複雑・ファジー小説

Re: キリフダ あとがき追加することにする ( No.11 )
日時: 2011/07/09 22:47
名前: モンブラン (ID: vtamjoJM)

第九話『発信源』

やれやれ、どうしたものか。
白金は余ったサンドイッチを食べながら考える。
早急に蓮を探さねばならないのだが、焔やユッキーの場所も知りたい。
探偵は……まあ大丈夫だろう。
鬼は近くに居ないようだが、こうも視界が良好だとやはり周囲が気になる。見えすぎて困る。

いや、まあこんな服だからあまり関係ないけど。……そうじゃないな。



焔は森に入ると、すぐに安部の足跡を見失った。
最も、砂浜と違い足跡の付きにくい土の上で、しかも何人かが通った形跡がある中を一種類の足跡のみを見つけて追うなんてことは文霧くらいしかできないだろう。
辺りを見回すと、青草が小枝の間を縫うように移動している。

ここで朱炎は一瞬、思考することを放りだした。
周囲に何の気も配らず、鬼の居る可能性がゼロでないにもかかわらず、大声で青草を呼んだのだ。

「おーい、蓮!」

その声に反応し、青草が下りてくる……ことを彼は予想したのだが、青草はすぐに何処かへ行ってしまった。
周囲を見渡すと、大声に反応した鬼が集まってくる。ざっと二・三人程はいるだろうか。
とはいえ、焔は歩くのは遅いが走るのは比較的速い。この程度であれば振り切れるだろう。

だがここでも、彼は判断を誤った。
走るのに都合が悪いと、なんと食料と水の入ったリュックを地面に落してしまったのである。
すると、彼はぐんぐん加速する。あっという間に、彼は鬼全員を振り切ってしまった。



しばらくすると、二人の男……文霧と玄雪が近付いて来る。
「探偵、荷物が落ちてるぞ。」
「誰のだ?」

「…………焔の。」

彼等は朱炎が全く動かないのに気が付き、鬼が居ないことを確認してから、彼のリュックのあるこの場所に来たのだ。
……だが、そこにあったのは持ち主の無いリュックサックのみ。

「おい、やっぱあんたの言ってたこと正しいぜ。」

「……ああ、信号の発信源はこのリュックサックで間違いない。」
先程から二人は、『GPSの受信する信号の発信源』について調べていた。
玄雪の持っているGPSは、参加者から発信される信号を受信して画面に映し出していることが、同封された操作説明書に書かれていた。
ならば、その発信源はどこにあるのか。

そして調べていくうち、良いサンプルが見つかった。
その発信源は、配られたリュックサックの内部。

用意周到、というわけだ。

第九話『発信源』 終

二人の協力により発信源発覚。
ここだけの話、安部さんはしばらく敵として立ちはだかります(笑