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愛情とは複雑な
日時: 2018/01/15 20:47
名前: シキ (ID: nG1Gt/.3)


これは、オレ(山田光輝)とアイツ(佐田一)の物語。

【閲覧上注意】
完全BLオリジナル作品です。
亀レスになるかもしれません。
小説まだ未熟者ですのでご了承ください。

Re: 愛情とは複雑な ( No.1 )
日時: 2018/01/15 21:21
名前: シキ (ID: nG1Gt/.3)


それは、高校一年の春。
クラスメイトを覚えるため、と自己紹介が始まった。名前と一言話して座る様で、ヤツは1人元気すぎるぐらいでクラスメイトの目を引いた。
椅子をガタッと音立てながら引きながら立ったヤツは陽気に挨拶をするかのような笑顔で胸を張っていた。

「佐田一!さだ!いちって言います!オレ、平和主義だから、皆仲良く過ごそうぜ?」

自分の名前は大きな声で、一言は滑らかな発音で話すヤツの声は中性的で、大声でも何故か煩い声ではなくて、耳にスッと入ってきた。「自己紹介で自分のことを平和主義だと言うヤツは変わり種で、ヤツがムードメーカーのような存在になってもおかしくないんだろうな」「それとも、生徒会長を目指してるとかか?」とその時はそう思っていた。それ以外の奴はあまり覚えていない。

アイツに声をかけられたのは次の日だったはずだ。
昼食時、一人教室で、自分の席で食べようと教材を机の中に仕舞い、弁当を出していた時。

「よっ!やまだーだよな?」

声が聞こえてきた方へ顔を上げれば、色白で茶髪の男が立ってる。ソイツは俺の前の席の奴が居ないからかそこに俺と向かい合うように座る。率直に思った事を聞く。

「誰だ」

「佐田だよ!佐田!一緒に食べても?」

覚えられていないことにガーンと一度はショックを受けた顔をしたがコンビニ袋を俺の前に出してきて昼食を共にしていいかと聞いてきた時に思い出した。
昨日の自己紹介で声の心地いい奴か。

Re: 愛情とは複雑な ( No.2 )
日時: 2018/01/15 21:47
名前: シキ (ID: nG1Gt/.3)


「さだ、いち」

「なぁーんだ覚えてんじゃん、記憶力いいんだなぁー」

名前を覚えておこうと呟けば、目の前のヤツは俺の許可なく勝手に俺の机にコンビニ袋から出したコンビニ弁当を置いて、蓋を開けながら呑気に話す。
まだ弁当を広げてすらいない俺に構わず割り箸を割ってはなしを続ける佐田。

「お前の名前は山田だよな?覚えやすくて助かった!オレ記憶力とか皆無でさあ」

実はみんなの名前あんま覚えてないんだよな、これじゃ会話がままならなくて、早く覚えねぇとなー、あ山田はもう覚えた?と、弁当のおかずを食べながら口から呪文のように言葉が出てくる佐田。
人の机に許可なく弁当を置いて返事をしていないのに周りから見れば既に一緒に昼食をとっているこの状況を一切気にしていない佐田に今更何か言おうと言う気にはなれず、俺も気にしないことにして弁当を広げながら話しをする。

「昨日会ったヤツを名前一度聞いたぐらいで覚えられる方が凄いだろ」

「そういう人間もいるだろ?オレはそういう人間が羨ましいぜ!」

「何の話だ」

「そういう人間になりたいって話だよ、それ手作り?」

「は?」

「弁当、手作り?美味そうだな」

「人の食いもん狙うなよ、自分のがあるだろ」

名前を覚えられないという話から弁当の話へ。
会話が次から次へとコロコロ変わる佐田に俺は考えるより先に口が出ていたが、佐田は気にすることなくペラペラと回る口がものを語り、表情もコロコロ変えた。呆れることもあったし、馬鹿なのか?と思うこともあった。昼食の時だけ一緒に居たが、佐田と居るのは居心地が良いし、楽しかった。昼食時が短く感じた。

Re: 愛情とは複雑な ( No.3 )
日時: 2018/01/15 22:07
名前: シキ (ID: nG1Gt/.3)


