BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 忘れてもまた会いに来てね
- 日時: 2022/03/09 22:45
- 名前: カジノゆ (ID: fzc9VSBf)
創作BLでございます。いたらなすぎてよくわかんない文章が多々あります。ご了承ください。
楽しんでいただけると嬉しいです。
記憶喪失の完璧王子先輩
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恋愛トラウマ可愛担後輩
、、、、、、ですね。可愛担とは、可愛い担当、です。
突然のことだった。僕の恋人は交通事故にあってしまった。幸い一命はとりとめたものの、彼には記憶障害が残ってしまった。
覚えているのは彼が高校一年の夏までのことだけらしい。僕と付き合う一年前。そして彼は新しく記憶を記録することができなくなってしまった。一日が終わり眠るとその日の記憶がなくなってしまう。彼のなかで時は止まってしまった。記憶を取り戻すことは難しいと診断され、今は普通に暮らしている。学校には来ていないけど。
「、、、、、、。」
二階建ての新しめの家を見上げる。"先輩"の家だ。僕の恋人の、家。インターホンの前まで歩く。押そうと迷って、結局押せなかった。僕は事故のあと、先輩が目を覚ます前に一度一方的に会っただけで、それ以来会っていなかった。先輩の記憶のなかには、僕はいないからだ。僕と先輩がはじめて出会ったのは止まった先輩の記憶の2か月後。高校の文化祭の時だ。僕は中学3年で、高校の見学もかねて文化祭に来ていた。先輩は一緒に回りたい女子と他校の女子に追いかけられていて、走っている先輩と僕がぶつかったのだ。尻餅をついてしまって少しイラッとしたのを覚えている。その感情がすぐ消えたことも。
『大丈夫?』
ごめん、と言って先輩は僕の腕をつかんで立たせたあと、僕を引っ張って走り出した。そのあと適当な空き教室に隠れたあと、先輩はお詫びだと言ってアイスを買ってくれた。正直いって別にアイスはいらなかった。ただ渡してくれたときの先輩の笑顔に引かれて、この高校、偏差値高くて大変だったけどなんとか入学して。
僕は小学生の時に自分が普通ではないことを自覚した。クラスのどんなかわいい女の子よりも、かっこよくて元気な男の子の方が好きだった。
- Re: 忘れてもまた会いに来てね ( No.1 )
- 日時: 2022/03/09 22:38
- 名前: カジノゆ (ID: fzc9VSBf)
『またね』
『、、、、、、はい。また、』
学校からの帰り道。先輩は電車でこの高校まで来ているから、いつも駅の前で別れる。ほんとは僕の家まで送ってくれるっていってくれてたけど、さすがに駅とは反対方向だし、あんまり迷惑をかけたくないって断った。
「、、、、、、。」
今は、一人。別に来る必要なんてないのに駅に来て。ただ人の流れを見て帰る。この時間はちょうど帰宅ラッシュで、人がごった返している。人の流れの中に紛れて、消えてしまいたいと、思ってしまう。
初恋は小学2年生の時。クラスの中心的な男の子だった。そのときは自分が変だなんて思ってもいなかった。気づいたのは小学5年の時。クラスの女子がBL漫画について話していたときに、『男同士の恋愛なんてキモいだろ』と誰かが言ったから。ああ自分はおかしいんだって。他人からみたら気持ち悪いんだって。今までだって奥手だったから気持ちは隠してきた。でもそれから、さらに深く深くに閉じ込めるように隠した。自分が男が好きだって知られたくなくて、興味のない女子のことを好きだといったり、とにかくごまかして。
中学になって、部活の先輩を好きになった。もちろん、男。適当に入った陸上部だけど、先輩を近くで見れるなら、少しはいいかも、とか思ったりして。でも、そんな気持ちは中学2年のときに消えた。
『男が好きなんだって』
『えーありえな』
『○○先輩が好きらしいよ』
『うーわ、無理でしょあんな陰キャw』
『関わるのやめとけよ。惚れられたらヤバイだろ』
『先輩も近づかない方がいいですよ』
なんでばれたのかわからない。誰にも言ってないし、それともそんなに僕は分かりやすいのだろうか。部活に顔を出すのはもちろん辛かった。先輩は今まで通りに接してくれたけど、やっぱり距離が遠くて、学校にいくのも辛くなって、だんだんと行かなくなった。
高校生になって、海翔先輩と再会して、もう絶対に好きにならないって決めた。でも、無理で、じゃあ絶対に隠そうって思ってたのに、中学が同じの女子が高校にいて、一緒に話しているところで言われた。
