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- アタシとアイツの恋愛ジジョウ
- 日時: 2018/09/14 01:38
- 名前: おかゆ (ID: 0ymtCtKT)
はじめまして。久しぶりの方はお久しぶりです。おかゆです。
数年前に社会系の方でちょくちょく活動をしていましたが小節が完結し、しばらく書くことから離れていました。
しかし数年前から温めていたこの話を書きたくなったのでここで書いていきたいと思います。
それではどうぞお楽しみください。
【登場人物】 >>3
#1 >>1 #2 >>2
- Re: アタシとアイツの恋愛ジジョウ ( No.1 )
- 日時: 2018/09/14 00:22
- 名前: おかゆ ◆hMk2uzc.1Q (ID: 0ymtCtKT)
#1
普段ならきっと、こんなことしなかった。
高校にも慣れてきて、クラスもいい子たちばかりで。入った部活もよさそうだ。
今日はその部活の活動日で
早く部室に行きたくて駆け足で向かっていたのに。
たまたま普段通らない道を通ったから、
その屋上へと続く階段が気になってしまってつい、登ってしまった。
立ち入り禁止の札をまたいで階段を上る。
普段ならこんなこと、しないのに。
なぜだか不思議と今日は、登りたい気分だった。
この先になにがあるのか、そんな軽い好奇心。たまにはこういうこともあるでしょう?
「結構薄暗いな・・」
人があまり使わないのか、それとも日が当たらないせいなのか、薄暗く感じる場所ではあった。
そして、
階段を上がって、人気のない踊り場で。
屋上へと続くその道で。
薄暗いその場所で。
一人の男子と
一人の男子が
「・・・・・・・キス・・?」
普段ではまず見ることのないその光景に思わず呟いてしまって、
目を奪われてしまって、
そして。
「・・えっ?」
一人と、目が合った。
「——‥」
シー、と、右手の人差し指を口元にあて、妖艶にその人は笑った。
- Re: アタシとアイツの恋愛ジジョウ ( No.2 )
- 日時: 2018/09/14 01:04
- 名前: おかゆ ◆hMk2uzc.1Q (ID: 0ymtCtKT)
#2
シー、と、妖艶に笑うその人とはうらはらにもう一人の彼は顔を真っ赤にして慌てふためいていた。
「えっ・・ちょ、馬鹿!!!おい!!!何やってんだよ要人!!!いや、人・・!」
「あぁ、いやぁ・・はは」
「ははじゃねーって!!」
カナト——?
真っ赤になりながら彼は、そう呼んでいた。
カナト——要人って、いや、そんなことよりも、
「まぁまぁ。減るもんじゃないし。ねぇツバサ」
ツバサ、と呼ばれたその人は未だ口をパクパクさせまだ何か言いたげな顔であたしともう一人を見ていた。
「・・・つーかここ、立ち入り禁止だったろ。なんで入ってきてんだよ」
自分たちだって入ってるじゃん。
自分たちを棚にあげて何勝手なこと言ってんだ。
そう反論しようとしたところでスリッパの色が目に入り、相手が三年の先輩であることに気づく。
「・・・・先輩方もはいっているじゃないですか」
「いや、俺らは・・」
言葉に詰まったのかばつが悪そうに明後日の方向を向く。
言えないならそんなこと言わなければいいのに。
イライラしているのが伝わったのかもう一人の先輩はまぁまぁとお互いをなだめる。
「とにかく、ごめんね、このことは誰にも言わないでくれると嬉しいな」
ね?とお願いするその顔に見とれた。・・いや、そうじゃなくて。
「そうじゃなくてさーーーーーー!!!!!」
「うわ、びっくりした」
急に叫び出したアタシに隣で油絵を描いていた真由子はビクッと肩を揺らした。
あの後のことは正直よく覚えていない。
はい、と言いながら首を縦に振りまくり、挙動不審になりながらその場を後にし、無我夢中で部室へ向かったのだ。
「あーーーもうなんでなんでなんでなんで・・・」
言いたいことは、山ほどある。
男同士でキス・・を、していただとか、あんな人気のない所で、とか、何よりも。
「・・・・要人先輩・・・・」
キスしていた一人がアタシのあこがれていた先輩だった、とか。
「ああああああ・・・」
状況が呑み込めない理解できない整理できない追い付かない。
わけのわからない映像が、何度も何度も浮かんでは消えて。
「由衣ちゃんどうしたの?今日。変だよ?」
しまいには友達に本気で心配される始末。
「うん・・・大丈夫・・ごめんね・・」
結局その日は具合が悪いとてきとうなことを言って先に帰らせてもらった。
帰るときもずっと、あの二人の顔が頭の中を行ったり来たり、そのたびにあたしは小さく悲鳴を上げるのだった。
- Re: アタシとアイツの恋愛ジジョウ ( No.3 )
- 日時: 2018/09/14 01:36
- 名前: おかゆ ◆hMk2uzc.1Q (ID: 0ymtCtKT)
【登場人物】
篠原 由衣 (しのはら ゆい)女
美術部所属の高校1年生。絵を描くことが好き。同じ中学だった要人のことを恋愛感情に似た憧れを抱いている。ちょっと強気で強引なところがあるがまっすぐで正直。
日向 要人 (ひなた かなと)男
サッカー部所属の高校3年生。知的で物静か。人のことをよく見ており、物事を的確に見極める力はあるものの自分のことになると少々疎い所がある。現在同じクラスである翼と交際中。
柏崎 翼 (かしわざき つばさ)男
