複雑・ファジー小説
- Re: キリフダ ( No.6 )
- 日時: 2011/05/08 23:36
- 名前: モンブラン (ID: Oof0JpPa)
第四話『ソロモンコロシアム』
それから二日後、俺達は“ゲーム”の会場だという島に来た。
周囲数キロメートル程の島で、深い森に覆われている。港こそあるものの民家は見当たらず、どうやら無人島のようだ。
夕暮れに包まれた港に、船が接岸した。船から降りると、中世の舞踏会で身につけるような仮面の男女に連れられ、真っ白の卵のような形状のホールに着いた。
中に入ろうとすると、ネームプレートと番号の書かれた板を渡される。番号はランダムなようで、朱炎は08番、青草は39、白金は66、俺は72、玄雪は20番だった。
ホールには既に何十人も集まっており、俺達が入るとこれまた蝶のような仮面をつけた女性が出てきた。司会を務めるようで、どうやら俺達が最後に到着したらしい。
「皆様、このたびはこの“ソロモンコロシアム”会場に集まって頂き誠にありがとうございます。皆さんにお渡しした番号の書かれた板の裏面をご覧ください。」
指示の通りに裏を見てみると、そこには“裁定者『アンドロマリウス』”と書かれている。
朱炎の札には“狩人『バルバドス』”、青草は“建築家『マルファス』”、白金は“騎士『キマリス』”、玄雪は“魔王『ピュルサン』”だった。
「そこに書かれているのは、貴方が使役できる『堕天使』の名前です。このゲームでは、そこに書かれた堕天使の力をあくまで擬似的な物ですが使うことができます。」
よく見ると、大きな文字の下にうっすらと小さな文字が見える。この堕天使の紹介文なのだろう、『罪を犯した者を裁く堕天使』と書かれている。
そこから長々とした説明が続く。
このゲームの要点を纏めると、下のようになる。
①ゲームは全てこの島の中で行われる。
②島中に小型の隠しカメラが取り付けられており、このホールのプロジェクターで参加者の動きが確認できる。
③それぞれのゲームで手に入れたポイント数を競う。
④カードに書かれた堕天使により、ゲームでの損益が生まれる。例えば01番の“覇王『バエル』”は、全ゲーム中で一度だけポイントを二倍にすることができる。但し全てにおいて得をするわけでもなく、時にはマイナスに働くこともある。
⑤各堕天使の情報は、仮面をつけた人物“サポーター”に聞けば教えてもらえる。
⑥ゲームに参加する者の中でチームを組むことは自由。
⑥ゲームのルールを破ると罰則が与えられる。
⑦このホールの地下には宿泊施設が備えられている。参加者は自由に利用してよい。
⑧ゲームから脱落した者は、この島の港から船で送り返される。
説明が終わると司会者が男性に変わる。早速ゲームの発表が行われるようだ。
「それでは第一のゲームを発表致します。第一ゲームは……!!」
その場に居る全員が固唾を飲んで司会者を見つめる。
「“鬼ごっこ”です!」
鬼ごっこ。そう、誰もが一度はやったことがあるであろう、鬼ごっこだ。
「範囲はこの島の全域でございます。“鬼”は島を巡回し、参加者を捕まえます。彼らは皆『鬼』と書かれた仮面を身につけておりますので、すぐに見分けがつくと思われます。捕まった方は即脱落となりますのでご注意下さい。」
基本的なルールは普通の鬼ごっこと同じようだ。
しかし、次のルールは圧倒的に違っていた。
「参加者の皆さんには、一日おきに予め携帯食料と水、そしてこの島の地図をお渡しします。時間は午前9時から夕方5時までの八時間行われ、昼食は各自で取って頂く形となります。」
『一日おきに』という言葉が使われているところを見ると、どうやらこのゲームは何日か行われ、サバイバル的な要素も絡んでくるようだ。特に水は計画的に利用しなければならないだろう。
「ゲームが終了するのは、二日以上誰も鬼に捕まらなかった場合と、現在集まって頂いた方々七十二名の三分の一、二十四名が脱落した場合となります。また、ゲームをクリアした方全員に、50ポイントが与えられます。ゲームは明日開始されますので、今日は地下の宿泊施設でごゆっくりお過ごしください。」
そう言い終えると男性はステージから降りる。
とりあえず、地下の宿泊施設とやらに行ってみるとしよう。
第四話『ソロモンコロシアム』 終
p.s.重要なことを書き忘れていたので、修正しました;