BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 約束の花園
- 日時: 2020/03/03 08:07
- 名前: クロノネ (ID: 03lnt/I/)
はい、皆さんこんにちはクロノネと申します。
今回からこの小説カキコ様にシリアス物のBL小説を執筆させて頂く事となりました。
一応言っておきますと、私BL初描きです、はい(真顔)
とりあえず色んな作者様のBLをサイトを問わずBL知識を得る為拝見させていただきましたが…どれもこれも神すぎて私の様な駄作者が執筆させて貰っていいのかと不安になりました(意味無い)
まぁとりあえず前座?はこの位にさせて頂きまして…この小説は、はじめに申した通りシリアス物のBL小説となっております。
テーマ的には忘愛症候群という二次創作物の奇病をモチーフにしております。
病状は知っている方は知っていると思いますが……忘愛症候群とはその名の通り愛しているものの記憶を全て失ってしまう奇病です。
作品によって多少は違いますが、かかったものは愛したものを拒絶するようになってしまいます。
治す方法は一つしかなく、それは【愛するものの死】です。
アァツライ…((ズビッ
参照はpixiv大百科事典様ですが、作者がズボラな為結構省いており自己流で書いております。
誠に申し訳ございません。
この場を借りて謝罪させていただきます。
まぁお察しの通り、バッドエンド物です。
作者は基本的にハピエン厨ですが、こういう経験も必要かと思いまして…(言い訳)
なのでこの小説は試験的な意味も込めているため、作風が変わったりと結構中途半端になるかもしれませんがどうか御容赦願います。
この小説を一応書き切ったら、来世のハッピーエンド物の小説書きたいですね…キャラは
そのままで(希望論)
あ、とりあえず攻め君と受け君の名前だけ書いておきます。
攻め【海斗】
受け【朱音】
あ、因みに更新速度ですが…書ける時に書くのが私のモットーなので序盤は多分一日一話を目安に書いていきます。
一応ストーリーの大まかな流れは出来上がっているのですが…作者が飽き性なので次第に更新ペースが落ちるかもですすいません。
文字数的には基本的に千文字超えを目標にしていますが、その分話数が少なくなるかしれません。
そこら辺はご了承ください。
- Re: 約束の花園 ( No.1 )
- 日時: 2020/03/02 20:32
- 名前: クロノネ (ID: 03lnt/I/)
一話「終わりの始まり」
「ッ、ハァ、ハァ…!」
全力疾走による荒い呼吸が、肺を支配する。
赤、青、緑。
一見すれば信号機にも見えなくもねーが、勿論違う。
白い息が視界の半分以上を支配し、カラフルな光と黒が混じる景色に溶けていく。
視界をスライドショーの様に流れるのは、綺麗な装飾がなされたモミの木。
手には三ヶ月前から悩んでいた"彼奴"が好きそうな女らしい包装のプレゼント。
寒い筈なのに顔は火照り、手はどんどん汗ばんでいく。
だが、俺は止まる気は更々無い。
俺には止まる事が出来ない理由があるから。
そう、お察しの通り今日は12月12日。
リア充共が闊歩するクリスマスだ。
まぁ、かく言う俺も今からリア充になろうとしているかもしれねーが…いや、自惚れてる暇はねーがな。
煌びやかに光る景色を無視して走り続けること数十秒──彼奴の背中が視界に写った。
その瞬間──今までの疲れが嘘の様に吹っ飛んだ。
次第に足は加速し、流れゆく景色も更に高速になっていく。
俺は自然と手を伸ばし、その名を読んだ──。
「"百合宮"!!」
彼奴──百合宮の背中がピクリと揺れ、重心が動く。
ふわりという効果音が付きそうな程にゆるりと振り向いた彼奴は、一瞬目を見開いた後花が綻ぶようにふわっと笑った。
嗚呼、その表情さえも愛おしい──。
だからこそ俺は、ここで覚悟を決めなくてはならない。
「と、と、とと…ッ!」
「えぇちょっと?!」
百合宮の笑顔を視界に入れたのも束の間、加速し過ぎたせいで上手くブレーキが決まらず物凄いスピードで百合宮の驚いた表情が視界に迫る。
ぶつかる──!!
