複雑・ファジー小説

Re: 戦場の双子 ( No.23 )
日時: 2011/03/13 12:44
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: e8jC9Mfi)

#7


「サヨナラ」


私は由紀、いや由美にサヨナラを告げた。
大丈夫だ、これからは一緒だ。いつも、いつも。

私は光の国へ向かう。
嗚呼、桜という物はこんなにも綺麗なのか。
東の空が暁に燃えるころ、私は白の門についた。


「おお、姫様がお帰りになったぞ!!」


誰かが叫ぶ。大きな拍手と野次が飛ぶ。
私はそれに答えてにっこりと笑った。

嗚呼、人とはこれほど暖かいものなのか。
そして、これほど残酷なものなのか。

私は知らなかったな…。光のことも。人間も。
闇とは大違いだ。いい世界だな…。

桜の花弁が肩に乗った。
私は花弁を摘み取ってまじまじと見つめた。

——オモシロイ、光トハオモシロイ——

私は自分の部屋、いや由紀の部屋に行き、ベットに大の字に転がった。
由紀は、いいな。
こんなにいい生活をしていたんだ。

——妬ましいぞ…。

私は窓から拭きぬける清々しい風を感じながら、ぐっすりと眠った。
日の光が私の悪を洗い流してくれるようだった。