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複雑・ファジー小説
- Re: 戦場の双子 ( No.50 )
- 日時: 2011/03/19 10:53
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)
#12
最後に、リラは告げた。
「悪は悪のままなのかな?善にはなれないの?私、一生闇の中だなんて、絶対嫌だから」
私は、幼い少女の言葉に、涙を流した。この国は、そんな過去があったんだ。白は、真っ白じゃないんだね。黒だって、真っ黒じゃないんだね…。
「お姉ちゃんは、この国をまだ知らないでしょう?だって、光に居たんだから」
ログハウスの窓が、カタカタと揺れた。
私は驚きを通り越して、感心した。私たちを見分けられるんだ。国の者でさえも、城のものでさえもわからなかったのに。
リラは、笑顔でこう言った。
「だって、お姉ちゃんは優しいもん。目がキラキラしてるのよ、ね?」
私は、幼い少女だとは言え、少し感動した。
人を、注意深く見られる人が、この王国に居たのね、うれしい。この子なら、光の良さを分かってくれるでしょう。この国だって好きで悪をやってるわけじゃないんだから…。
「今日は寝よっか、お話して、少し疲れちゃったな」
「うん」
私は、リラにお休みと言って、眠りについた。夢は見なかった。今が幸せだからなのかな……。
明日はお姉さまにお手紙を出して、リラを連れて行こう。着いたら、お姉さまの部屋に泊めればいいかしら——。
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