BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- ホストは霊感強めでゲイ
- 日時: 2023/02/05 10:07
- 名前: hikaru0221 (ID: xFdKC5ra)
第一話 >>1
第二話 >>2
第三話 >>3
第四話 >>4
第五話 >>5
第六話 >>6
第七話 >>7
第八話 >>8
第九話 >>9
ひょんなことからホストになって、恋をして、実家の家業を頑張る大学生―夏目翔馬。
御曹司なのにホストなんかやってる自由人ー早乙女渚。
二人の周りには個性豊かな家族や友達がいる。
そんな二人の“日常”を描いたラブストーリー。
――
pixivかなんかでコミカライズ出来たらいいななんて思ってます。
※この話はフィクションです。人物・団体は実在しません。
- Re: ホストは霊感強めでゲイ ( No.5 )
- 日時: 2023/02/03 17:16
- 名前: hikaru0221 (ID: xFdKC5ra)
「すいませんでした」
辰也は床に正座で座らされていた。
―五分前―
辰也と渚が翔馬の家にあがった。その時、辰也は見てしまった。翔馬がソファーに踏ん反り返って――タバコを吸っているのを。
まずいな、と辰也は思う。
――タバコを吸うってことはそれほど怒ってるってことやろ?ってことは、俺らはもちろんしばかれるやろ?しかもあいつ怒ったら、Sになるもんな。今日が命日かもしれんな(誇張していっています)
辰也は渚の方を見ると渚は頬を赤らめていた。
――翔馬、カッコイイな。タバコ吸ってるとこもカッコイイな。怒ってるとこも。あ~もう死にそう(誇張していっています)
そんなことを渚は考える。
「何そこで突っ立ってんだ。とっとと此処に座れや」
翔馬が辰也の方を見て言う。
――未だに怒ってんやろうな。
辰也が翔馬の隣に座ろうとすると...
「そっちじゃねぇ。お前はこっち」
「痛っっっっった!」
翔馬に尻を叩かれる。そして、ローテーブルを挟んで向かいに床の上で正座をする。
――渚は普通にソファーに座ったのに...。何なんこの差は...。
「なんか最初に言うことは?」
翔馬が悪戯をした子供の母親の調子で言う。ただ、母親と違うのは目が怖いということ。
――すんごい見下ろしてくるやん。ホンマ勘弁してや...。超怖いねん。高校以来やけど怖いもんは怖いねん。ていうか、なんか俺だけ扱い方ひどいんやけど。
「ごめんなさい、翔馬。僕、世間知らずの御曹司だから、いつの間にか人に迷惑かけてることが、時々あるんだよね。ホントに今回は反省してます」
渚が謝る。すると翔馬は、今までの顔は何だったんだと疑いたくなるような明るい笑顔で
「よく言えました、渚。偉い偉い(ナデナデ)」
「!――(*´ω`*)エヘヘ///」
翔馬が渚の頭を撫でて、渚は顔を真っ赤にして照れる。
――当たり前のことしてんのになんで...。こんなのを見る俺の気持ちにもなってや、って思うわけ無いか。そんにしてもムカつくわ〜。なんかすんごくムカつくわ〜ヽ(`Д´#)ノ。
「で?辰也は?」
――さっきまでの笑顔は何やったんや。またあの怖い笑顔やん。どこのヤクザやねん。
――冒頭に戻る――
「そういや。オーナー、お前のこと知っとったで」
辰也が重たい空気を押しのけるために話題を変える。
「(・・?...名前は?」
「内田成陽やけど」
「なッ...!」
翔馬が驚く。だが驚き方が尋常じゃない。さっきまで吸っていたタバコを灰皿に擦り付け、火を消す。
「なんや。知り合いか?」
「知ってるも何も...早く言ってくれよ...。言ってくれたら快く引き受けたのに...」
「ホント?!翔馬(゚∀゚)」
