複雑・ファジー小説
- Re: 頑張りやがれクズ野郎 ( No.30 )
- 日時: 2011/07/17 23:55
- 名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
【これが人屑ですよ】壱
人は面白い生き物だよ?
何を考え何を求め何を行うか。
それはどんな学問よりも研究の甲斐がある。
まあ、私も今は人間であり、これからも人間であるつもりだから。
研究は終わらないとは思うがね。
何故って?
当り前だろう?
自分と同じ存在を冷静に観察できる生命体はこの世に居ないのだからね……。
———アキラムスト・デ・ラル≪自分観察の不条理性≫より抜粋
赤赤赤赤。
血血血血。
人人人人。
死んでいく。
無様に、滑稽にも、醜く歪んで。
死んでいく。
銃弾を体に喰らい、後ろに倒れて絶命していく奴。
頭に弾が当たり、頭部が吹っ飛び、痙攣しながら死んでいく奴。
銃を構え、こちらに照準を合わせてくるが、腕が弾に当たり吹っ飛び、失意の表情のまま倒れていく奴。
死んでいく。
どいつもこいつも死んでいく。
俺の持った二つの銃器で。
俺の持った二つの凶器で。
俺の持った無数の狂喜で。
死んでいく。
あーあーああーあ。
楽しいなオイ。
「イェアハァッ!! マジかよオイオイ、マジかよおい!! こんな程度で俺の前に立ったのか? この程度? このレベルで? 馬鹿にしてやがる。馬鹿にしてやがるぜド畜生!」
弾丸を屑どもに打ち込み終わった後、俺は笑う。
最早抑えが効かない状態のまま、叫ぶ。
何を言っているのか自分でももう分からない。
唯々自らの内からこみ上げる快感に従って哄笑する。
本能。
理性なんてものとはとっくにオサラバして、今の俺はただ快感を求める原始生物だ。
そして、今の俺の中にある最もでかい感情は。
【殺意】。
クズを殺す殺意。
俺を殺そうとしてきた連中を応殺する意思。
それしかない。それしか必要がない。
所詮【人屑】である俺には、そんなことしか思えない。
「あ……。ああ……。ひっ……ひぁ」
両肩を台座にしていた漢女から、声が聞こえる。
こちらを向いているから、後ろの状況は見えない筈だが、大体状況は解っているだろう。
だが、折角だ、見せてやろう。
「おい嬢ちゃん、お友達の逝った所はちゃんと見なけりゃ駄目だと思うけどなぁ? ほらよッ!!」
笑いながら、女の腹を蹴って飛ばす。
女は苦しそうな声を上げ、後ろに飛び尻もちをつく。
その尻もちをついた先には。
仲間の臓物と血で汚れた床が待っていた。
「ひぁああああっ!!」
悲鳴を上げながら、女は飛び上がって逃げる。
腰が抜けたのか、手を床について無様な格好で逃げていこうとする。
だが、その先に待っているのは。
「いああっあああ!」
さっきまで共にげらげら笑っていた仲間たちの、惨殺死体。
逃げて行った先に、いつの間にか掴んでいたのは、スプラッタと化した仲間のこぼれおちた脳みそ。
「いや、いや、いやいやいやいやあああああああああっ!!」
再度叫び、必死に俺から這いずって逃げていく女。
俺はそれをしばらく眺めた後、片方の銃を捨てて、残ったもう片方の銃を両手で持ち狙いを定め、クズ女の右足を撃つ。
「いぎゃぁ!?」
突然の足に来た衝撃と痛みに、女は苦鳴を上げる。
そして、血の海に倒れ込んだ。
「逃げるなよ。逃げんじゃねえよ。俺を殺しに来たんだろ? 殺りに来たんだろう? クソアマちゃん?」
更に左足の腿にも銃弾をブチ込む。
また悲鳴を上げる女。
「あひッ! あ、アはッ! ひぁあ、ひいあああッ!」
眼に涙を浮かべて、涎を口から垂らして。
両足から血を溢れんばかりに流して、それでも必死に生きる為に手を床につけて俺から逃げようとする。仲間の死体から逃げようとする。
腹が立つ。
こいつらの生き方に。
こいつらの生への執着に。
どうしようもなく腹が立つ。
「ウザってえな。冷めちまったよ畜生。終わりにすっか」
赤い液体を踏みつけ、最早生ごみと同義の屑共の死体を踏みつけながら、漢女の傍まで歩く。
良く見ると、さっきまでいた病院の受付嬢も退散していた。
まあ、そりゃそうだろう。こんな状況で逃げない【一般人】はいない。
そして、正解だ。
これから起こる【事】を考えれば、全く持って正解だ。
誰だってトラウマは作らない方がいいからなァ。
「さて、嬢ちゃん。クズの嬢ちゃん。俺を殺しに来た嬢ちゃん。【人屑】なんてモノを倒して、名声が欲しい連中のお仲間の嬢ちゃん」
もう笑いは出てこない。
代わりに酷く冷徹な声が出る。
ああ、久しぶりに【イっちまって】多少疲れた。
もう終わらせよう。
俺はいまだ血だらけ匍匐前進している女を、足を使ってこちらに体を向けさせる。
「ひぃいいっ!!」
「ひぃ。じゃねえよガキンチョ。おめえこの位予想できないで俺の命取りに来たのかよ。ふざけんな」
