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【創作】10歳差社会人百合
日時: 2022/12/07 22:23
名前: シイタケ (ID: vZtoxL/O)


携帯電話が鳴った。
画面には
《大倉仁菜》
の文字が映っている。
「大倉さん…」
ここのところよく相談に乗っている後輩。
確かにミスはよくするし、抜けているところもあるけど、一緒にいると不思議と落ち着く。誰にでもふんわりした笑顔を振りまいて、小動物のように愛くるしいのが彼女の人気の理由だろう。
(こんな時間に…しかも電話でなんて珍しい)
「もしもし?どうしたの、いきなり」
『あ…水谷さん…』
その声はいつもよりうつらうつらしていた。
「深夜だから眠いんじゃないの?急いでないなら明日にでも、」
『好き…』
「……え」
かける相手を間違えてるようだ、と思った。でも彼女は最初、確かに「水谷さん」と言った。
(好き…?好き…??)
脳が追いつかない。
『すき…だいすき…』
「お、大倉さん…?」
『んぅ…す………』
「…もしもし」
『………』
画面の奥から微かに聴こえるのは寝息だろうか。と思った途端に、ツーツーツーと通話終了の音。
「好き…って、何…?」
大倉さんは言った。「大好き」と。親愛の意味なのか、それとも恋愛感情か…いやいや、こっちは35歳独身のおばさん、あっちはモテモテでキラキラの25歳。何かの間違いだと思いながらも、どこか浮かれている自分が気恥ずかしい。
私は今、久しく触れていなかった感情にびっくりしているだけだ。
ああ、明日も仕事だ。大倉さんに会ったらきちんと話をしよう。

翌日

「あ、大倉さんおはよう」
『あっ…おはようございます…』
なんだか歯切れが悪い。やはり私のことを意識している…って、自惚れちゃダメね。
ちゃんと、伝えなきゃ。
「あの…今夜、よければ一緒に、ご飯とかどう?」
顔は紅潮していないだろうか。汗は出ていないだろうか。心臓の音は聞こえていないだろうか。
『っ!!ぜ、ぜひっ!!』
「…良かった!じゃあ、1日頑張ろうね」
私はそう言って立ち去った。
「…」
周りに誰もいないことを確認すると、途端に安堵感が溢れ出てきた。
気持ち一つ伝えるのにドキドキして、心がむずむずして。それになんだか、彼女がやけに綺麗に見えて…
そうだった。「好き」ってこう言うことだった。


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