複雑・ファジー小説

Re: 戦場の双子 ( No.29 )
日時: 2011/03/13 18:10
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: e8jC9Mfi)

#8


開けっ放しの窓から小鳥が入ってチュルチュルと鳴いた。
私は思い体を起こし、窓を見た。
その小鳥は、一通の手紙を咥えていた。

私は手紙を受け取って、読んだ。
小鳥はそのまま動かずに、舞い降りた桜をつついていた。


「光の国のお姉さま

  どうも、由紀、いや由美です。
 光の国はどうでしたか?いい所だったでしょう?
 闇の国は結構冷たいです。
 帰っても何も、誰も言れなかったです。でも、罪人に問いかけないという優しさだと思います。
 こう考えればいいところです。
 光の国の人にも知って欲しい…。
 お互いを知ることが一番の近道です。私はこれからこの世界を変えようと思います。
 お姉さまも協力していただけますよね?

 闇の国 由美」


私はその手紙を握り締めた。
悪がいい?いいところ?
…由紀はすごい。
どんなに世界でいらない物も、暗い者も、悪も愛せる。
——心底妬ましい。

そうだ、返事を書こう。
私も協力します、と。


「闇の国 由美

  手紙、読んだ。
 そうか、闇が気に入ったのなら良かった。
 私は闇を光へ導いて欲しいと考えている。もちろん、協力するつもりだ。
 まず、闇のものを一人ずつ、光へ招待してみたらどうだ?
 私も国にあたってみる。
 
 P.S
 伝書鳩なんて何処で覚えたんだ?

 光の国 由紀」


小鳥は書き終えた手紙を持つと、暗い森へ飛び去った。
私が変われる。きっと、闇の者も変われるだろう。
嗚呼、でも由美が悪になるかもしれない。
私は由美も、世界も救ってみせる。
嘘じゃない——。