複雑・ファジー小説

Re: 戦場の双子 ( No.73 )
日時: 2011/03/27 17:51
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)

#17


「では、失礼します」


私が笑顔を見せると、兵士は部屋を出て行った。
姉さんは、別の部屋に隠れていたようで、兵士が居なくなったのを確認すると、あきれた表情で私の前に現れた。あきれ顔はすぐに消えて、笑顔を向けた姉さんに、私の顔も自然に笑った。


「闇の人をつれてくるならもう少し早めに言ってくれればいいのに…」


リラの横たわるベッドに腰掛けて、姉さんが言った。
私は一言謝って、リラの顔を見つめた。ドラゴンのタトゥーは跡を残さず、消えている。リラは無表情で眠っている。
姉さんはリラを見て、私を見た。


「この子、誰?」


嫌な空気が流れた。
辺りは耳鳴りがするほど静か——もちろん霊が居るわけではない——で、囀り一つ聞こえなかった。


「お姉様、知らないのですか?城に一番近いログハウスに住んでいるんですよ」


姉さんは、黙って首を横に振った。
姉さんが次に発した言葉は、いかに衝撃的だっただろうか…。


「そんな家、なかったぞ?」


私たちはただ、リラの寝顔を突き刺すように見つめるだけだった。