思わず目を瞑ると、僅かな衝撃の後にふわりと背中に百合宮の手が回った。
受け止められた──そう瞬時に気が付いた。
だが、流石にこんな寒い中家から駅までの全力疾走はかなりキツい。
ゼーゼーと荒い呼吸をしながら、百合宮の肩に凭れ掛かる。
その間も百合宮は若干困惑しながらも俺の背中を優しく摩ってくれていた。
そのおかげで体は満身創痍だが、心は聖徳大使の心位豊かだ。
漸く呼吸も落ち着いて来たところ、黙って俺の背中を摩っていた百合宮が口を開けた。
「空海…どうしたの?こんなに急いで…いや呼び出したのは俺何だけどね?」
それを皮切りに俺は渋々ながら百合宮から離れ、奴の目をジッと見つめる。
実は百合宮の言葉通り、俺は咄嗟に後ろ手に隠したプレゼントを渡す為にを今いる駅前にLI〇Eで呼び出そうとしたのだが…その前に百合宮にここと同じ場所を指定して呼び出されたって訳だ。
「いや、家の時計が壊れててな…」
と適当に言い訳を並べ、再度奴の目をジッと見つめる。
掌サイズの箱は、百合宮が好きだという百合の花のモチーフにしたネックレスが入っている。
このプレゼントは俺の決意の表れと共に……"諦め"でもあった。
後ろ手に隠していたプレゼントをギュッと握り締め、少し唇を湿らせてから口を開いた。
「俺は、あまり堅苦しい言葉選びが得意じゃねーからシンプルに言うけどな……。
百合宮、俺と…これからも一緒にいてくれないか?
俺に…俺の知らない百合宮を教えてくれ」
そう言って、プレゼントを差し出した。
嫌われても拒絶されてもいい、この告白を機に諦められれば……。
そう思いながら百合宮の返事を待った。
「…当たり前じゃん」
嗚呼、断わられる──。
冷たい石がゴトリと落ちるような音が何処かでした気がした。
だけど、これで諦められる。
彼奴の事を──忘れられる。
思わずギュッと目を瞑る。
「断る理由何て…無いに決まってんじゃん?」
え──。
言われた言葉が予想外過ぎて、思わずバッと奴の顔を見る。
百合宮は──笑っていた。
今まで見たことの無い位の、優しい笑顔で。
クリスマスツリーの明かりを抜いても、目がチカチカした。
その手には──俺のプレゼントとそっくりというか全く同じサイズのプレゼント。
彼奴に「開けてみてよ」と言われ、恐る恐る震える手で箱を開ける。
そこには──形こそは違うものの、俺が好きだと言ったサファイアの腕飾りだった。
言ってないのに、どうして──。
そう思いながら百合宮の方を見ると、俺の言いたい事が分かる様に嬉しそうに笑った。
「エヘへ……驚いた?
空海さ、この前雑貨屋屋さんの前でサファイア系のアクセサリー熱心に眺めてたじゃん?
だから、これが好きなのかな〜…って」
こいつは今、何を言った?
思考が追い付かないまま、辛うじて疑問の言葉を口にする事が出来た。
「断る理由は無い、って……」
「え、そのまんまの意味だよ?
まぁ先に告白されたのは驚いたけどさ……俺も告白出来たし、おあいこじゃん?
後俺も、俺の知らない空海知りたいなって……ダメ…かな?」
百合宮の言葉を、一文字噛み締める様に食んでいく。
そして、その言葉の意味を理解した瞬間──俺の視界は一気にボヤけた。
ハクハクと口が言葉にならない空気を発しているうちに、頬に熱い物が流れた。
ボヤける視界の中で、彼奴が驚いた顔をしたのに気付いた。
「ちょっ、何で泣いてんの?!
え、俺何か変なことした…?!」
「ち、がう…うれ、しくて……」
我ながら乙女の様だと思ったが、溢れ出る涙を止める事は到底出来ない。
グスグスと鼻を鳴らしながら、静かに嗚咽を上げる。
困ったように笑いながら頭を撫でてくれた百合宮の肩に、躊躇いながらも腕を回した。
嗚呼、漸く報われた──。
この冬、俺こと空海海斗は漸く心から笑う事が出来た──。
◇◇◇
「って、そんな事もあったよね〜?」
「あったな……」
割と昔の事を最近起こった事の様に話す"百合宮"に向けてハニカミながら、密かに顔を背けて赤くなった顔を隠した。
カラカラと、氷の入ったアイスコーヒーを回しながら百合宮はまるで自分の事の様に笑った。
いやぁ、あの頃は俺も青かったなぁ〜……。
若干心の中で悶えながら、ちらりと百合宮の顔を覗き見る。
告白の時のまだ少年みが残る顔とはうってかわって、今や甘いフェイスの立派なイケメンになっている。
因みに身長は俺よりも高い。
…ケッ←
今は俺と百合宮は立派な大学生だ。
告白したのは高二の冬の時で、今は大学二年生。が経つのは早い物だ。
あの告白を経て、俺と百合宮は晴れて付き合う事になった。
一応色々とあったものの、何だかんだ今の今まで一度も破局することなく付き合えている。
それはいい、それは良いんだが…。
再度百合宮の顔をちらりと見た。
……此奴イケメン過ぎねぇか……?!
