BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【オリジナル】友達の手伝い係の僕だけど[恋愛&BL]
- 日時: 2020/12/06 12:06
- 名前: ~クラル~ (ID: hap96gvm)
- プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12941
「……ごめんね」
この一言で、僕の友達は大きく落胆したのだろう。
初恋がまだの中学生に恋の相談は重くないか。今から約一週間前、僕は友達である【一之瀬 奏太】から相談を受けた。内容は、クリスマスイブにクラスの男女四人で行うクリスマス会で【三上 咲葉】に告白したいというものだった。この二人はクラスの一軍と言われる存在で、雰囲気も脈ありだった。僕は協力すると言った。
クリスマス会で、奏太と三上さんが部屋に残るよう、僕たちは仕掛けた。もう一人の女子【高内 水城には作戦は説明済み。僕と高内さんは静かに部屋の外へ出た。奏太が作戦通りなら、「いきなりごめん…好きです!付き合って下さい」とでも言いながらプレゼントを渡しているだろう。
しばらくすると、奏太が出てきた。
「どうだった?」
声をかけたのは高内さんだった。僕は怖くて声をかけられなかった。奏太から
「返事は……ごめんね だった」
一言だけかえってきた。後から聞いたが、三上さんは恋愛が苦手で、中学生の間は誰とも付き合わないと決めていたようだ。
「そっか……えっと……じゃ、奏太さ……」
「おーい!緑ー!」
あれから三日。僕と奏太は学校前で待ち合わせしていた。あの時に気晴らしに出かけないかと誘っていたのだ。
「もう、大丈夫なの?」
「ああ。もうスッキリ吹っ切れたぜ!」
奏太は気にしていないようだ。こんな気持ち良さが友達の彼の好きなところだ。それなのに、なぜか僕はあの時から複雑な気持ちだ。もし、振られたことがきっかけで今日遊べたから とかだったら、自分で自分を呪わなくてはならない。
そんなことにも気づいていない奏太と、なんとなく神社に来た。
「どうする、奏太。お参りする?」
「普通、お正月にするもんだろ。あと四日くらいで年越しだぞ」
「だよねー」
自分のツボにはまったのか、笑いが押さえられない。
「笑いすぎだろ。……じゃ、適当にするか」
「天の神様。私、一之瀬奏太と心友、宮岡緑、そしてクラスのみんなと楽しく過ごせるように見守っていてください。来年、も部活と友情二本でやっていきたいと思います!」
そう言い終わると、辺りは静かになった。
「……恋愛はもういいんだ」
そんなことしか言えなかったが、心友と言われてとても嬉しかった。
それからは二人で町を歩いた。女子の間で流行っていたという[タピオカミルクティ]を割り勘で飲んだ。昼はコンビニで買った[唐揚げちゃん]。奏太は[唐揚げ先輩]を食べていたが、僕にはその良さが分からなかった。午後はいくつかの公園を回ってうろうろ。本当は三上さんと来たかったのではないかと聞くと、
「いや、全然」
ケロっと返された。
「じゃあな、オレのためにありがとう!」
町も暗くなり、奏太の家の前で別れた。
「こっちこそ!今日、今年で一番楽しかったよ!良いお年を!」
「良いお年を!」
なぜ、今日奏太と遊んだことが今年一の思い出になったのか、僕は何となく気づいていた。告白しなかったら三上さんたちと遊んでいたクリスマス会で、奏太はこんな気持ちだったのかもしれない。これを知られたら奏太とは心友で、友達でいられなくなるかもしれない。
僕は、この感情を信じたくない。