って二年目になっても周りは俺達を異質としているようだ。
「おはようございます、おそ松くん」
「あぁ、おはよう」
よく知らないクラスメートの女子からの挨拶に応える。
俺達の通っている学校は所謂お嬢様学校というやつで、親の社会的身分が高い人間ばかりが集まっている。
そんな奴らにこうやって取り繕って、『松野おそ松』としての面を被る。
出席番号順に並んでいる席で俺の前を陣取る一松は「よくやるね」とでも言わんばかりに卑下た笑みを浮かべた。
お前だってその厚い面を被ってしまえばこうなるくせに。



教室の壁にかけられた時計を確認するとあと五分もしない内に午前の授業が終わるところだった。
聴いているフリをしている授業が早く終わらないかとこっそりあくびをした。
「…じゃあ今日はここまで」
先生の声と共にチャイムが鳴る。号令がかかり、腰を曲げると俺はすぐに教室から出て行く。
廊下ではいつも通り良い人間のままにこりと人好きするであろう微笑みを浮かべて歩く。
渡り廊下を過ぎ、階段を上れば見えてくるサロンの扉に手をかけた。
サロンはガラス張りで白が基調とされている。中心に円型のテーブルが置かれ、それを囲むように三脚の椅子、その後ろにはワインレッドのソファーが置かれていた。
太陽の光が多く射し込むその場所は俺はあまり好きではなかったが、学園内で一目に付かないところと言ったら旧校舎のここくらいなんだろう。
このサロンは入学したときに少し改装させてもらった。学園側も多く寄付金を渡しているからか強く言えないようだった。結局のところ人間は権力に弱いらしい。
座り心地の良いソファーに腰掛けている間に兄弟が揃った。
無駄にデザイン性を重視したせいで着にくい白色の学ランを脱ぎ捨ている俺を見たカラ松は苦笑した。
そんなカラ松も学ランを脱いでシャツを第二ボタンまで開けていた。
一松はマスクを取り出して顔半分を覆う。そっちの方が落ち着くらしい。
十四松の常に笑顔で細められている目は開き、薄暗い。
トド松はいつものアヒル口をやめて無表情でスマホを覗いている。
これが本当の俺達。誰も、親さえも受け入れてくれない本性。
誰かの鼻で笑う音が聞こえた。
天井を見つめた俺はふと小学生の頃を思い出した。



俺の相棒。大人に秘密でイタズラをした。よく一緒に馬鹿をした。
「なぁ!…ろ…つ!」
「なぁにおそ松兄さん?」
呼びかければいつも優しく微笑んで、手を伸ばせばいつもその手を迷わず取ってくれた。
俺にはそんな姿がガラスのように綺麗で、儚く見えて、それで、どうしたんだっけ?
ある日両親に家を与えられた。
兄弟で住みなさい、と。
お手伝いさん、庭師、運転手、家庭教師、その他諸々も与えられた。
それでも何か足りない。欲しいものが買えるだけのお金も貰った。
それでも何か足りない。欲しいものがある。足りない、足りない、でも何が?
『おそ松兄さん?』
嗚呼、これだ俺が欲しかったのは、これだ。
欲しいものに気付いてから気付いた。他の兄弟も同じものを欲しがっていると。
皆獣のように瞳を光らせて今か今かと狙っている。でもアイツは渡せない。じゃあどうすれば?
昔父が言っていた。「欲しいものはどんな手を使っても手に入れるべきだ。後悔こそが敵だ。」と。
中学生になる頃、制服を五人分頼んだ。
皆で計画したんだ、お前を俺達のものにする方法を。
やっと手に入れたガラスは砕け散っていたけどそれでもかまわない。欠片だけでも欲しかった。