「ホンマやな?男に二言はないで?」
二人が翔馬に近づく。その勢いに翔馬は体をひく。
――近い。近い。
- Re: ホストは霊感強めでゲイ ( No.6 )
- 日時: 2023/01/21 08:10
- 名前: hikaru0221 (ID: xFdKC5ra)
翔馬はアホらし、と思っていた。
――最初から聞いときゃよかった。
『内田成陽』
――もし同姓同名じゃなかったら、おそらく『総長』だよなぁ。
翔馬は今、これから自分が働こうとしている店の前にいる。もちろん両脇には、渚と辰也がいる。
――辰也が気づいてないということは、もしかしたら違うのかもしれない。
辰也は高校の時、翔馬と一緒にバカをやった。もちろんその集団のリーダー格である成陽のことを知らないわけがない。
そんなことを翔馬が考えていると、渚が急かす。
「ね、早く、早く!(*^▽^*)」
「あぁ、うん...」
翔馬は覚悟を決めて店の扉を開ける。店の中には誰も居なかった。当たり前なのだが翔馬たちが訪れたのは、午後一時を過ぎた頃だ。こんな昼間から店を開く分けない。
「こっち、こっち」
渚に案内されて奥にある部屋に通される。そこには、一人の男性がいた。アウターカラーがピンクグレーシュの中世ウルフ。化粧はしているが、鼻筋が通っていて整った顔立ちをしているところを見ると、ホストなんだろうなと思う。
そして容姿こそ変わっているがその笑顔は昔から変わっていなかった。
「総長...」
「わ〜(=^・^=)!翔馬だ〜。ていうか、覚えててくれてたんだね?嬉しい〜」
そう言って成陽は翔馬の後ろに回る。そして、翔馬に腕を回す。傍から見たらバックハグのようだが、翔馬より成陽のほうが背が高いので、実際は成陽は翔馬によっかかっている。故に、
「重いです、総長」
「え〜いいじゃん、久しぶりなんだし。それに"総長"っていうのやめない?"成陽"って呼んでよ」
「じゃぁ、"成陽さん"で」
そんな二人の会話を聞いていた渚の顔は――怖かった。怖いと言っても元々が童顔なのであまり怖くない。眉間にシワが寄っている、その程度だ。
「あっそうだ〜。いくらでも休んでいいからね?全然問題ないから。俺一人で女の子相手したことあるから」
「はぁ、そうですか」
何だかんだでチョーゆるいホストクラブで翔馬は働くことになりました。
- Re: ホストは霊感強めでゲイ ( No.7 )
- 日時: 2023/01/26 19:38
- 名前: hikaru0221 (ID: xFdKC5ra)
――翔馬はカッコイイ。
渚は嬉しかった。大好きな翔馬と一緒に仕事をすることができるから。でも、
――なんだろうね。この気持は。
ホストとして働いている翔馬を見ると、なんかこう――。
――嫉妬なんだろうね。きっと。お客さんに対する。
密かに思いを寄せている翔馬が自分以外の人と楽しくやっているのを見ると、どうしても落ち着かなくなる。翔馬と一緒に仕事をするようになって、そう思うようになった。
――なんでこの世界に誘い込んじゃったかな。
此処のホストたちは、全員、成陽の高校時代からの昔馴染らしい。そして、翔馬もその一人だった。翔馬の周りにはいつもたくさんの人がいる。自分の入る余地のないくらい。渚はそれが許せなかった。悔しかった。
――嫉妬だね。これは。まぁいい、とりあえず、仕事に集中。
「ねぇ、なぎさっち。顔色悪くない?」
「(・・?...大丈夫だよ。気にしなくていいよ?」
「え...でも」
「大丈夫、大丈夫」
確かにこの時、渚の顔色は優れなかった。影で見守る梓も心配するほど。でも、理由は渚自身分かっていた。この日もそうだった。最近、仕事が始まると気分が悪くなる。
渚の顔色が悪いことは翔馬も心配していた。だから、
「キャァァア!!
