BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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記憶喪失の彼女は
日時: 2022/04/26 16:58
名前: ねこ (ID: jCGY4HFl)

私の日常

「先生〜」
先生のストーカーこと私,海月 理羽(うみつき りう)は今日も大好きな先生である,世音 みあ先生(せお みあ)に話しかける。
「どした〜」
世音先生も慣れたように私のことを受け流す。
「今日の授業何するんですか?」
「んー。水圧かなぁ」
「楽しそう!」
私はキラキラと瞳を輝かせる。中3になっても理科は楽しそうだ。
「ほら,そらそろみんな来るから座って」
「はーい」
私はすぐ近くの席に座る。すぐにクラスメイトが来て,チャイムが鳴った。
「さて,号令お願いします」
授業の先生は素敵だ。メリハリしっかりしてて。
「それじゃ,実験はじめてね」
私は近くの実験用の箱を取り,始める。
「ねぇ,これどうするの?」
各班の人が私に聞いてくる。
「これこうだよ」
私は片っ端から質問に答えていく。
「ありがとー」
さてと,私も始めよう。なんか知らないけど、私は一人での実験だ。みんなは班なのに…。
「先生〜。なんで私は一人なの?」
私は丁度近くにいた世音先生に話しかける。
「えっ?優秀だから」
隠すこともなく言われた。
「優秀ですか…?」
「うん。じゃなきゃあんなエリート理科校の推薦こないから」
私は3年上がりたてだがもう推薦が来ている。私は理科が得意なことからめちゃくちゃ有名な理科高校からきていた。
「とりあえず,一人でも君ならできるでしょー」
まぁ、そうなんだけど。正論をぶつけられると反論できない。そのまま実験をした。成功したけど。早めに終わり,レポートを書く。
「ねぇ、結果どうなった?」
「教えてー」
隣の班が聞いてくる。
「はい」
私は書いたレポートを見せる。
「ありがとー」
そう言ってみんな去っていった。
「それじゃ,提出してね」
「はーい」
私も提出する。
「あっ、今日も残ってね」
提出する際に世音先生に言われた。またか。
「はーい」
みんなが理科室を去るのを横目に私は答える。
10分後
「それじゃ、次の実験の実験しよー」
世音先生は眼鏡をかけながら言う。毎回、実験前には私に予習を頼む。私はこの歳にして、理科教師が持っている毒物・劇物取り扱い責任者の免許を持っている。そのため理科の先生からよく頼まれる。
「これをこうして」
「先生、もっと量多くした方が変化は分かりやすいです」
「そっか。ありがと」
私はこの時間が好きだ。他の誰でもなく,世音先生と過ごすこの時間が。
「さてと、今日はここまで。ありがとう」
世音先生は試験管を洗いながら一息つく。
「いえ」
私も今日のことを記録しておく。
ナデナデ
「お疲れ様」
世音先生はそう言いながら私の頭を撫でる。これが日常だ。
「ねぇ、また3日後の実験も手伝ってくれる?」
⁉︎
「もちろんです!」
嬉しい。
「それじゃ,また明日。明日は普通に委員会あるし大丈夫でしょ?」
「あっ,はい」
私は9月に控える修学旅行の委員長をしている。顧問が世音先生だからしてるんだよね。
「先生,さようなら」
「はーい。気をつけて」
先生は私を見送りながら,手を振る。また明日も会えると思いながら。

Re: 記憶喪失の彼女は ( No.1 )
日時: 2022/05/04 20:00
名前: ねこ (ID: wlQUXzc5)

