複雑・ファジー小説

Re: キリフダ ( No.4 )
日時: 2011/05/03 20:46
名前: モンブラン (ID: z2nqgfVA)

第二話『捜索』

次の日、朱炎から三人についての情報が届いた。
三人の住所と生年月日、それから頻繁に訪れる場所が書かれていた。
とりあえず、青草蓮の捜索から始める事にする。


調査開始からものの数十分で、彼は見つかった。頻繁に訪れるという公園で、ご丁寧にベンチに座っている。
確認のため、といっても奇抜な格好なのでそうする必要も無いのだが……話しかけて見る。

「君の名前、もしかして青草蓮っていう?」

「そうだけど、………ああ、焔が言って…・・・・・・いや、なんでもないや。」

何か言いかけたが、すぐに口をふさいだ。無理に聞き出そうとしてもきっと話さないだろう。
それにしても、朱炎は本当に彼の事を探していたんだろうか。

彼、青草蓮は現在十四歳。とはいってもその年齢よりかなり若く見える。俗に言うショタっ子というタイプの人間だろうか。
住所は、郊外の小さなアパート。他の二人が同じ住所であるところを見ると、恐らくこの三人と朱炎は同居をしているとみられる。


続いて、白金鋼の捜索を行う。
彼女は東京某所のメイド喫茶で働いているらしく、早速その店舗に足を運ぶ。

店員に彼女の事を話すと、数分後彼女とおぼしき人物がこちらにやってきた。
写真で見たとおり髪は真っ白で、どうやらかつらなどではないようだ。また写真ではあまり解らなかったが、こうして近くで見るとかなり胸が大きい。

「あら、貴方が指名してくれた方?」
どうやら仕事と間違えているようだが、人探しの依頼を受けた旨を話すと納得したようだ。そのまま俺は店を出ようとしたが、彼女が呼びとめる。



まさか人生初のキスをこんな形でするとは考えもしなかった。
彼女は振り返り様にいきなり抱きつき、そのまま口付けをしてきたのである。
俺は彼女を思い切り突き放すと、その顔をじっと見つめた。

「あれ?私が“こういうの”だって焔から聞いてないの?」
きょとんとした表情。どうやら嘘はついていないようだ。

「私ね〜、キス魔なんだよね〜♪。あとバイセクシャル☆」
唖然とした。

多分この時の俺の顔は真っ赤だったのだろうが、恥ずかしさよりも驚きの方が圧倒的に大きい。俺はその足で、残る一人……玄雪雹の捜索に向かう。

彼は、いつも自宅の書斎で読書をしているらしい。恐らく彼もそこにいるのだろうと考え、電車を乗り継ぎ彼らの住む家に向かう。
朱炎から借りた合い鍵を使い、中に入る。階段を上り右に曲がると、その書斎に着いた。

ドアを押してみる。が、開かない。
鍵がかかっている様子は無いが、押しても引いても開かない。
スライド式かと思い左右に押してみたが、開かない。
もしやここに来て何かやばい事になっているのか、と考えたが、その答えはすぐに出た。

ドアが開き、中から和装の男が出てきたのである。
書斎の扉の周りには氷が落ちていたが、彼はそれを気にするでもなく通り過ぎる。

「君、焔が呼んだ探偵だよね?僕が最後だと思うんだけど。」

思わず振り向く。
まるで俺の今までの行動を見ていたかのように。振り向きもせず、瞬き一つせず、彼はそう言った。
「それじゃあ、僕もちゃんと居たって事を伝えておいてよ。」

成程、僕『も』か……。

「そうかい、じゃあそうしておくよ。」


事務所に戻ると、朱炎が待っていた。
ソファーに寝転んで、近くの自販機で買ったのであろう缶コーヒーを飲んでいる。

「全員無事だったよ。」

「ああ、そうだろうな。」
予想通り、とでも言いたそうな口調で朱炎はそう言った。


第二話『捜索』 終