BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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僕らは死ねるが消えない(仮)
日時: 2023/04/03 17:30
名前: 解体 蘭 (ID: 6BbhaqaU)
プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode

何かとくそ分かりにくいし性癖全開なので「は?話の流れ分からんのだけd」とか思っても自分が中学生のころに考えたネタをなんとなくリスペクトして書いたので中二病の子供が書いた文章だと思ってお読みください。jk(ちなみに一話ks長い)

第一話
 ―—死にたい。
 ―—死ななくちゃいけない。
 ただそれだけを胸に僕はフェンスをよじ登る。
 網に足かける音を聞くたびに不安に襲われる。
 ここには何度足を運んだだろうか。
 深夜一時、人が住みそうにない薄暗い廃墟の屋上から見る林の先には、都会の景色が広がっていた。
“なんで”何度も自分に問いかけた言葉。
 僕はただ普通にまっとうなサラリーマンとして朝起きて、支度をし、会社に行き、仕事をして、家に帰り、眠る。
こんなのみんながやってきたことじゃないか。だけど、上司は仕事ができないと馬鹿にして、裏で暴力をふるう。両親は僕が結婚しないことに腹を立て、孫の顔を見さしてくれない子供だと近所の人に言いふらし、電話をかけては文句ばかり。
 だけど、好きな人ができた。
 それはすごく喜ばしいことかもしれない。けどそれは絶対にあってはいけないことで、気持ち悪がられることだと思う。
 馬鹿だな。何度もここにきては何度も同じことを思う。それなのにいまだ覚悟はできない。
 ここで死んでしまったら警察の方々に迷惑かもしれない。会社の人たちに甚大な影響を及ぼしてしまうかもしれない。両親はこれからずっと孫を見られずに死ぬんだという思いで暮らしていかなくちゃいけないかもしれない。
「if」の言葉が次々と脳内に浮かび、僕の命にしがみつく。
 半端な覚悟のまま靴を地面に投げる。
「ごめんなさい。」
涙はあふれ続け、命綱となる手の力は抜けてくれない。

 ―—突如
「うわあああああああっ!」
 ―—叫び声とともにどかどかと階段を上る音がした。
 二人。恐ろしくなって、フェンスの裏から物陰に隠れた。
 屋上まで全速力で走った足を引きずりながらスーツを着た男が叫んでいる。
「悪かった、悪かったって、遊び半分だったんだ。酔ってて、死ぬ気はねんだよォ…。」
 ここには逃げ場もなく、あっけなく追いつかれた男はそのまま倒れこんだ。
「……。」
 ―—無言。
 追いかけてきた男は十六ほどの年で、黒髪で白いワイシャツ、サイズが合っていない黒のジャージをはいていた。
右手にはガラケー、左手には包丁を持ちゆっくりと確実に男に近づいた。
「キャンセル不可能です。」
 かすかにはなった言葉は男を狂わせた。

 ―—怖い。
「死にたく…死にたく……な…。」
 ―—やだ。
 グサグサと肉に刃が刺さる音は心底不快で恐ろしく泣けてきた。
 目の前で見る光景は僕の先ほどの思いを覆すほど見るに堪えなかった。
 ふと青年がこちらを見た。
 もしかしたらこちらに気づいたのではないか。息を殺し静かにしたいのに、金網をつかむ手は小刻みに震えだした。ガチャガチャとなる金網がこすれる音は青年の興味を強く引き立ててしまったようだ。
 立ち上がった。
 ―—殺される。
 直感に駆られた僕は、逃げようとしてフェンスを越えてひたすら階段に向かって走った。
 本当にいいのか?
 ふと疑問に思った。せっかく死のうと思っていたのに、結局生きたいと思い逃げているじゃないか。
 立ち止まり、振り返った。青年の顔には男の血が飛びまだ若い未来がある顔を汚していた。
 青年は追いかけることなくじっと僕を見つめていた。緊張と沈黙が走る中、二十秒、三十秒ほどたった。お互いがただ目を離さずに立っていた。
「お兄さん、飛び降りようとしてたの?」
 沈黙を破ったのは青年のほうだった。
 どう答えればいいか分からず、ただうなづいた。
「お兄さん、じゃあもういらないの?」
 間違っちゃいないだろう。チクリと痛い心を後に返事をする。
「そうだね、僕いらない人間です。」
「やりたいことある?」
 ―—やりたいこと。
 考えたことがなかった。
 ―—やりたいことは
「遊園地とか……行きたいです。」
「そっか。」
 青年は徐々にこちらに近づいてくる。
 不思議と逃げようとは思わなかったし、怖いとも思わなっかった。
 肩にポンと手を置かれ、しゃがむように目線で指示された。しゃがむと青年もしゃがみ包丁を床に置いた。
「頼みがあるんだけどいい?」
 ――頼み?
「俺もうすぐ捕まっちゃうかも。だから残りのいらない時間俺に頂戴。」
 ニコニコと笑うその顔は心からの笑みだと思った。
「別に殺したりはしないし……ついでだからお兄さんのやりたいこともやろうよ。」
 言葉が出ずに呆然としていると”はい”と小指を目の前に出してきた。
「二人で好きなことして、最後は二人でおっ死のうぜ?」
 これは僕の最後の約束となるだろう。出会いは自殺未遂に殺人現場の目撃。すごくおかしいけど、不思議とそばにいてほしいと思った。
 そうして僕は小指での固い握手を交わした。