「なぎさっち!?しっかりして!」
渚が倒れた時、いち早く駆けつける。幸いこの時、翔馬に指名は来ていなかった。
「おい!大丈夫か?」
翔馬は渚を抱き起こし渚の顔をのぞく。苦しそうに息をしていて、顔はかすかに紅潮している。翔馬はすぐさま渚の額に手を当てる。
――熱い。
「翔馬。今日はもう帰っていいよ」
いつの間にか成陽が背後にいて、翔馬は驚いたが、成陽の言葉に甘えて帰らせてもらうことにする。辰也も心配そうな顔でこちらを見ていた。
翔馬は渚を横向きに抱える。
「梓さん」
「車、用意できました」
車に乗り込んだ時、渚と自分の荷物を持ってきていないことに気づいたが、渚を早く家に帰すことが優先だったため、諦める。が、後部座席に投げ込まれた。ドアの方を見ると辰也がいた。
「ほな、良いお年を」
「お前もな」
翔馬は明日帰省する。年が明けるまで皆には会わないから、最後のあいさつをして別れた。
翔馬は渚の家について、まず驚いた。さすが財閥の息子なだけあって家がでかい。しかも梓曰く、此処に一人で住んでいるらしい。
――いくらなんでも一人暮らしにはでかすぎんだろ。
「寝室ってどこです?」
「リビングのソファーに寝かせておいて下さい」
腕に大量の掛け布団やら毛布やらを抱えて、梓は言う。
――それでいいのか?
「側に居てあげて下さい」
「?」
「渚様はその...。同性愛者なのです。俗に言う、ゲイというやつです。その性分のせいで、家族の方々と疎遠になっております。ですが、内田様にお会いしてから、渚様は笑うことが増えました。以前は人と話すことがあっても女性の方でしたが、男性とも話されるようになりました。ご迷惑かと思いますが、側に居てあげて下さい。おそらく渚様は――」
「そこまで心配しなくても看病しますよ、渚の。此処まで着いて来てしまったし。それにここで無視するのは寝覚めが悪いので」
「ありがとうございます」
翔馬は今夜、渚の家に泊まることにした。明日は帰省するつもりだったが、少々、遅れそうだ。
――まぁ、大晦日までに着いとけばいいか。
- Re: ホストは霊感強めでゲイ ( No.8 )
- 日時: 2023/01/30 20:15
- 名前: hikaru0221 (ID: xFdKC5ra)
――温かい。
なんの匂いだろう?
美味しそうな匂いがする。
渚はゆっくり、目を開ける。
自分はソファーで寝ていて、額に冷却ジェルシート(熱が出た時貼るやつ)が貼ってあった。
梓が朝食でも用意しているのだろうか。美味しそうな料理の匂いがしていた。
――でも、なんか。体が重い?
それもそうだ。渚には何枚も布団が掛けられているのだから。
――梓がやったな。
文句をつけようと渚は立ち上がる。まだ、熱があるのか足元が多少ふらつく。
キッチンにいる梓に文句を言おうと口を開いた時、初めて気がついた。料理をしていたのは、翔馬だった。
「翔馬――」
「お!おはよう、渚。もうすぐ、朝ごはんできるから。待ってな」
「う、うん」
翔馬が優しい笑顔で挨拶をしてくれた。そして、また朝食づくりを再開する。翔馬は楽しそうな、嬉しそうな顔をしていた。その横顔を見て、渚の中で何かが弾けた。
翔馬は料理に集中している。渚はゆっくり翔馬の背後にまわり、近づく。翔馬の背中に触れる。
――大きな背中。
もっと近づいて、顔を埋める。腕を回して、抱きつく。
「渚?」
翔馬の戸惑った声が聞こえる。
「...嫌だよね。男に抱きつかれるの。でも、少し我慢してよ」
「うん?」
「僕さ、男の人しか好きになれないんだよね。なのに、女の子としか、気軽に話せないんだよね。男の人は、なんか、怖いと言うか。僕のことを嫌うと言うか。とにかく、近づいてくれないんだよね。僕の兄さんだってそうだ。でも、"愛"とか"恋"とかそういうことになると、男の人じゃないと無理なんだよね」
――何言ってんだろ、僕。
翔馬は黙って続きを待つ。コンロの火を消した。
