複雑・ファジー小説
- Re: キリフダ 登場人物欄更新 ( No.13 )
- 日時: 2011/08/14 20:49
- 名前: モンブラン ◆HlTwbpva6k (ID: izFlvzlp)
第十一話『奇妙な惨劇』
「……凄いな。」
そう言う他無かった。少なくとも、その時は。
「だろ?僕たちは皆こんな感じなんだ。て言ってもまだ信じないんだろうなあ、疑り深そうだし。
信じなくてもいい。ただ、この事を知っておいてくれればそれでいいんだよ。」
解らなかった。
何故このゲームを主催した者は、こんな大金を積むのか。
朱炎達は何故こんないかがわしいゲームに参加しようと思い立ったのか。
俺を連れてくる特別な理由があったのだろうか。
柱人とは何なのだろうか。これは結局、荒唐無稽すぎて理解できなかった。
そもそも、このゲームは何なのか。
何より、朱炎は何時になったら報酬をくれるのだろうか。もしも彼の言うゲームがこれでないのなら、一体どうするのだろうか。
いや、今考えるのは辞めよう。久し振りに運動をして、身体がだいぶ疲れている。
自室へ戻りベッドに横になると、数分もしない内に俺は眠りについた。
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父は警察官、母は専業主婦。そんな平凡な家庭に俺は生まれた。1990年のことだ。
事故の後は静岡の遠い親戚の家で暮らしてはいたが、『実家』は香川だった。
あまり良い思い出は無い。良い家庭ではあったが、それ故なのだろうか、あの“惨劇”へのトラウマがあまりにも深過ぎる。
ソレが起きたのは、俺が十一歳の時だ。
親戚の結婚式があるとかで、岡山の式場に行くところだったのだが。
向こう側から走ってきたトラックが突然、対向車線のこちらへ突っ込んできて、案の定衝突。
相手は大量の鉄骨を乗せた大型トラック、こちらは比較的小型の乗用車。当然ひとたまりもなく、こちらは思い切り吹き飛ばされる。
運転席を直撃していたので、もしかしたらこの時父は死んでいたかもしれない。
問題はその後である。車体はそのまま支柱の一部を折り海上に投げ出されたはずなのだが、ぶつかったという支柱には傷一つなかった。
更に、車から俺が偶然投げ出されたのだが、そこがちょうど瀬戸大橋の中間地点ほどの位置であったにも関わらず、俺と車体が落ちたのは何故か大阪は淀川の……河口だった。
また、俺の後頭部を直撃した車体は前方から見て時計回りに捻じれていたという。
そして、俺を除く家族……両親と五歳下の弟の遺体は見つからず今に至る。
墓は一応あるが、そこに三人は眠っていない。
せめて遺体だけでも見つかってほしいというのが、現在の俺の願いだ。
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ベッドから起き上がる。六時だ。
奇妙なゲーム『ソロモンコロシアム』二日目が、始まる。
第十一話『奇妙な惨劇』 終
更新滞ってて&ここ数話あとがき書いてなくてすみませんm(_ _)m
感想コメ下さると嬉しいです^^