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複雑・ファジー小説
- Re: 奇跡と軌跡 ( No.16 )
- 日時: 2011/03/05 08:04
- 名前: ゆn ◆Jj3CntErgQ (ID: XLtAKk9M)
「いいか、お前等。今回の昇格者は一人だ……」
呆れたような、面倒くさそうなよくわからない口調で昇格者がいることを教える。
昇格者。テストで95点以上を取った人だけがF組みからE組みに移れるというものだ。
俺は昇格なんかしたくないし、降格もしたくない。
だから、勉強も一応はするが基本的に90点台で止めている。
上のクラスに行くほど勉強も難しくなるし、昇格に必要な点数が上がっていくからだ。
「小野。お前だ」
「あー、はい……って、は!!?」
「俺だ、お前なんかではない」
俺ともう一人の小野が返事をする。
先生が一瞬驚いた表情を見せた。このクラスの担任の癖に……。
「あぁ、小野柳架だ」
俺たちの顔を見比べながら先生がフルネームで俺の名前を言った。
もう一人小野……基小野凛はとても悔しそうな顔で俺の事を睨んでいた。
「早く行け、今日からお前はE組なんだから」
先生の急かす言葉を背中で受け止めてF組みの教室からでる。
終始仲の良かった友達からの尊敬の眼差しや、凛からの睨み、他の生徒からのヘンな眼差し。
先生からの嬉しそうな眼差しが背中に重荷となってのしかかった。
廊下を歩いていると、昇格ではなく降格してしまった人たちとすれ違った。
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