いや、高校の時から既にその片鱗は見えてたんだが……。
ふわふわとした栗色の髪に、長いまつ毛に縁取られた淡い鳶色の目。
モデル顔負けの美幌を持つ奴は、当然女子にもモテている。
…が、今のところ(自惚れじゃないが)俺にしか眼中に無いらしいのが幸いだ。
え、俺?
いやいや無い無い。
黒髪黒目の地味男ですよハァイ。
そこら辺にいるモブだと思ってくれれば結構です。
…自分で言ってて悲しくなってきた。
自分で言った言葉に自分で自爆していると、あることに気が付いた。
「百合宮、お前……俺があげた百合のネックレス、今日は付けてねぇのか?」
「ん?確かにそうだね……汚すのもあれだから部屋にしまってあるけど…付けて欲しい?」
と面白そうに笑い、トントンと自身の白い項を叩く百合宮に悩殺されそうになりながらも頬杖を付く。
「そういう海斗も、名前呼びで良いって言ってんのにちっとも呼んでくれないじゃないかぁ」
そう言って百合宮は、子供の様に口を尖らせた。
「そ、それは…」
う"、可愛い…と浄化されそうになっていると、百合宮が何かを思い付いたかの様に嬉しそうに笑った。
「あ、そうだ!
今度遊園地行く時に、俺がネックレス付けてあげるから海斗も俺を名前で呼んでよ!」
その言葉に、思わずキョトンとしてしまう。
だけど、直ぐに口が綻んだ。
「わーったよ。
名前呼んでやるからネックレス付けて来いよ?
俺の物みたいで気分いいから」
と言うと、百合宮は恥ずかしそうにしながら顔を両手で覆い机に突っ伏した。
え、何事?!と言う前に、奴が口を開いた。
「そうやって不意にカッコイイから、ずるいんだよなぁ……」
えぇ…?と困惑したものの、内心はとても嬉しかった。
嗚呼、ずっとこうしていたい。
ずっと百合宮と一緒ににいたい。
もっと色んな所に行って、色んな物を食べたい。
だけどそれは、希望論でしか無いことに俺は直ぐ気付かされる事となる。
何処かで俺は、この日常がずっと続くと盲目的に思い込んでいた。
誰かがそう決めた訳じゃないのに。
この日常がずっと滞りなく進む保証なんて無いのに。
それを知らなかった俺は、ただ愚かに日常を貪るだけ。
後日──彼奴が事故にあって意識不明の重体になったと奴の友人から聞いた俺は──膝から崩れ落ちた。
机の上に置いてあった彼奴から貰った腕飾りが、乾いた音を立てて床に落ちた。
- Re: 約束の花園 ( No.2 )
- 日時: 2020/03/03 08:04
- 名前: クロノネ (ID: 03lnt/I/)
第二話「白い病室」
ピ、ピ、ピ、と無機質な機械音と時計の針の音が部屋を支配する。
今、彼奴は沢山のチューブに繋がれている。
体中包帯だらけで、所々血が滲んでいるところもある。
彼奴の鼓動を表示する機械は、やや大人しいものもちゃんと動いている。
百合宮は、生きている。
生きている、筈なのだが…一向に目を覚ます気配が無い。
彼奴は、あの告白の事を話した一日後、車に轢かれそうになっていた小学生の女児を庇って轢かれたらしい。
彼奴の事だ、きっと躊躇わずに飛び出したんだろう。
事故にあって五日経つが、まだ目を覚まさない。
当たり前だ。
一時とはいえ意識不明の重体になったのだから。
俺はというと、彼奴から貰った腕飾りを握り締めて項垂れていた。
昨日漸く面会というなの見舞いが許可され、彼奴の顔をガラス越しから直接見ることが出来る。
ということは、つい先日まで直接の面会すら許可されない程の重体だったということ。
今は意識も安定し、峠も超えている。
だが、それでも彼奴は目を覚まさない。
担当医曰く、眠った状態のまま体のあちこちを治療している様だ。
傍には彼奴が好きな百合の花が添えられ、ただゆらゆらと揺れている。
項垂れていると、突如頬に冷たい物が当たった。
思わず上を見ると、黒髪の縮れ毛を後ろで結んだ男の人が立っていた。
その手には、俺が好きだと言った甘めの缶コーヒーが握られていた。
わざわざ買ってきてくれたのだろうか。
「もう…朱音ちゃんがつい先日まで死にそうだったのはともかく、あんたまで死にそうな顔になってどうすんのよ?」
「巴さん…」
この人は巴さん。
名字は分からず、おまけに年齢不詳だがそれなりにお世話になっている俺達の恩人だ。
巴さんは大学近くのバーのマスターだ。
俺と百合宮が付き合う前はよくお互いの恋愛相談に乗ってくれていた。
俺と百合宮二人共彼に恋愛相談をしに行った時は驚きだった。
まぁ口調からお察しの通りオカマだが、いい人だ。
…怒ると怖いが。
缶コーヒーを受け取り、お礼を言おうとするとむにゅっと唇に人差し指を指された。
「お礼何かいーの!
