PR
複雑・ファジー小説
- Re: 戦場の双子 ( No.106 )
- 日時: 2011/04/09 15:27
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)
- 参照: ぽぽぽぽーん♪
#22
「ドラゴン?龍伝説って…」
私が呟く。
その小さな声が竜に届いたらしく、竜がうなった。——まて、何で私は竜の言っていることが分かる?
うなり声が、言葉に聞こえる。ちゃんとした、言葉に。
何故私が?
そんな思いも裏腹に、竜が話し出した。
『あなたが由紀さん、いや、由美さんですね』
「そうだ、何故知っている?」
…真面目に考えるとこれって、すごい光景なのかも知れない。
だって私が竜と話しているんだから。
…あー、由紀にも見せたかったな。由紀ならすぐに仲良くなり、溶け込めるのに。
私は、駄目だ。
よく無愛想、といわれるのだが、そのとおりだと思う。自覚はある。
どうしても、相手に冷たくなってしまうのだ。
私のこの性格のせいで、痛い…。
…あれ?
痛い?
痛いって何だ?
何がだ?
痛い…?
由紀と私が痛い?
——なんだっけか。思い出せない。
『何を考えていらっしゃるのですか?』
竜の声に、私がはっとなる。
思い出せない記憶が頭の中でぐるぐると回る。痛い、痛い、痛い。思い出せるのはソレダケだ。
『少しお休みになられたらいかがでしょうか?』
「ああ、じゃあ、お言葉に甘えて」
私は竜に背を向けて、壁に寄りかかって座り込んだ。
そのまま、眠ってしまったようだ。
PR