『海翔せんぱーい。そいつとは関わらない方がいいですよ~そいつ、ホモだから。襲われちゃうかも』
そ知らぬ顔で笑い返して、誤魔化そうとしたけど、顔がひきつって、どんどん血の気が引いて、くらくらして、立ってられなくて、でも、先輩が支えてくれた。
『教えてくれてありがとう。でも、大丈夫だよ。柚木(ゆき)はそんなことしないから。きっとまっすぐ伝えてくれるよ。』
ね?って笑いかけてくれて、どっと安心がきて、涙が出た。今までの人たちとは違うんだって。正直に伝えて、真っ正面から砕かれるのもいいんじゃないかって。
『じゃぁ、よろしく。柚木』
まさかいい返事が返ってくるなんて思ってもいなかった。
- Re: 忘れてもまた会いに来てね ( No.2 )
- 日時: 2022/03/17 15:41
- 名前: カジノゆ (ID: fzc9VSBf)
また、来てしまった。二階建ての家を見上げる。ここに来たって意味ないっていうのに。
「、、、、、、。」
帰ろう。早く、早く、じゃないと、また、泣いてしまうから、、、、、、
「あの、」
「っ!?」
振りかえる。足元を風が通りすぎて。見知った髪が揺れていた。
「、、、、、、せ、んぱい」
会いたくなかった。会わないようにしてきた。なのに、、、、、、
「えと、もしかして同じ高校の人だったりする?」
早く、帰ってしまえばよかった。いや、未練がましく、ここになんて来なければ、会うことはなかったのに。
「、、、、、、はい。一年下の、、、えと」
「大丈夫。今、俺って高三なんだろ?、、、、、、だから、後輩がいたって、おかしくない、、、よな。」
「、、、、、、そうですね。じゃあ、一年下の、天城 柚木です。」
「そっか。柚木、、、、、、ごめん。わからないや。」
「はい。それじゃあ、」
「上がっていかないの?」
「え、」
「え?」
びっくりした。なんでそんなことが言えるのだろうか。だって、記憶になくて、知らない他人のはずで、なのに、
優しくて、胸が苦しくなる。
天城って、好きなように読んでくれると嬉しいです。あましろ、、、僕は、あましろって読むぞ!、、、、、、ほんとはなんて読むか知らんけどw
- Re: 忘れてもまた会いに来てね ( No.3 )
- 日時: 2022/04/02 01:31
- 名前: カジノゆ (ID: fzc9VSBf)
「ごめん、いま、家になにもなくて、あ、ホットケーキなら今から作れば、、、、、、」
「いえ、気にしないでください、こっちも急に来てしまって」
「いやこっちこそほんとなんのおもてなしもなく」
、、、、、、やっぱり、来るんじゃなかった。気まずい。でも、目の前に、先輩がいる。いま、話せてる。もう、それだけで幸せだ。、、、、、、それでもやっぱり僕のことを覚えていないんだと思うと、心の奥が痛くなる。
「、、、、、、あの、僕、帰ります」
「!や、やっぱ、あの、ごめんな。なんにもなくて」
「いえ。そういうことではなくて、その、そもそも偶然立ち寄っただけなので。」
「、、、、、、そっか。」
ちょっと悲しそうな顔をして先輩が言う。僕のことを思い出せないからか、それともただ単におもてなしできなかったことが悲しいのか。先輩はいつもわからない。今、悲しい顔をする場面じゃないと思うのに。
- Re: 忘れてもまた会いに来てね ( No.4 )
- 日時: 2022/04/15 22:35
- 名前: カジノゆ (ID: fzc9VSBf)
結局、先輩の顔に負けて少しだけいさせてもらうことにした。もともと好きな顔だし、抗えないんだよなあ。
『せ、先輩!』
『だめなの?』
ほんのちょっとスネたような顔を僕の足の間からのぞかせて、先輩は僕を見ていた。それはずるい。でも僕だって引けない時がある。
『だって、誰か帰ってきちゃうかもしれないです。』
『大丈夫。今日母さんも父さんも旅行いってるから。結婚記念で』
『、、、、、、なにかあって帰ってきちゃうかもしれないじゃないですか!』
『今日の朝飛行機を見送ったんだ。片道八時間。そう簡単には帰ってこれないよ』
『、、、、、、』
嘘だ、、、、、、心の準備も何もあったもんじゃない。ただ泊まるだけかと思ってきたのに。なんで家に誰もいないんだよ。聞いてない。聞いてたら、来てない。
『ね。大丈夫。絶対イヤだって言ったら止まるから』
『じゃあ今止まってくださいよ』
『それは無理』
『止まる気ないじゃないですか』
無言で笑う先輩。もう僕がこれに弱いのを知っているみたいだ。
そして次の日僕は一日動けなかった。
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