複雑・ファジー小説

Re: 戦場の双子 ( No.113 )
日時: 2011/04/12 18:58
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)
参照: え?死にたいの?殺してあげようか?

#24



「リラ…」


目を覚ました私は、小さく呟いた。痛いのは、リラ?陸…?
陸。陸って誰だっけ。思い出せそうで、思い出せない名前。「痛い」。


『お目覚めですか』


竜が言う。
竜は、眠る前と同じ格好で、佇んでいた。


「ああ」

『では、貴方を此処へ呼んだ理由をお話しましょう』


竜は、大きな目を閉じて、開いた。
赤い目。リラと同じ。


『リラを、助けてほしいのです』


竜は、静かに言った。
私は何も答えずに、突き刺すように竜を見た。問わない。


『リラの目のあたりに、タトゥーがあるのはご存知ですね?』

「ああ、それがどうかしたのか?」

『あれは、リラの憎みの尊重なのです。リラが憎めば憎むほど、タトゥーはくっきりと、鮮やかに浮かび上がります』


また、沈黙。リラのタトゥーは見た。
でも、リラは人を憎むのか?
竜は続ける。


『もうすぐ、限界なんです』

「それは、どういう意味だ?」


私が静かに、重く問う。
竜は、しばらく間をおいて、告げた。


『限界を超えると、この世界が終焉を迎えると思ってください』


竜は、哀しそうに言った。


『リラが、暴走します』





竜は、私にすべてを話した。すべて。