二章 記憶喪失

おはようございます!」
私の日課,まずは理科室にいる世音先生に挨拶をするとこから。
コンコンッ
「……」
返事がない。
ガラッ
私は入る。でもそこには誰もいなくて。
「あっ,世音先生ならまだ来てないよ」
声をかけてくれたのは同じ理科の先生。
「そうですか」
私はトボトボと教室へ歩きはじめた。
「えぇ⁉︎本当ですか⁉︎」
職員室から慌ただしい声が聞こえる。今までより騒がしい。
ガラッ
不意にドアが開く。そこには世音先生の同期の先生。
「あっ,丁度よかった」
何がだろ?
「落ち着いて聞いてね?実は……」
「おいっ。話してないで手伝え」
「はいっ」
同期の先生は先輩の先生に注意されて慌ただしく去って行った。なに?嫌な予感。不安を抱きながらも授業を受ける。そして世音先生を見ないで放課後になる。
「あっ,朝はごめんね」
同期の先生。
「少しついてこれる?」
「はい」
黙ってついて行ったら駐車場よ。
「乗って」
誘拐じゃないよね?まぁ,薬品持ってるからどうにかなるか……。そんなことを考えながら乗り,ついた先は病院。
「ついてきて」
先生は深刻そうな顔で私を208と書かれた番号の部屋へ案内する。
「ごめんね。どうしてもあなたを連れて来たくて」
そんな先生の横顔は悲しそうな色を浮かべていた。
「入っていいよ」
私はゆっくりとドアを開ける。そこには見慣れた黒髪の女性。
「世音,先生……?」
驚いて足の力が抜ける。
「実はね,世音先生朝に車と衝突しちゃって……」
それよりも
「それで,悲しいと思うんだけど……世音先生実は……」
私は最後の言葉を待たずに世音先生に抱きついた。
「無事でよかった」
抱きしめながら泣く。でもいくら待っても私の背中に手はまわってこなくって…。
「先生?」
私は抱き締めるのをやめて,世音先生を見る。
「えと,やめてください」
すごい怯えた顔をされる。
「あなたは誰なんですか?初対面ですよね?私たち」
えっ。私は声が出なかった。
「ごめんね。ショックやっぱり大きかったよね」
朝の先生改め,北乃(きたの)先生は私を家まで送ってくれるらしく,車に乗せられた。
「はい……」
何から聞いたらいいのかわからない。
「さっき分かったと思うけど,世音先生は記憶喪失なんだ」
やっぱり。聞きたくなかった。
「生きてるだけで奇跡って医者は言ってた」
そうだけど。
「いつも一緒にいる海月さんを見れば世音先生も思い出すんじゃないかって思って連れてきたの。でも,ごめん。心を傷つけて」
「謝らないでください。私は知れただけで嬉しいですから」
生きてるだけでも,ね。
「覚えてるのは海月さんが入学する前日までらしい。入学式の準備は覚えてるらしいから」
私のことは,綺麗さっぱりと……。
「明日,また落ち着いたら行ってみよう?私も一緒に行くから」
同期だから北乃先生も辛いはずなのに。北乃先生は世音先生が記憶喪失と知ってどう思ったんだろう。
「そうそう。私のこと見て世音先生は新入生は?って第一声だったよ」
仕事に真面目だったから。
「世音先生は自分が記憶喪失なのを知ってるんですか?」
「一応話したよ。でもまだ信じられない様子だった」
だよね。
「ほら,家着いたよ」
「ありがとうございます」
私は車を降りる。
「その,一人で背負わないでね」
先生は瞳の色を無くす私を心配してくれた。
「はい」
北乃先生は大丈夫なのだろうか。
「それではまた明日」
「またね」
私は先生の車を見送る。
ガチャ
家に入り,ベッドに向かう。目を閉じると浮かぶのはさっき見た世音先生の怯えた顔。前まではころころ笑ってたのに。
「忘れたのか」
一年生の頃の話したことも,バレンタインも,体育祭も,二年生になって歩いた廊下も,すべて。現実を見れない。明日は上手く話せるだろうか。そんな不安を抱えながら私は寝落ちした。

Re: 記憶喪失の彼女は ( No.2 )
日時: 2022/05/05 19:43
名前: ねこ (ID: .JdTHY2c)