大体アンタ、あたしが触んなくても分かるくらい唇乾燥してるわよ?
ちゃんと寝てないわよね?
お肌もカサカサだし…」
「うっ……」
やっぱり、巴さんには適わねーな…。
俺はココ最近一切寝れていない。
鏡は見ていないので分からないが、きっと隈がくっきりと出来ているだろう。
凶悪ツラに更に磨きがかかった気がする。
…自分で言ってて悲しくなってきた(二回目)
缶コーヒーを開けようと指に力を入れたが、指どころか手が震えて上手く開けられない。
その様子見ていたが巴さん頬に手を当てながら、心做しか呆れた顔をする。
「呆れた…その様子だと事故当日からほとんど寝てないわね?
そのくらいの缶コーヒーならいつものあんたなら片手でも開けられるのに…。」
「ハハ…そうかもしれねーな……」
「そうかもしれねーな……じゃなくてねぇ?
どうしてどいつもこいつも自己犠牲したがるのかしらねぇ?」
ハァー嘆かわしいと言わんばかりに、巴さんは大きなため息をついた。
…耳が痛い。
思わず目を逸らすと、俺の耳が何かボソボソとした物を感じ取った。
「…残された者の気持ち何て、考えた事も無いくせに」
普段の俺なら普通に聞き取れそうだが、今日に限って耳が上手く機能していない気がする。
頭は辛うじて痛くないが、頭が結構重くグワングワンする。
「何か言いましたか、巴さん?」
思わず聞き返すと、巴さんは一瞬ハッとした表情を見せたものの直ぐに取り繕う様に笑顔を見せた。
不思議に思ったが、特に深く詮索する意味も無い為それ以上は触れないでおいた。
「あらァ、何でもないわ?
とりあえずあんたは寝なさいな。
その様子だと後一日位でぶっ倒れるわよ?」
「いや、でも……」
百合宮だって辛いのに、俺がここで寝る訳にはいかない。
そう思いながら、巴さんに開けてもらった缶コーヒーを啜る。
味自体は甘い筈なのに、何だかとても苦い味がした気がした。
「でもじゃなーい!
もう夜だし、あたしが送ってくわよ!
あんたらの家の住所は事前に入手済みだしね!」
「あ、ありがとうございます…つーか俺らんちの住所教えてないのに知ってるって…えっストーカー…?
怖ッ」
「黙らっしゃい!
乙女なら秘密のルートを一つや二つ持ってるもんなのよ!
さぁ行くわよ!」
勢いに任せて結構失礼な事を言った気がするが、巴さんは特に意に介していない様だ。
つ、強い……。
密かに戦々恐々したが、とりあえず失礼な事を言ったのは確実っぽいので後で謝っておこうと心に誓ったのだった。
え、というか今気付いたんだが何気に流されて無いか……?
百合宮の病室を出た所で振り返ろうとしたが、グキッという効果音が付きそうな程に首を正面に回された。
さ、流石元柔道部…。
振り返ろうとした時に百合宮の顔がちらりと見えたが、未だ眠ったままだ。
その事実に少し寂しさを覚えながらも、とりあえず俺に背を向けて小走りに歩く巴さんの意外と大きな背中に甘えることにした。
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