木造の江戸時代の屋敷のような造りの家の前に車が留まる。
俺達はそこで降りると塀をくぐって扉を開けた。
「おかえりなさいませ。おそ松様、カラ松様、一松様、十四松様、トド松様」
「ん」
返事もそこそこに家の奥へと向かうと牢獄のように檻の付いた薄暗い場所に当たった。
ここの檻を開けて更に進めば地下室が出てくる。そこに俺達の愛しの姫はいるわけだ。
南京錠に手をかけ、ポケットから鍵を取り出し鍵穴に差し込むと違和感があった。
「カラ松…」
「あぁ」
分かった、と言外に答えたカラ松は一人の家政婦を連れてきた。さっき俺達を出迎えた奴だ。
「ねぇ、ここの鍵穴に今日何回鍵差し込んだ?」
この人には唯一この鍵の向こうにいるアイツの昼食を渡すことを許可していた。
檻を開けて飯を置いて、そして空になった食器を持って行く。つまり四回で事足りる。
「よ、四回です」
嗚呼、本当のこと言ったら許してやろうと思ったのに。
「嘘は吐かないでくださいよ、六回か八回ってところですよね?」
トド松がにこりと笑って尋問する。
「な、なんでそんなこと、」
「分かるんだよなぁ、いつもよりホラ、鍵穴が柔らかくなってる。」
俺が問い詰めると家政婦はカッと顔を赤くした後、青ざめた。
「どういうことか、教えてもらえる?」
「チョロ松様が…外に出てみたいと、そうおっしゃったんです。」
「それで、出しちゃったと、」
「でも、私がずっと見ていたので大丈夫かと…」
そう言った瞬間カラ松が家政婦の頬を殴った。
「何が『私がずっと見ていた』だ、ふざけるな」
「あなたみたいな人間がずっと見てていいほどの存在じゃないんですよ、チョロ松兄さんは」
カラ松は思いっきり表に出して、トド松は表に出さない分陰湿に、確実に怒っていた。まぁそれは俺達兄弟全員に言えることだが。
「ねぇ家政婦さんどうせ最後なんだからそんなに見たいならチョロ松兄さんのことたっぷり見せたげる」
「おぉいいね、ソレ」
ヒヒッ、と十四松の提案に一松が乗る。
「もちろん、ずっと忘れられないぐらいにね」
俺の言葉に同意するかのようにカチャリと鍵の開く音がした。



「ん、にいさっ、やぁ…」
「イヤじゃないでしょ、チョロちゃん?」
キスだけでトロトロになってしまったチョロ松はちらりと家政婦の方を見た。
「だって、見てるもん…」
「そう、見せてるの。」
「悪趣味だよ…おそ松兄さん」
「今さらでしょ?」
にこりと微笑めばチョロ松は諦めたようにそうだね、と言った。
「あなた達は狂ってる…!!」
ずっと地下室の隅で俺達を見ていた家政婦は泣き叫ぶように言った。
「そうさ、狂ってるんだ。ずっと前からな」
カラ松はそう言うとチョロ松の細い腰を抱いた。
「今日は俺が一番乗りね」
「まぁたおそ松兄さんが一番最初なの〜?もお!」
トド松の形だけの抗議を聞き流してチョロ松の首筋に唇を落とす。
チョロ松はくすっぐたそうに笑う。
「ねぇチョロちゃん、今日はチョロちゃんからやってよ」
そう言うとチョロ松は恥ずかしそうにコクリと頷いた。この子は俺達に逆らう術を持っていない。
チョロ松の首輪が揺れた。
「家政婦さん、よぉく見ててよ」
十四松に取り押さえられて顔を無理矢理俺の方に向けられた家政婦の目は恐怖で染まっている。
俺の上にのったチョロ松は自分で自分の穴を広げて俺を受け入れようとしている。
「っん、あっ…おそ松兄さん、にい、さっ…」
「あー…やっべ、ははっチョロ松サイコー…」
キュウキュウと締め付けられる感触が堪らない。
「あっ、やっ、やぁあ、んん…!」
「自分から動いて気持ちいいんだ、チョロ松?」
「きもちいっ、きもちいい…!あっ、ん」
「チョロちゃん、俺、イくわ…!」
「えっ、うそ、む、り…あぁあ!!」
チョロ松の中にたっぷり出すとびくりと震えているチョロ松の頭を撫でる。
「にーさ、ん」
「なに?」
「見てるの、イヤ」
「でもチョロちゃん普段から他の四人からずっと見られてるでしょ?」
「皆はいいけど、他の人はやだもん」
そう言って俺の腕にぎゅっとしがみついてくるチョロ松。どうしようもなく愛おしい。
この胸がジクジクと痛むたびお前が愛おしくなる。
「そういうわけだから、さようなら〜」
家政婦に手を振る。彼女を押さえていた十四松はコレどうするの?と首を傾げている。
「意識でも飛ばしといて道端に放り投げときゃなんとかなるでしょ」
「りょーかいです!!カラ松兄さん!!」
「オーケー、ブラザー」
二人は地下室から出ていくと一分ほどで帰ってきた。何をしたかは聞かないでおこう。
「じゃあ邪魔者は消えたし、お兄ちゃん達に内緒で外に出ようとするなんて悪い子にはお仕置きしなきゃね?」
にこりと微笑むと視界の隅で四匹の獣の眼光が鋭くなるのが分かった。



