BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 好きに理由なんてない
- 日時: 2019/10/06 15:51
- 名前: 野沢 (ID: yLuSZds4)
二階建ての一軒家、一階にリビング・ダイニング・キッチン・バスルーム(トイレ別)があり、階段を上がった二階には六畳一部屋で六部屋ある。
家賃は安く、光熱費・電気水道は全員のを割った金額。
ここに住む六人の男どもの愉快な話である。
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暇潰し程度の閲覧、大歓迎です!
オリジナルBL作品となっております、苦手な方はバックしてください。
- Re: 好きに理由なんてない ( No.6 )
- 日時: 2019/10/06 18:11
- 名前: 野沢 (ID: yLuSZds4)
廊下側から通路を間に挟むとなると、
ジンさんとマサトさん
誰かとユウちゃん
俺と誰か
って感じになるわけだ。
左側真ん中の部屋と右側奥の部屋が誰かは分かってないけど、可愛い女の子だといいなあ!ユウちゃんは美人過ぎて高嶺の花って感じあるから、理性なくさなきゃ手は出さない。ただその理性が保てそうにないだけ。あんな汚れを知らなそうな純粋な子、何年ぶりに見るだろう。容姿の美しさも関係してんのかな?
18時を過ぎた頃、早めにシャワーでも浴びようかと風呂場へ向かう。
脱衣所の扉を開けると人がいた。
蔵之介「おっわ、ビックリした!スンマセン…」
?「……誰ですか?」
俺に背中を向けてズボンは履いてるが上半身裸で首にかけた白いタオルで濡れた髪を拭いていた男性。
小麦色の肌にしっかりとした筋肉のついた二の腕やら背中の肉体美、腰は細く引き締まっていた。
振り返った男は筋肉の量に似つかわしくない甘いフェイスだった。目がクリクリと丸くて黒い髪に銀のシンプルなピアスが二つ耳についてる。
アイドルやら俳優の芸能人に居そうな俺と同じ類のイケメン顔。
だが、俺を見た途端に眉を寄せて訝しげな顔をしたかと思うと、やけに通る声で「誰だ」と聞かれた。
目だけではなく体内から何か空気でも出してるのか雰囲気も含めて威嚇してくる。両手は首からかけたタオルを握ってて体を少しだけ傾けた状態で俺を見て動かない彼に恐怖を感じる。
俺は筋肉があんまり無いほうだし暴力の喧嘩なんて幼少期以来した事がないので、こんなムキムキ相手に勝ち目はない。
蔵之介「…あー、き、今日から、お、お世話になりますー、蔵之介と申しますー、どうぞ宜しくお願いしますー」
変に焦って噛み噛みのセリフに、間延び口調になってしまった。機嫌を損なわなければいいと願うばかりだ。
?「…ふーん、アナタが。俺に用があったら部屋ノックしてくださいね」
俺を上から下まで見たあと、思っていたより男は興味無さそうに言葉を返して、上着と小物を持つと空いた片手で髪をタオルで拭きながら俺の横を通って自室へ戻っていった。
スポーツセンターのトレーナーか何かやってる人なのかもしれないと思いながらちゃっかり部屋を確認すると、男は右側奥の部屋(ユウちゃんの隣で俺の向かい側の部屋)に入っていった。
- Re: 好きに理由なんてない ( No.7 )
- 日時: 2019/10/06 18:36
- 名前: 野沢 (ID: yLuSZds4)
風呂から出て自室でまったりしてると部屋の扉がノックされる。
「はーい」と言って扉を開けるとジンさんが「晩御飯できたから降りておいで」と優しく微笑んだ。まるで母親のようだなと感じながら、その暖かさに礼儀も忘れずお礼を言って軽く身なりを整えたあとリビングへ向かった。
座るよう言われた席について、みんなが揃うのを待つ。
今夜のご飯はカレーライスとサラダだった。ジンさん曰く「男はカレーが好きでしょ?!」とのこと。
隣にはジンさんが座ってジンさんの向かい側にマサトさんが座った。四角い長方形のテーブルに三席ずつ椅子が置かれていてマサトさんの隣に二階から降りてきた、あの筋肉ムキムキの美形男が座った。
ジン「良平、ユウは?」
筋肉ムキムキ美男子「…今日は外で食べるそうです」
あの筋肉ムキムキ美男子はリョウヘイという名前らしい。ユウちゃんのことを聞かれてスマホをテーブルに置くと少しムッとした顔で質問に答えていた。
なんだユウちゃん一緒に御飯食べれないのか、とあの顔が拝めない残念さと逆に普通に食べられるかわからないから居なくて良かったという複雑な気持ちになる。
ジンさんは気にする様子もなく「そっか」と答えると両手を合わせて「いただきます」と食事に感謝の言葉を述べるとスプーンを手に取った。他の二人もジンさんに続いたので、俺も真似した。
どうやら俺の隣部屋の人は今日は晩御飯が一緒にならないことは知っていたのか、準備はされてなかった。
女の子だといいなあ、と思いながら食事を楽しんだ。
ジンさんからの質問攻めに答えて、時折マサトさんから睨まれて、マサトさんは俺ではなくジンさんに冷たくボケとツッコミの漫才を見させられているかのようなキレの良いツッコミをしていた。
リョウヘイさんはというと、俺より三つ年下という情報を得た。
21歳の彼はカレーライスを食べながらスマホを弄っていて会話に入ってくることはジンさんが話しかけた問いかけに答えるだけというもの以外は無かった。
- Re: 好きに理由なんてない ( No.8 )
- 日時: 2019/10/07 02:45
- 名前: 野沢 (ID: yLuSZds4)
中辛の少し辛いカレーライスはとても御飯が進んだし、美味しかった!