「女の子は好きだよ。こんな僕でも、仲良くしてくれるから。でもね。男の人は――」
渚は下唇を噛む。脳裏に思い出したくない光景がちらついたからだ。自然、腕に力が入る。
「...男の人はね。...僕、をね。その――」
「渚。もういい。言わなくていいから。もう、言おうとしなくていいから...」
「ぅ、うん。......うん...」
渚はもっと腕に力を入れる。涙を堪えるために。
――翔馬の服は濡らしたくない。涙で濡れた顔も見せたくない。
でも、翔馬は渚の力強く握りしめられた手に触れる。さっきから、震えていたから。
渚も、限界だった。
――翔馬。
渚の大きな目から、涙が零れ落ちる。翔馬の服を濡らさないように、顔を背中から離して静かに泣く。でも、翔馬は渚の思いとは裏腹に、渚の繋がれた手と手を、そっと外す。そして振り向いて渚をしっかりと抱きしめる。
――翔馬の、バカ。
涙が溢れ出る。止まらない。翔馬のからは渚の表情はわからない。でも、嗚咽は聞こえてきた。翔馬は渚の頭をそっと撫でる。それくらいしか何も出来ない自分を、もどかしく思いながら。
- Re: ホストは霊感強めでゲイ ( No.9 )
- 日時: 2023/02/05 10:00
- 名前: hikaru0221 (ID: xFdKC5ra)
渚はひとしきり泣いて、落ち着いた。
相変わらず翔馬の胸に顔を押し付けたままだけど。
「...僕はさ。こういう"性格"だから、ずっと一人だった。一時期、人間が怖かった時期もあった」
「うん」
「でも、成陽に会って、変わることが出来た。成陽には感謝してる。でもね...」
――何なんだろうね。この気持ちは。
いや、ずっと分かってたんだ。
でも信じないようにしていたんだ。
「同性からこういう事言われるの、嫌かもしれないけど」
一旦言葉を切る。
「僕はきっと翔馬のことが好きなんだ。大好きなんだ、きっと」
渚は翔馬の顔を見上げる。
「こんな僕でも、愛してくれますか?」
翔馬は思わず天を仰いでしまう。
――そんな目で見ないで///。もうー、可愛過ぎる。
渚の目はさっきまで泣いていたので、潤っている。光の都合上、渚の目が翔馬には輝いて見えた。
一方、渚は、また翔馬の胸に顔を押し付けて、
――終わったぁぁあ!!ある意味、終わったァァア!
言ってしまったぁぁぁああ!!!!
だって、誰が聞いたって...
『こんな僕でも、愛してくれますか?』
これ告白でしょ!!
いくら、朦朧としていたからって...!
翔馬に嫌われる!嫌われてしまう!!!!
あまりの恥ずかしさと後悔に、顔を真っ赤にして、翔馬に回した腕に目一杯力を込めてしまう。
これにはさすがの翔馬も、
「渚、強い。痛い...」
「あ、ごめん」
渚はサッと翔馬の体から、離れる。超気まずい空気になったので、話題を変えるために渚はネタを探す。
――あっ、朝ごはん!
「そ、そういや。翔馬、何作ってたの?」
「ん?――ああ、ミネストローネだよ」
「へ〜――」
そう言って渚は鍋に指を少し入れる。
「ちょっ――」
「ペロッ――美味しい♡...でも、いつも梓が作ってるやつとは、少し違う?」
「よく気づいたな。一般的な味付けとは少し変えてる」
「"翔馬流"ってやつね」
「上手いこと言うな。でも、"翔馬流"じゃねぇ。アレンジしたのは俺のじいちゃん」
「ふーん――?」
翔馬は渚の顔を覗き込む。
――翔馬...?顔、近い...
渚の前髪をかきあげて、額に貼ってあったジェルシート剥がして、手を当てる。
「熱、下がったみたいだな。顔洗ってこい。朝食にするぞ」
「うん...」
また顔が熱くなるのを、渚は感じる。少し期待してしまった自分が恥ずかしくもあり、告白(?)をスルーされてしまったことが悲しくもあり、でも、翔馬に額を触ってもらったことが嬉しくもあり。
――翔馬と恋人になれたら。
そんなことに胸を膨らませながら、顔を洗いにいく。
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