授業中は別の男子と、休み時間は女子と、時折教室から居なくなっていると思えば授業中は席についていた。

それから、体育の授業の前。更衣室へ向かっている時、後ろから廊下を駆ける足音が聞こえたと思えば隣に佐田が来た。

「よっ!知ってるか?入学したてって学校の体育ジャージ、貰ってないんだとよ。つまり!今日は女子の生脚やイヤラシイボディが見られるぜ!」

と聞いてもいないのに話し始めた佐田。女好きなのか。思春期の男は変態ばかりだからな。話をしながら佐田は親指を立ててガッツポーズをしている。
何故隣に並んで歩いてるのかと聞く程無粋なことはしなかった。前も思ったが、佐田が居るのは居心地が良いからだ。
隣を歩く佐田を見れば、俺に見向きをせず前を見て話を続けている。俺の方が身長が少し高かったことをその時知った。

Re: 愛情とは複雑な ( No.4 )
日時: 2018/01/15 22:56
名前: シキ (ID: nG1Gt/.3)


更衣室で着替え中も佐田は俺の隣にいた。ずっと喋っていたが、時折俺の相槌を待つ時があったから会話してると思ってるんだろう。半分聞いてて半分は上の空だ。コイツはよく喋る。着替えの時に制服を脱いだコイツの体は細身だった。柔道でもやったらすぐに折れそうだと考えながら顔を見れば意外と整った顔をしてる。黙ってれば良いのに、とはこのことだな。

着替えが終わり更衣室のロッカーを閉め、授業場所グラウンドへ行こうとすればまだ着替え終わってない佐田から声がかかる。

「は?え、ちょ、まっ・・・早くね?!」

「遅い、置いてくぞ」

「えぇー!ちょっと待てよっ」

早いと言われて思わず遅いぐらいなら置いていくと口走った後にハッとした。別に一緒に行こうと言ったわけでもないのに何故一緒に行くと当たり前のように思っていたのか、佐田は気にした様子はなく、置いていかれることに不満の声をあげ、焦った様子で着替える手を早めていた。それでもモタモタしていて遅かったが。

体育では体力測定をした。佐田は身軽だが体は硬く、走るのも体力がないせいですぐヘトヘトになっていた。準備運動でグラウンド内3週と、少し走った程度で膝に手を付き地面を見ながら酷い息切れに少し心配になったが、周りが声をかけたことで俺はそれをしなかった。
周りの女子が「大丈夫?」と声をかければ顔だけ上げて「ん、だいっじょうぶ、平気平気」と息を切らしながら掠れた声で苦笑し応える様子にドクッと胸の辺りが疼いた。

Re: 愛情とは複雑な ( No.5 )
日時: 2018/01/15 23:22
名前: シキ (ID: nG1Gt/.3)


俺は自分の気持ちに疎く、それからも度々いや、徐々に佐田は俺のところへ来ることが増えてきた。俺も佐田が居ることに不満はない。寧ろ幸運だと思っていたぐらいだった。
佐田はムードメーカーとはいかないが、周りを嫌う姿勢がないうえ、皆と軽く関わり楽しそうに話す姿勢から誰にも嫌われず、嘘をつくのが嫌いだとかで周りからの信頼も強かった。

そんな佐田が女子に呼び出されることが増えてきた。イジメではない。告白である。気さくで優しくふざける時はあっても嘘のつかない真っ直ぐな姿勢が女子から魅力があると思われたのだろう。

佐田が付き合いを始めた。

それを本人から聞いた時、初めは何か心にポッカリ穴が空いた気がしたが、佐田が付き合ったのは一人ではなかった。それからも告白される度に「いいよ」とOKを出しているようで、付き合いの期間は短く、どれも二ヶ月持つか持たないかだった。女性関係も軽いヤツだと周りは思っていたが、付き合った彼女達が口を揃えて言うのだ。
付き合ってるのに一緒に寝てくれない。付き合い始めて一ヶ月、二ヶ月でそれが無かったぐらいでと思えば、それはいいとしても、キスもしてくれない!手を繋ぐのも!いつも私から!と、切なげに彼女らは女友達と話しているのを聞いた。

別れた彼女達は「佐田が軽い男」だから別れたのではない、「佐田から恋人としての優越感や愛情といったものを感じられなかった苦しさ」から別れを切り出したのだった。

俺は少しホッとした。


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