「ごちそうさまでーす」と棒読みで言って一足先に食べ終わった良平は食器をキッチンに置くと俺に見向きもせずスマホ画面を操作しながら自室へ戻った。
俺の中では「今どきの若者は…」という巷でよく聞くセリフが頭を過ぎる。
良平の背中を見送っていると雅人さんから声をかけられた。
雅人「悪いな、アイツは人見知りなんだよ」
ジン「ワオ、マサトがそれ言うー?!」
雅人「黙れ」
少し会話をしただけだが、雅人さんは俺の二つ上で、ジンさんの一つ下。冷たい口調だけど実は温かい思いやりのある人だ。
ジン「いやあ、マサトは俺に厳しいなぁー!」
雅人「いつものことだろ」
ジン「そんなマサトにはジンさん直々の意地悪をしてやるぞ!はい、どーん!」
雅人「は!?おい!サラダ増やすなよ、やっと食べ終わっ」
ジン「ジンさんに冷たくした罰です!大好きママって言ったら許してやろう!」
雅人「ふざけんなよ…?」
ジン「なら黙って、お食べ!」
こういう風に放っておくと勝手に本気か演技か分からないような茶番劇が始まるから、巻き込まれ回避の手段として早めに俺も自室に戻った。
- Re: 好きに理由なんてない ( No.9 )
- 日時: 2019/10/07 03:02
- 名前: 野沢 (ID: yLuSZds4)
二日目、シェアハウス内の住人で一番下の年齢である良平が部屋を訪ねてきた。
扉を開けると、黒いTシャツ黒いバスケ用のズボン、黒のヘッドホンを首から下げて、丸くて黒い目をパチパチとさせて「お菓子無いですか」と聞いてきた。
ハロウィンは随分先の話だったはずだ。カレンダーには六の数字がデカデカとある。
毎日が彼にとってハロウィンやらバレンタインの行事なのだろうかと思いながら「お菓子?」と聞き返す。
昨夜、良平の顔は何処か見覚えがある。何かに似ていると一生懸命考えた末、思い出せた。
良平の顔はウサギによく似ている。愛くるしい顔は多くの女性を魅了する、パッチりとしたクリクリの丸い目もそっくりなのだ。
そんなウサギ顔の良平は多分普通じゃ言わないことを言った。
良平「普通、引っ越してきたら手土産のようなもの、ご近所さんに配りますよね?」
お菓子をくれと言ってきた良平の意図がよめて後頭部をかきながら部屋から菓子箱を持ってきて渡す。
蔵之介「そういうのは普通貰う側が要求するものじゃないからねー、気をつけて」
良平「あー、はーい」
営業スマイルで優しく言うと、お菓子を受け取った良平は、もう用はないとでも言うようにカラ返事でお菓子箱の包装紙を破りながら自室に帰っていった。
お菓子さえ手に入れば俺には興味を失くしたようでお菓子から視線が外れることは無かった。
(うーん、手のかかる弟が出来た感覚だな)
と腰に手を当てて心の中で呟いたあと、夜からの仕事のために、もう一眠りすることにした。
- Re: 好きに理由なんてない ( No.10 )
- 日時: 2019/10/07 20:03
- 名前: 野沢 (ID: yLuSZds4)
午後18時20分、出勤準備を終えて一階へ降りると夜食の調理を始めようとしていたジンさんがキッチンから顔を出す。
ジン「もう行くの?早いね、今日も頑張って!」
蔵之介「あ、どうも。行ってきますー」
ジン「おぉ!行ってらっしゃい!」
心強く見送られ、玄関で靴を履いていると、玄関の扉が開いて帰宅者を招いた。
?「………」
蔵之介「………」
?「………」
蔵之介「…あ、どうも」
家に入ってきたのは明るめ金髪が目立った小さい目に眉毛が無いと思うぐらい薄く、黒の手提げバッグを片手に持った見るからに不良と呼ばれる類の青年だった。
耳には金のピアスが五つほど、腕には細身の体に似合わないゴツゴツした腕時計。
俺を見ては眉を寄せて目を細める。
仕事柄、ガラの悪い人は見ていたがここまで喧嘩の強そうがガチっぽい不良で青年という年齢もある人は初めて見たので思わず挨拶が遅れる。
出た声がソレだったが、青年は気に止めず、適当に脱ぎ散らかした靴をそのままに俺の挨拶を無視してリビング・ダイニングへ向かった。
(もしかして、アレが俺の隣の部屋の人なのか?…いやいや勘弁してくれよ…隣は不良、向かい側は筋肉ムキムキマンなんて、喧嘩したらボコボコ確実じゃん…こわ。だから入居者がすぐに決まらなかったのか?)
もうすぐ夏で梅雨時期のいま、蒸し暑い夜のはずが謎の寒気に俺は両手を抱きしめ腕を擦りながら職場へ向かった。
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