BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 茨木と菊川
- 日時: 2018/02/28 18:53
- 名前: ぱる (ID: v6.r5O3g)
BL小説ですが、少し過激な表現が入ってしまうことがあるかもしれませんので、苦手な方はUターンでお願いします。
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茨木31歳、職業アダルトグッズ製作代表取締役、普段はのんびりとした性格で世話をしてもらう側だが、嫉妬深く頑固な一面もある。菊川命。α。
菊川26歳、職業フリーター、好奇心旺盛で心と体のフットワークが軽い。茨木のことは好きだが時と場所は選ぶ。男気あるΩ。
喜一21歳、職業フリーター、真面目でムッツリ、菊川と同じバイト仲間で菊川の後輩、菊川に片思い中。一歩踏み出す勇気のないβ。
門田34歳、職業アダルトグッズ製作社員、茨木の部下、一見真面目で冷たい罵倒を言う時もあるが実はドエムでオネェ気質がちらほら。茨木の為なら脱げるβ。
- Re: 茨木と菊川 ( No.1 )
- 日時: 2018/02/28 23:39
- 名前: ぱる (ID: v6.r5O3g)
1.門田の茨木への思い
「できた」
社長室で小さくも満足気に茨木が呟くと同時に部屋の扉が開く。
「社長、今度発売予定の商品サンプルが届きました」
横の長さ30センチ高さが20センチ程度の長方形の小さめのダンボールを両手で持って茨木の前に歩み寄るのは秘書でもある茨木の古くからの友人、門田である。
「おお、門田か。待っておったぞ」
「・・・先程何かされていたのですか?」
社長のデスクに置かれたダンボールを早速開け始める茨木に、社長室へ入ってきた時に聞こえた言葉を思い出した門田は茨木の作業の邪魔にならないように遠慮気味に聞く。
「ああ、新しい商品を考えていてな・・・コレだ!」
思い出したようにダンボールの下敷きにしていた紙を引っ張り出し絵の書かれている方を門田に見せた。
ニッコリと満足気に微笑んでいる茨木に不審に思いながら門田はその紙を手に取りまじまじと見つめては素直に思ったことを聞いてみる。
「これは・・・あの人に使う為のものですか?」
「そうだ」
即答する茨木に門田の言う“あの人”が誰のことなのかは茨木には通じているようだ。茨木と門田は5年前からの付き合いだが茨木との関係が決して短い訳では無い。ある程度茨木の性格を知っているだけではない、茨木の人間関係も知ることになる。特に茨木は満足度を感じたことは殆ど惚気のように口に出す。無意識だから困っていたが今は呆れている。
茨木は五つ下の男と二年前から付き合っている、勿論恋愛感情でだが、二人の間にまだ夜の営みについての話題は出ていないはずだ。
それなのに彼に自分の作ったものを使ってみたいだとか彼に嫌な思いをさせたくはないだとかで、いつの間にかこういう会社を立ちあげる茨木に尊敬出来るほど私は驚いている。
「社長、貴方まだ彼にコレを使ったことないでしょうに・・・よく言いますね」
「なにをいう!使うのだ!これから」
「今夜ですか?」
「今夜ではない・・・が!時期にだ!」
「はあ・・・」
門田に渡した紙を奪い取り否定するところは否定して門田が茨木に呆れてものを申さなくなれば鼻歌を歌って試作品をスイッチで動かして楽しそうにソレを見つめる茨木だった。
- Re: 茨木と菊川 ( No.2 )
- 日時: 2018/03/01 00:33
- 名前: ぱる (ID: v6.r5O3g)
2.喜一の菊川への思い
深夜2時を回った頃、コンビニには定員二人以外に客も人も居ない。
陳列棚の整理をしている菊川に後輩の喜一は歩み寄り声をかける。
「菊川さん」
「ん?どうした喜一」
棚の整理に一度目を向けて商品に視線を戻した菊川は声をかけてきた後輩に何か用事かと聞く。
「何か香水とかってつけてますか?」
喜一は一ヶ月前からコンビニのバイトを始めて菊川と関わるにつれ、ある気になっていたことを聞いてみた。
「っえ?あー・・・臭う?」
下の段を見ていた菊川は肩をピクリと上げては後頭部に手を回し眉を八の字に下げて申し訳になさそうに苦笑いしながら聞かれたことに質問を重ねれば慌てて喜一は否定する。
「あっ、決して!そういう意味ではなく!・・・なんと言いますか・・・菊川さん、いい匂いと言いますか・・・」
男が男に何を言ってるんだと羞恥に顔を赤くしながら俯いてしまう喜一。
「・・・ふっ、あっははっ!君、可愛いなあ!」
3センチ程しかない身長差の低い方の菊川が喜一の肩に腕を回して朗らかに笑う。タコみたいだぞ?と喜一の羞恥を誘う菊川に「うるさいですっ」と返しつつ菊川の独特な甘い香りが近くで匂うことに吸い寄せられそうで両手で顔を覆いながら菊川を見ないようにすれば菊川は片手で喜一の頭をワシャワシャと撫でる。
「んー、君もいい匂いだぜ?」
耳元で聞こえる中性的で落ち着いた声に暫くして、菊川の顔が近くにあることにハッと気づいて思わず突き飛ばしてしまう。
「・・・っ、やめてください!」
「おっ!?とっと!」
突き飛ばした菊川は驚きつつ突き飛ばされた衝撃が強かったのか背後にあった棚にぶつかりそうになって、軽やかに回転して避ける。怪我がなかったことにホッとしたが、突き飛ばした力は強かったので慌てて頭を下げる。
「あっ、すみません!」
「・・・ふっ」
小さく鼻で笑う声が聞こえたかと思えば頭を優しく撫でられる感触を感じて驚きに顔を上げれば「君は色んな顔をするんだな、見ていて飽きないな」そう言いながら綻ばせた顔が目に焼き付き胸を締め付け顔を熱くした。
喜一は菊川の腕を振り払い俯いたまま一人休憩に入ると休憩室に駆け込み扉を閉めて扉を背に深呼吸する。
「・・・人の気も知らないでっ・・・」
一人残された菊川は腰に両手を当て「全く、嫌われたもんだなあ」と吐息混じりに呟きコンビニに来店した客に「いらっしゃいませー」と声をかけつつ切り替えをしてレジに向かった。
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