BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 三角関係の終わらせ方
- 日時: 2019/06/24 23:33
- 名前: ユウキ (ID: tuakPBCn)
これは、井崎美都とその恋人、羽山祐介と菅原翔太の複雑で不器用な、彼らの物語だ。
- Re: 三角関係の終わらせ方 ( No.1 )
- 日時: 2019/06/24 23:51
- 名前: ユウキ (ID: tuakPBCn)
side菅原翔太
親父と喧嘩した。
ハバアは親父を選んで俺を捨てた。
俺も義務教育抜けるし、いい時期だと思って上京を決意。
でも金が無え、バイトして稼げとか放り出されたけど都会で中卒が食って行けるなんてたかが知れてんだろ。
親戚に確か医者がいたと思い出し、小学校二年間だけ一緒だった医者の息子、羽山祐介に声を掛けた。
向こうは全く覚えてなかったから、ご丁寧に親に確認までとったみたいで。
「よく覚えてたな」
まあな。俺だってテメェが金持ちじゃなけりゃ頭に入ってねえよ。
親戚だっつうのに、なんでこうも家庭環境が違うのかと妬んでいた時期だ。今でも頭にくることは多い。
私立の超名門進学校に通って寮に入ろうか、一人暮らしをしようか迷っていた時に俺から声がかかったから一緒に住むことにしたんだと。
羽山の借りてる家に居候みたいなもんで、バイトしながら3分の1の家賃を毎月渡してる。
今の所、なんの不満もねえみたいだから勝手させてもらってるってわけ。
- Re: 三角関係の終わらせ方 ( No.2 )
- 日時: 2019/06/25 00:15
- 名前: ユウキ (ID: tuakPBCn)
ガチャ、キィー、バタンッ。
はあー、疲れた。
「菅原、夕飯作ってみたんだが」
「ハァ?余計なことしてんじゃねえよ」
「最近食べてないんじゃないか?」
「テメェは俺の母親かっつーんだよ」
エリート校の制服の上からエプロンつけて俺を待ち伏せしてやがったっつか、一緒の家だったな、まだ慣れねえ。
同居してても馴れ合うつもりはない。
ガキじゃねえんだし、誰かと一緒に居ないと無理とか俺からしたら考えられねえわ。
羽山は医者の息子ってだけじゃなくて顔もいいからムカつくんだよ。
地毛の金髪が肩でサラサラ揺れるのにイライラする、目障りだ。黒いキリッとした目は曲がることを知らないから俺の言葉もなかなか理解出来ず首を傾げやがる。
そのうえスポーツまで優秀ときた。これじゃあ女もひとりやふたり・・・あれ?
「お前、彼女とか居ねえの?」
「なんだ?突然」
エプロンとネクタイを外してソファ腰に掛けて真顔で返答する羽山。
イケメンで金もあって運動も出来る、女からすりゃあ理想の相手だろうに、浮ついた話を聞いたこともない。
「そりゃあ、お前みたいな神に選ばれたみたいなヤツを女が放っておくとは思えねえからだよ」
「神にって、それは言い過ぎだろ」
モテてることは否定しねえのかよ
「うーん、そうだな…今度紹介する」
誰をだよ、って聞こうとしたけどやめた。あの嬉しそうに崩れた顔が彼女だって言ってるようなもんだろ、うぜえ。
惚気が聞きたくて質問したんじゃねえっつんだよ。
- Re: 三角関係の終わらせ方 ( No.3 )
- 日時: 2019/06/25 00:37
- 名前: ユウキ (ID: tuakPBCn)
side羽山祐介
「井崎!ちょっと、いいか?」
放課後、井崎美都に駆け寄って声をかける。
ふたりきりの時以外は苗字で呼ぶ事にしている。
「なんだ、羽山」
「今日このあとって空いてるか?」
「このあと?…特に予定はなかったはずだが」
「良かった!なら、ウチに少し寄ってかないか?」
「お前の家?確か、同居人が居るんじゃなかったか?」
帰り支度を整えて鞄の紐を肩に斜め掛けする美都。
俺の席へ歩きながら誘導する美都に、俺も話しながら帰り支度をする。
「ああ、この際だから紹介したくてな」
「俺にか?」
「ああ。井崎にも紹介したいけど、井崎のことも、紹介したいと思ってる」
「っ…羽山…」
言ってる間に支度を終えて、二人して教室を出る。
「さ、行こう!」
「ああ!…ところで、その同居人はどういった人物なんだ?」
「んー…少し口調が荒くて一人でいることが好きみたいなんだ」
「ほう…歳は?」
「大丈夫、俺たちと同じだよ」
「そうか。…俺たちのことは話したのか?」
「いいや。サプライズしようと思ってな」
「サプライズって…なかなか複雑な心境になるんじゃないか?」
「何も気にすることは無いさ」
「あ、ああ。そう、だな…」
少し緊張している様子の美都の左手を右手で繋ぐ。ギュッと握って見つめ合い、頷けば少しは緊張が解れたように上がっていた肩がなだらかになったのを目視できた。
繋いだ手を引くように帰路を歩いた。
Page:1