「あっ、あっ、もっ…む、り、ごめんなさい、あっ」
首輪を揺らして謝りながら快感に溺れている姿は滑稽で、愛おしかった。
今チョロ松を抱いているのはカラ松だ。
「ホントいい趣味してるよ兄さん」
「それって俺に言ってる一松?」
「逆にそれ以外にいる?」
ニヤリと口角を上げる一松は俺を見つめた。
「俺にいい趣味してるって言うなら他の奴らもなかなかだと思うけどね」
「ヒヒッ、違いないね…クソ松、俺も入れて」
一松はどうやら飛び入り参加しにいったようだ。

俺達の本性を受け入れられるのは俺達だけ。
チョロ松は中学校にも高校にも行っていない。もう存在しないことになっている。
チョロ松は俺達の全てを受け入れる。本当も嘘も。愛も憎悪も。全て。
『おそ松兄さん!』
その声が、言葉が俺を狂わせる。ずっと狂わせられていた。お前は綺麗すぎた。
『おそまつ、にい、さん…』
だから狂わせてみたくなった。
なにも知らずに快感だけ覚えて、墜ちればいい。
俺の相棒。大人に秘密でイタズラをした。よく一緒に馬鹿をした。
お前はガラスみたいに綺麗で、儚くて、すぐ割れてしまった。
監禁されたと知ったとき、アイツは思いっきり暴れた。それでも一度抱き潰してしまえば従順になった。
そのときに割れた欠片が、壊れた何かが、俺達の胸を刺した。
「あっ、ん…ん、あっ!」
そうやって苦しそうに細められる目は冷たくて、深くて、全て飲み込んでしまいそうで。
アイツを愛おしいと思うほどに胸の傷からは血がドクドクと溢れ出す。
欲しかった欠片を手に入れるたび全てが欲しくなる。
足りないんだ。満たされない。なぁ教えてくれ、お前の本性はどれなんだ。
チョロ松がこちらを向いて微笑んだ気がした。

















Side ?

僕の本性なんてものはない。
だって僕はあの人達なしでは生きていけないから。
僕を造り上げているのはあの人達。あの人達を造り上げているのは僕。
僕の中に僕の部分は全く入っていないんだから本性もクソもない。
だからエラーが起きて、僕は壊れてしまった。
『松野家のあの五つ子は実は六つ子である』って噂は間違いでもないし正解でもないと思う。
あぁそういえばあの家政婦さんはどうなったんだろう…死んじゃったかな。もしそうだったら嫌だなぁ。
兄さん達もどうせ壊すなら感情もなくなるくらいまで壊してくれればよかったのに。もう、疲れちゃった。
そう言っても誰も助けてくれない。
勝手に壊されて、奪われて、閉じ込められて、
だから微笑んでこうやって赦しを乞うんだ。

「僕を消して」


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