BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- オリジナル短編集
- 日時: 2019/01/03 05:23
- 名前: ラクス (ID: dP/RlTyN)
オリジナルのBL小説載せていきたいと思います!
異能力を持った者達の物語になるのでファンタジー要素あります。
- Re: オリジナル短編集 ( No.1 )
- 日時: 2019/01/03 06:30
- 名前: ラクス (ID: dP/RlTyN)
ラジャールとクレア
ーーーラジャール視点
「ラジャール」
狭い六畳の部屋のキッチンで朝食を終えて食器を洗っていた俺は名前を呼ばれて振り返る。呼んだ本人は正座で目を瞑ったまま体ごと俺へ向けてにこやかに微笑みを浮かべている。腰まで長さのあるサラサラな金髪を頭の後ろで一つに結った彼はクレア。
クレアは昔から視力が良かったそうだ。ただ人より小さな物が見えていた、それぐらいの良さが18の歳を迎える頃急速に発達し始めた。
人の体内の病気や建物の構造、遠くの建物にいる人の容姿までも透視出来てしまう程に。発達した能力をコントロール出来ずに突然みえてしまうソレにクレアは精神を病んだ。
能力というものは捉え方によっては恵まれた良いものではないかと思う方もいるかもしれない。だが、それはコントロールが出来ていればという話で。
人と話していて、身体の骨格から脳や細胞、血液の流れまで急に見えたらソレと普通に会話が出来るだろうか。クレアは耐えらなかった。
クレアはハサミを手に取り尖った先を自身の眼に向けた。
三年前クレアと出会って瞼をおろしているのによく見えているなと思っていたが転んだ拍子に肩が触れた時、全て分かってしまった。
それから何度か話していくうちにクレアに惹かれて両想いだと知って同棲を始めた。目の怪我が治ることは無いと医師には言われた、それでも初めは俺の顔も本のタイトルすら読めるほど一般人と変わりなかった。それも段々と死角になっていっているようで、今は耳と触れるもので気配を察して人がいると認識しているようだ。
「ラジャール?」と首を傾げてもう一度名前を呼ばれて、我に返る。出しっぱなしの水を止めて、手を拭いて急ぎ足でクレアの元による。
「なに?クレア」
「ラジャールは欲しい物ないの?」
「欲しい物?」
大抵、人に触れればその人の考えている事が分かってしまう俺はクレアの発言の意図が分からなくても敢えて触れぬようにした。
クレアの気持ちを口に出して言って欲しかったから、なんて恥ずかしくて言えないけど。
クレアの発言にはいつも驚かされる。
「買い物に行かない?」
「うん!なら準備しようか」
「慌てなくていいからね」
「わかってる」
半年ぶりにクレアが自ら外に出ようと言ったことが、何故かとても嬉しくて出掛ける準備を始めた俺にクスクスと笑うクレアとの時間は、いつだって俺の宝物だ。
- Re: オリジナル短編集 ( No.2 )
- 日時: 2019/01/03 06:55
- 名前: ラクス (ID: dP/RlTyN)
ノールとタビタ
ーーータビタ視点
「…なんでついてくんだよ、暑っ苦しいな!」
「たまたま同じ方向なだけだろ」
ズボンのポケットに手を入れて俺の後ろを着いてくるのは赤毛を全部上にあげた髪型のノール。暑いのが嫌いな俺からすれば爆炎の能力を持ったノールを嫌っている。はっきり言って見るだけで目が焼かれるように熱くなるから視界に入らないでほしいぐらいだ。
ノールは火の能力を持っているくせにクールな素振りで無口だ。それがまた俺をイラつかせる。
氷結能力を持った俺はノールと居ると怒声を上げてしまうほどに感情をコントロール出来ない。
俺は喜怒哀楽が激しく出てしまう方で短気だ。性格から見て知人は、俺とノールはセット扱いな上に能力が逆ならあってたかもねなんて言う奴までいる。
冗談じゃないぜ、俺は冗談が通じねえんだぞ。
「じゃあ、オレこっちだから」
後ろから声がかかって鋭い形相で振り返れば親指で曲がり角を指した無表情のノールは、それだけ言うと背を向けて歩く。
「はあ!?おい、ちょっと待てよ!」
「なんだ」
呼び止めておいてハタと動きを止める。別に同じ場所に行こうとしてて歩いていたわけじゃないのに、寧ろどっか行ってくれて清々するはずなのに、なんで引き止めたのかわからなくて振り返ったノールに返す言葉がなくて、ムシャクシャした感情をノールぶつけることにした。
「チッ、なんでもねーよ!さっさと行けバーカ」
「…なんなんだ」
ノールから何か言われるのもムカつくから背を向けて俺はまた歩き出した。
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