      *

「ママーっ、あれ食べたーい!」
「はいはい、一緒に行くから並ぼうね。」
 子供や大人もみんなが笑顔になれる場所。
 遊園地。
「俺らもソフトクリーム、食う?」
「はい。」
 僕はあの後、青年の家に連れられた。
 男の死体は帰る途中に林の奥に埋めた。「手伝います。」と言っても彼は「俺がやるから、何もしなくていいんだよ。」と言った。
 彼の家は大きなマンションで、素人の目でもわかるぐらい住むだけでも何十万もいくような建物だった。彼の部屋は最上階の百三十六階。
 部屋に入ってまず、用意されていた服に着替えた。
そして彼に寝るようにだけ言われた。
 朝起きて、彼は遊園地に行くと言い出した。突然のことで驚いた。
 気が付くと彼は着替えていて、それはドラマに出てくるような身なりの整ったお坊ちゃんのようだった。
 エレベーターに乗り下に降りると、有名企業の社長が乗るような、わからないが、セダン…のような車があった。中に乗ると、スーツを着た男たちが乗っていた。
 そうして彼と遊園地まで来たのだ。
 はっきり言って今の今までまったくもって会話を交わしていない。
 本当は聞きたいことが山ほどあった。あの男が言っていたこと。彼の家のこと。彼の正体。
 何よりも『彼の名前』。
「はい。」
「うわッ」
 突然ソフトクリームを口元に運ばれ大きな声が出てしまった。
「味わって食えよ。」
「ありがとうございます。」
 バニラ味なんてどこも変わらない、そうおもっていたのに…不思議とコンビニで買うアイスよりも甘くて…アイスなのに温かかった。
 そのあとは、二人でジェットコースターに乗ったり、買い物をしたりした。
 気づけばもう夕方だった。
「最後は、あれ乗る?」
 彼が指をさした先には、巨大な観覧車があった。
 僕はすっかりワクワクして、返事もなしにその方へ走り出した。
 観覧車に乗ると童心に返ったようにはしゃぎだした。
 楽しくてしょうがない。
 人生で久しぶりに幸せだと思った。
 隣で座っている彼の存在も忘れるほどに…。
(すごいさっきまで見てた景色が、どんどん小さくなってく…。)
 視線の先には常に楽しそうな人がいる
 
 ―本当にいいのか。
 ―僕なんかがこんなところにきて、のこのこと笑ってていいのだろうか。
 ―勤務先ではいつも仕事をもらってた。頼まれたり、はたまた部下の失敗のしりぬぐい。
 ―会社の人たちは僕がいなくて困ってるのかも…。いや、本当は気にも留めていないんじゃないか…。
 突然いろいろな不安が湧きだしてきた。

 ふと視線を逸らすととある人物にピントが合った。

「彰さん……。」
 
 僕らが乗る観覧車はもうすぐ真上に上ろうとしていた。
 メリーゴーランドの白馬に乗る娘を愛おしそうに見つめている。
 小林 彰(こばやし あきら)【二十七歳】
 僕の会社の同僚。
 僕の想い人。
 隣には奥さんと思われる女性がいた。
 幸せそうに腕を組んだ二人は手を振ってくる娘に笑顔で応える。
 既婚者なのは知っていたし、娘がいることはもちろん承知の上。
 しかし憧れに近い温かさはなかなか冷えてはくれなかった。
 先程まで上がっていたテンションも底についてしまった。
 気づけば観覧車は終わりを迎えた。

 帰り、車の中で考えた。
 これから僕はこの青年とどう過ごせばよいのか。
 ―僕はいつ死ねばいいのか。
 ―僕はいつ彼と死ぬのか。
 そんなことを考えながらゆりかごに揺られてそのまま眠った。

 いつも寝る時間よりあんまりも早く寝たものだから、夜中に目が覚めてしまった。

 ガシャンッ

 リビングのほうで何か物を落とした音がする。
 寝室につながったリビングへのドアをほんの少しだけ開ける。
「何度言ったらわかるんだお前はッ!」
 そこでは小太りした中年男が青年に向かってビール缶を投げつけていた。
「なんでいつもお前は家に帰ってこないッ…このビルはお前を住まわせるために買ったんじゃないッ!」
「……。」
 青年は何一つものを言わない。反撃の言葉を知らない無垢な幼児のようだ。
 きっとこの男は青年の家族だ。この男は青年のした行為すべて知っているのだろうか。
「それと地下から生臭い臭いがしたぞ。あそこで何をした。」
 青年はこわばって全身を震わせている。
「それにフロントに聞いたが客人が来てるようだな。どこにいる?」
「……。」
 僕がここにいることすらあの男は知らない。

 ―助けたい。
 ―助けてあげたい。
 そう思いながらも僕はドアを固く閉じた。
 


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