要人と交際中の高校3年生。演劇部所属だったが過去に起きたあるトラブルがきっかけで部活をやめた。活発でいじりがいがあり、何事にも一生懸命。
富岡 真由子 (とみおか まゆこ)女
由衣の友達で同じ美術部で油絵が得意な高校1年生。おっとりしていて物腰軟らかな性格だが一度好きなものを語るスイッチがはいると熱く語りだす。世間でいうところの腐女子であり、1日でも早く18歳になりたいと願っている。
- Re: アタシとアイツの恋愛ジジョウ ( No.4 )
- 日時: 2018/09/14 09:11
- 名前: おかゆ ◆hMk2uzc.1Q (ID: Uj9lR0Ik)
#3
それは唐突だった。
もんもんとした日々を送っていたある日。
「——篠原由衣ちゃんって、いる?」
美術室で活動をしていると唐突にその先輩はやってきた。
「へっ!?ひっ、あっ、かっ、要人せんぱ・・!」
あまりに突然で思わず変な声を出してしまった。
上ずった声を何とか正常に戻し、同じ部の先輩に一言声を掛け、要人先輩のところに向かう。
「・・・あの、」
「この間のことなんだけどさ、」
この人がなんであたしを呼び出したのかは分かっていた。
席を立つときに真由子はキラキラした目で見ていたが決してそんなことではないと、えぇ、そうとも。決して期待は。
「はい・・・誰にも言ってないです」
「そっか。よかった・・ありがとね」
先輩はかすかにほっとした表情を見せた。その顔にちくりと胸が痛む。
・・・期待、なんて。
「いっ・・・いえるわけないじゃないですか。あんなっ・・・・」
そこまで言いかけたところであたしの口は止まった。
先輩が少し、悲しそうな顔をした。
「先輩は・・・あの人と・・つ、付き合ってるんですか・・?」
顔が見れない。これがあの光景が、これが、嘘であれとずっと願っていた。
もしかしたら挨拶や男子同士のじゃれ合いの延長なんじゃないかと、何度も考えては、願った。
「————うん」
肯定が、その二文字が、あたしの足を縛り付けた。
「・・・えっと・・あー、まぁ、そうですよね、そうでなきゃ、その・・キ、キス・・とか、しませんもんね・・・」
あぁ、いたいなぁ。自分でどんどん墓穴を掘ってしまう。
「そう、ですよね・・はは・・・」
何を笑ってるんだろう、あたし。全然、笑えないのに。
そりゃ、そうだよね、先輩かっこいいもん。優しいし。モテるんだろうなぁ。でもまさか。
「(恋人が男だなんて、思わないじゃん)」
あぁ待って、泣きそうだ。
目がかゆいフリをして必死で目をこすってごまかす。
「いつからあの先輩のことが好きなんですか?」
これ以上いたら泣いてしまうとわかっているのに久しぶりに先輩と二人で話せたことが嬉しくて余計なことを言ってしまう。
「別に好きじゃないよ」
「———え?」
次に発した言葉は全く予想していない言葉だった。
「・・好きじゃない・・・?」
思わず聞き直してしまう。
すると先輩は笑顔ともとれない表情をしたまま言った。
「俺はあいつに特別な感情とかはないかな」
- Re: アタシとアイツの恋愛ジジョウ ( No.5 )
- 日時: 2018/09/17 22:37
- 名前: おかゆ ◆hMk2uzc.1Q (ID: ChJEPbqh)
#4
『俺はあいつに特別な感情とかはないかな』
そう、要人先輩が言っていた。ということはつまり・・・
「あたしにもまだチャンスがあるということ・・・・?」
特別な感情・・つまり恋愛対象としてあの先輩が好き、というわけではないということ。
(・・・て、考えていいんだよね・・?)
昼休み中、珍しく弁当を忘れたという真由子と共に食堂でご飯を食べる。
「ごめんね由衣ちゃんわざわざ・・・どうしたの?」
「えっ!?・・あぁ、いや、別に何も・・」
学食を頼んだ真由子がかえってきて早々心配そうな目を向ける。
「すごい顔してたけど・・・」
「あー・・えっと・・そう?」
「最近ずっとそんな感じだよ?大丈夫?」
「・・・・・」
そういえば、とふと真由子をまじまじと見る。
(真由子って確かいわゆる腐女子・・?なんだよね・・腐女子って確か男の子同士の恋愛が好きな人の事なんだよね・・)
仲良くなってちょっとしてからそんなことを言われた気がする。
(あたしには同性を好きになる気持ちなんて全くわかんないけど真由子ならわかるんじゃ・・)
「ねぇ真由——・・」
真由子に相談をしようとしたその時、
(あ・・)
いた。
あの人だ。
真由子の後ろをちょうど通り過ぎたあの———、
「・・・・っ、」
「えっ!?ちょっと、由衣ちゃん!?」
気づいたらそいつを追いかけていた。
忘れるわけがない。
あの少し茶色がかった髪も、少し不機嫌そうな目も、ごつごつした手も、
キスをした後照れていたあの顔も。
(忘れるかぁぁああああぁぁぁああああぁぁぁぁあああ!!!!!!!)
「まっ・・・・・てぇぇぇえええ!!!!」
勢いでそいつの元へ行き、思いっきりブレザーの裾を引っ張る。
「うおっ!?」
突然の出来事に驚いたのと引っ張られた反動で奴のもっていたイチゴオレが零れる。
「うわっ!」
「うえっ!」
声を上げたのはほぼ同時。そして奴はあたしに気づくとすぐに誰だかわかったようで
「・・・・っ!?お前あんときの1年・・・!?」
また見る見るうちに顔を真っ赤にした。やめろや。
「——あの、話があるんですが」
その時のあたしのどすの利いた声ったら。
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