俺は軽く言いながら、仰向けの姿勢で顔をこちらに向けている女の右目に、銃口を差し込んだ。
【差し込んだ】。
「えあぁ?」
何が起こったのか理解できないのか、呆けた声を上げる女。
だが次の瞬間。先程とは量も質も違った音が響く。
即ち【絶叫】。
- Re: 頑張りやがれクズ野郎 ( No.31 )
- 日時: 2011/07/17 23:55
- 名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
【これが人屑ですよ】弐
「いぎいがいがががいがおががいきいいいいいいいいいいいいいいいいああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
喚き暴れる女。
右目から噴出する紅い液体、銃を引き抜くと、白く濁った眼球が糸を引きつつ銃口に引っかかっている。
俺は適当にライフルを振ってその【汚物】をはがしながら、両手で右目が【あった場所】に手を当てている女に、再度銃を向ける。
「お〜い、痛いか嬢ちゃん?」
「アがはははは……!」
痛みで意識がもうろうとしているのか、返事変わりの悲鳴に力が籠っていない。
仕様がない、もう一度覚醒して貰おう。
「嬢ちゃん。おれはただ単にてめえらのボスの病室が知りたいだけなんだけどよ。痛いだろうが喋ってもらう」
そう言いながら、鍛えられているであろう腹筋を思いっきり靴で踏み付ける。
もし鍛えていなければ、腹に風穴をあける位の力で踏みつける。
「ああああああああああああ!!」
女の永遠の眠りにつきそうだった表情が、また痛みしか与えてこない現実に引き戻される。
女は残った眼球でこちらに、恐怖と憎悪と懇願を織り交ぜた視線を向けてくる。
だがその一切を無視して、俺は女の顔に自分の顔を近づける
「聞いるかよ? 嬢ちゃん。お猿の大将の病室だ、病室」
「あ、アががぎが……。だ、誰……がっ! 仲間を! 私の……仲間を! ゆるざないッ!!」
「あーぁ? 何言ってんだおメェ」
支離滅裂な言葉で吐き捨ててくる女。
涙を浮かべながら満身創痍で、途切れ途切れに叫ぶ様子には、普通憐れみか何かを感じるのだろうが。
もう、そういう感情が俺の中に上がる事は無い様だ。
唯、苛々が増していくだけ。
「お前さ。ほんとさ。何言ってんだよ。仲間? 許さない? へーへーへー。そう言う事言うんだ、そう言う事言えちゃうんだ。へーはーへー」
しゃがんで女の顔を近づけていた恰好を、立ちあがって見下す様な目線にする。
そして、銃を女の下半身の方に移動させつつ言う。
「お前はゴミだ。ゴミが仲間がどうとかいうな。腹が立つ。お前らはクズだ。屑が仲間がどうとかいうな。腹が立つ」
女のズボンを銃と足を使って脱がせながら、呟く。
軽く足を動かして抵抗してくるが、強引にズボンを下げる。
「あ、や、やめっ!」
「喋んな。恥ずかしがるな。呼吸するな。お前が。お前ら屑が。底辺共が、生きてんじゃねえ。だが、まともな死に方も許さねえ。だからよ……」
銃口を下着越しに女の局部に当てる。
溝に押し込み、銃の引き金に指をかける。
女は目の痛みに苦しみつつも、抵抗しようとするが、腹をもう一度蹴り飛ばし黙らせる。
そして、邪悪な笑み共に。
先程とは違う。静かな笑みと共に【呟く】。
「……嬢ちゃんにプレゼントだ。鉛玉を挿入してやっからガキでもこさえろ糞野郎」
同時に銃声。
銃声。
銃声銃声銃声銃声銃声。
ちぎれる音、何かがブチブチと。
ブチブチブチブチブチと。
ぐちゃぐちゃと。
肉が肉とこすれ合い、崩れていく音。
不快で興奮する。
サイコーの交響音楽。
そして、それに女の悲鳴。
屑の悲鳴。
「よう。喋ってくれるよなぁ、それとももっと欲しいか?」
「あひッ、ひぁあ。ハァッ、ハァッ。あ。あが。あはやははは。や、やめ。ひゃはは。い、い、いうか、がかららら」
「ああ、そう。じゃあ早く」
「さ、さん、さんかい。アがあああっ。ああ、あああ。かいだ、ん。のぼ、さき。右。直ぐ右。あがががが」
体をビクビクと痙攣させながら、女が必死に言葉を紡ぐ。
その姿を数秒眺めて、俺は銃を肩に担ぐ。
「そうかい。あんがとよ売女」
右肩に一丁の銃をかついで俺は歩き出す。
下着を真っ赤に濡らし。
右目を失い空洞から血を垂れ流し。
周りに仲間の死体だらけの状況で、精神崩壊を起こしている女を残して。
歩く。
あの女はもう立ち直れない。
生き地獄ってのをこれから味わう事になる。
楽しみだ。
酷く楽しみだ。
屑がもがき苦しんでいく姿を、想像するだけで最高の気分になる。
「さあぁさてさて。次はどんな獲物がいんのかねぇ? 全部全部喰らって吐いて、撲滅してやる」
俺は歩く。
これから通る道を全て真っ赤に塗りつぶすために。
前進する……。