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複雑・ファジー小説
- Re: 戦場の双子 ( No.55 )
- 日時: 2011/03/20 13:15
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)
#13
ログハウスの窓から、暁の光が差し込んだ。午前6時。私は、からすの合唱で目を覚ました。光がベッドに、暖かく降り注いでいた。
「リラ、起きて」
私が少し揺らすと、リラはすぐに目を覚ました。
その顔は、昨日とは違い、とても晴れ渡っていた。空と同じように。
「おはよう。今日は光に行くんだよね?」
リラは笑顔で言った。
あれ、私、光の話をしたかしら?ああ、またリラの推測だわ。この子はすごいのね——。
「そうよ、また顔に書いてあるとでも言うつもり?」
「うん!」
私たちは微笑みあって、洗面所まで走った。
そして、気がついた。——リラの髪は真紅だったはず。でも、何故黒になっているの…?
「お姉ちゃん、髪、結んで?」
「あ、うん」
私は黒いロングの髪を、二つに分けてツインテールに結んだ。
髪を飾るのは初めてらしく、リラはキャッキャとはしゃいだ。私はうれしくなって、自分の髪からリボンをとり、結んでやった。
「うわぁ、かわいい!ありがとう、お姉ちゃん!」
私は、そんなリラに笑顔を向けて、キッチンに向かった。
——そういえば、この子、一人暮らしだった。両親の姿は見あたらない。何故生きてこれたのだ…?
キッチンは、とても清潔で、買ったばかりのような輝き方をしていた。
——リラは、食べ物をどうしたのだろう。
そう思いながら、冷蔵庫を開けると、食材はとてもたくさんあった。
——何故…。
「お姉ちゃん、リラ、パンが食べたい!」
可愛く結んだツインテールを揺らして、リラが走ってくる。
私は、いいわよ、と答えて、パンを出した。
——不思議な子だな…。
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