複雑・ファジー小説

Re: 双子~monokuro~ ( No.11 )
日時: 2011/03/10 16:51
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: e8jC9Mfi)

#4



「私は、お姉さまを、この手で…」



自分の宿命。それは、姫として、この王国のトップとして、対になる王国、つまり闇の王国をつぶすこと。
光の世界に闇などはあってはならんのだ。
それがこの理屈。
二つの王国の姫は、15歳の誕生日の夜、戦に出る。
光の誕生日が早かったなら、光の姫が殺しに行く。闇の王国も同じように。

闇の王国は、城の者で成り立っている。だから、闇のトップを殺せばいい。
そう、自分の姉を自らの手で殺める…。
その宿命は、決して逃げられない。姫を罪人にしようというのだ。

私はただ…。お姉さまが生きていられればいいと思ってこの王国に付いて来たのに…。
嗚呼、お姉さま。
貴方にも同じ宿命があるでしょう。どうか、どうか。私がお姉さまを殺すことがありませんように…。



「姫君、さぁ、パーティですよ。戦の前の腹ごしらえです」



執事が食べ物をおく。
私には、食べる気が起きなかった。

嗚呼、神様。
どうしてこの国は争うのでしょう。どうして、どうして…。
私たちがぶつかった後、もう二度と争うことの無いように。嗚呼、神様。お願いいたします——。


お姉さま。私は貴方を殺せません。
きっと貴方は私を殺しますよね。闇の王女ですもの。
でも、それで貴方に幸せが訪れるなら。それで貴方が生きていけるのであれば。
私は、貴方に命をささげます——。


桜の木の上で小鳥が鳴いた。
心地よい春の日。戦には合わないわ…。

私、今日で死ぬのよね。
皆様、今まで有難う…。


私は、いつまでも像の前で手を合わせた。