余談① 同期の記憶喪失

「北乃先生、これしといて」
私は同期である世音先生から委員会の資料をもらう。
「分かった」
私の唯一の同期である世音先生。私よりも周りから期待をされていて,早くも今度の修学旅行実行委員会の最高顧問を務めている。流石としか言えない。
「それじゃ、私もう用事あるからあがるね。お疲れ様」
時計は20時を回っている。いつもと比べると早めの帰宅だ。世音先生は同じ学年の先生に挨拶をして早歩きで職員室を出て行った。
「やっぱり、世音先生って仕事早いですね」
世音先生がいなくなった途端に話題は世音先生へ変わる。
「ですよね。昨日も実験用具準備してましたし」
「こないだの委員会も仕切ってたしな」
「高嶺の花って感じ!」
世音先生は先輩からも後輩からも人気がある。同期が褒められるのは嬉しい。でも,私はちっとも相手にされなくて…。誰に言われたわけでもないのに比べてしまう。
「でも世音先生って少し近づきづらいよね」
「わかるー」
片隅でそんな会話がする。
「でも3年の海月さんだっけ?1年の時からそばにいるんでしょ?すごいよね」
「ねー。よくあの冷たいの世音先生と一緒にいれるよね」
少し悲しいけど、冷たいのは本当。他人に興味がないらしい。海月さんはいつも懐いてるけど,世音先生が追い払ってるとことか見たことないなぁ…。意外と世音先生も海月さんのこと好きなのかな。
「先生方、仕事止まってます」
口を開くのは学年主任。
「すみません」
「すみませんでした」
みんな会話をやめて仕事に戻っていく。私もさっき世音先生に渡された仕事をする。案外楽なものですぐに終わった。
「お疲れ様でした」
私も他の先生に挨拶をしてあがる。空を見ると月が輝いている。
「綺麗…」
思わず呟いてしまった。明日も普通な日常だと思いながら。私は車に乗り、帰宅した。
翌日
「おはようございます」
職員室に入る。
「早くっ」
「こっち大丈夫です」
「ここのコマどうする⁉︎」
いつもは挨拶が返ってくるのに。なんだが今日は騒がしい。
「あの、どうかしたんですか?」
私は隣の席の先生に尋ねる。
「北乃先生⁉︎実は世音先生が事故っちゃって…。その、記憶喪失みたいなの」
「え?なんかのジョークですか?」
どういうこと?
「違う。本当なの!この病院にいるから丁度いいわ。行ってきて」
病院の地図と部屋番号だけ教えられた。職員室には私の居場所はなく、押し出されるようにして病院に向かわされた。
「あの、世音って人の知人なんですが…」
受付の看護師さんに尋ねる。
「話は聞いています。こちらへどうぞ」
学校側から連絡があったらしく、スムーズに世音先生の部屋に行くことができた。この中に世音先生が…。
コンコンッ
緊張しながらもノックをする。
「はい」
ドアを開ける。そこには点滴やら包帯やらいかにも事故にあった人がいた。世音先生だ。
「北乃先生!新入生は?」
世音先生はいきなりそんなことを聞いてきた。
「私,記憶喪失なんかじゃないよね⁉︎だってちゃんと北乃先生のこと覚えて…」
覚えてなんかない。だって…。
「世音先生…。海月さんってわかります?」
「え?誰それ?」
ほら。私は無意義のうちに世音先生を抱きしめていた。
「北乃先生?」
世音先生はとまどいながらも手を私の背に回す。
「世音先生。覚えてないんだね。あの子のこと」
海月さん。私は静かに体を離す。
「えっ?何のこ……」
「記憶喪失なんだよ。世音先生」
私は事実を告げる。
「何言って……」
「あなたが新入生って言ってる子はもう3年生。カレンダーも見てみ」
「あっ…あっ…」
世音先生の顔が青ざめていく。
「嘘っ!こんなの嘘だ」
肩を震わせながら世音先生は叫ぶ。
「世音先生…」
「なんで覚えてないの⁉︎私の馬鹿っ!海月さんとだって…」
えっ?
「海月さんって誰?」
世音先生は自分の口から出た名前に首を傾げる。
「海月さん…」
あの子なら、もしかしたらっ!
「ごめん。また後でくるから」
「えっ?ちょっ⁉︎」
私は車まで走る。あの子を連れてくればひょっとしたら…。かすかな希望を抱えて、学校へ車を走らせる。
学校にて
「少しついてこれる?」
私は海月さんに声をかける。
「えっ⁉︎」
私は半ば強引に彼女を車に乗せて病院へ急ぐ。
「なんなの?」
隣で呟く海月さん。私はこの子に賭けるしかないと思った。また、前みたいに仕事したいよ。そんなこと考えながら208号室に足を急がせた。

余談①おわり


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