複雑・ファジー小説
- Re: 吸血鬼street ( No.6 )
- 日時: 2011/03/21 10:27
- 名前: 郷里 (ID: sMimk0l/)
第二話の続きです。
すると,その時,
「こんな時こそ,俺の出番やありまへんか?」
みんなの視線が一点に集まる。
「おまえは・・・?」
「俺は,雲魏屡羽緋。(きさらぎ・るうき)」
一瞬,周りがざわめいた。だが,それをシンは手で振り払う。
「屡羽緋・・・だと?」
「お兄様,どうかなさいましたか?」
和佳奈が心配そうに尋ねる。
「いや,お前はちょっと席を外せ。」
「えっ?」
「いいから,早く!!」
和佳奈は,渋々と敬礼をして部屋を出て行った。
「何を慌てとるんですか?」
「どこかで聞いたことがあると思ったら,お前は,あの噂の屡羽緋か・・?」
「あの噂とは,どんな噂でしょうか?」
「街の吸血鬼を襲っているあの屡羽緋か,と聞いているんだ。」
たちまち,部屋は異様な空気で溢れていった。
「だったら,どうするんですか?」
ここらで,この雲魏屡羽緋のことを説明しよう。
こいつは,【レベル=S】ではないが,【レベル=S】より,一ランク下の吸血鬼,【レベル=G】。この【レベル=G】は,【レベル=S】よりは,力はないが,こいつらは,【レベル=S】より少ない種族。ガベルの一族とも呼ばれていて,こいつらはみんな,動物などに化けれる特殊能力を持っていて,その姿の時だけ,力を発揮できる。もちろん,【レベル=S】の中にも,この力を持っている者もいるが,このガベルの一族には劣る。そして,ガベル一族の者の名前には,絶対に,化けられる動物に関する名前が入っている。ついでに,この雲魏屡羽緋は,さまざまな,鳥に化けられる。
「ガベル一族のお前に,何が,出来ると言うんだ?」
「そーやなー,んー,自分では,よう分からんわ!」
そうなのだ。こいつは,こういう性格なのだとここにいる,みんなが思ったことだろう。
「方法は,ある!」
またまた,みんなの視線が,一点に集まった。その視線の先には,裡黄家,直当主,裡黄屡珂(りおう・るか)がいた。
「方法があるだと!?」
「はい。そこの,屡羽緋の特殊能力で,吸血鬼の皆さんを操れば,皆さんを止めること が,可能です。」
「よう知らんけど,俺が役に立つんやな・・ ・?」
「そうです。」
部屋の中に,どよめきが走った。
「そうか,そうすれば。」
「これで,あんな惨劇を見なくて済むんですわね。」
ここで,忍が立ち上がった。
「お前,それが出来るか?」
「俺は,命令されたことは,出来る男やで!」
「よし!この作戦で行ってみよう。」
と,シンは,みんなを屋敷の裏庭へ連れてきた。ここで,屡羽緋の特殊能力を試そうというのだ。
「まず,忍をお前の特殊能力で操れるか,試してみろ。」
「はいはい。分かりましたっ!」
緊張感の漂う中,屡羽緋だけが,へらへらとした顔で臨んでいた。
っとここで,屡羽緋が,美しい白鳥に変化した。これは,屡羽緋の十八番とまでは行かないが,結構,得意とする鳥だ。
実は,鳥の美しさなどで,出せる能力が決まってくる。
「うっ。」
忍が,苦悶の表情でいる。
「やめて!これ以上は,見てられない!!」
そういって現れたのは,さっき追い出したはずの和佳奈だった。
「やめろ和佳奈!お前まで,操られるぞ!」
と言った瞬間,苦悶の表情だった,忍の顔がいつもの憎たらしい顔に戻っていた。
「和佳奈様がそこを退いてもらわんと,俺もやれんのやけど・・」
そう言ったのは,さっきまで,白鳥の姿だった,屡羽緋だった。
「退けろと言われても,退きません。だって,あんまりじゃないですか。よってたかって,忍さんをいじめて・・・!!」
そこにいた,みんなが一瞬,きょとんという顔になって,頭の上にハテナマークが五,六個ついて,すぐ消えた。
「はぁ,和佳奈様,おもろいこと言いますねぇ。」
といって,屡羽緋は,また,鳥の姿になった。しかも今度は,屡羽緋の十八番,この街にしかいない,幻の鳥,カエナヤトヨ鳥に変化した。この鳥は,この街でも最高二〇羽ぐらいしかいない,もっと言えば,世界遺産に登録も出来る鳥だ。その鳥は,羽が,一〇色あり,その全ての羽が,見た者を魅了出来るものだ。さすがの屡羽緋も【レベル=S】の者には,一筋縄では行かないと思ったから,この姿を選んだんだろう。
「えっ。」
和佳奈の頭が,一瞬ぐらりと落ちたように見えたが,すぐに和佳奈は,自分の部屋へ帰っていった。
「和佳奈を操ったのか?」
屡羽緋が慌てたように元の姿に戻りながら,言った。
「こうでもしなきゃ,帰って下さらないと思うたからなぁ」
「何故,忍は苦しんだように見え,和佳奈は,普通に操られたんだ?」
屡羽緋が少し考え込むように言う。
「そら,和佳奈様は忍様より,位が高い思うて,せめて苦しまないようにしよう思うたからです。」
「そうか。」
みんなが,納得してる中,ただ一人だけ,納得のいかない者がいたようだ。
「あなた確か,屡羽緋・・・とおっしゃいましたよね。」
「そうやけど,何か・・?」
「いや,あなたに少々この世界の厳しさをお教えして,差し上げようと・・・」
「そらえらい,ご苦労かけますなぁ。」
二人の間に火花が散っているのをここにいた全員知っていただろう。
「まぁまぁ,二人とも,別に良いじゃない。屡羽緋が操れることは,充分分かったし。」
屡珂がそう言ったことに対し,屡羽緋が目を輝かせながら言う。
「そうやよな!俺,ちゃんとやっとったよな!」
屡羽緋は,屡珂にしがみつきながら,忍に向かって,舌を出した。
「シン様,あとであいつの事をわたくしの屋敷の裏庭へ呼び出してもかまいませんでしょうか?」
「あぁ,許す!だが,この惨劇が終わってか らにしろよ!」
忍がにっっっこりと笑い,
「えぇ,そんなことは,百も承知ですよ。」
その横で,屡羽緋が肩を振るわしていることには,まだ誰も,知ることはないだろう。
ああぁぁ・・なんでこんなに文章力無いんでしょうね・・
すみません,こんな駄作で・・・