複雑・ファジー小説
- Re: 現実逃避超空間 参照500突破 ( No.86 )
- 日時: 2011/06/19 00:47
- 名前: 風そら (ID: TiJhGI/L)
【 CSA 人 質 管 理 部 特 別 課 ザ ッ ク ・ デ イ ソ ン 戦 】
『ヴォンッ』
拳の空を切る音が胸板をかする。
初発を右によけた俺は、バランスを崩しているデイソンのわき腹に蹴りを入れた。
が、あまり、効果なし
軽く吹っ飛んだデイソンは姿勢を正すとニヤリと笑った。
何か言うのかと思いきやそのまま突っ込んでくる。
こっちもこっちで反動を受けていたのでそう簡単には動けない。
「チッ!」
舌打ちとともにしゃがんで二発目をかわす。
俺はそのままデイソンの腹に拳を突っ込んだ。
が、これまた効いている様子はない。
デイソンは後ろにノックバックし、立ち上がった。
普通なら「ウッ!」とか「ッ!!」とか悶絶していいようなナイスショットだが、声ひとつ出さずにデイソンは笑う。
「何がおかしい」
デイソンは2m程離れた俺を見下した。
「いいねぇ、決めてくるところは正確。力もそこそこ。
お前、どこかでキックボクシングが何かやってたのか?」
「ハッ!
楽しい物ほどうまくなる、っていうだ、ろッ!!」
俺は一歩足を踏み込むと、左足を軸にして思いっきり右足を薙ぎ払った。
デイソンは後ろに飛んでそれをよける。
「ほぅ、まぁそこは期待してよさそうだな。だが、特別課をあまり甘く見ないほうがいいぞ」
「!!」
その時、何かを感じた。
嫌な予感、というよりは、オーラのような何かを——
『ゴシュッ』
キーンという音が脳内に響いた。
頭が締め付けられるように痛む。
「がっ!!」
俺は右手を地面につけ、しりもちを着いた。
額から液体が滴る。
「俺はウィルスには感染していない。
だが、並みの一般人にやられるほど、おちぶれてもいないぞ」
「くっそ……」
俺は痛みに耐えながら立ち上がった。
直撃を食らった額も痛むが、その勢いでアスファルトの上に全体重を右手にかけたのだから手が痛んでしょうがない。
「人質管理部はウィルスを武器にし、武装している軍団だ。まぁ全員がそういうわけではないがな」
「ゲリラだな」
「いや、ゲリラではない。
しかし、戦力的には正規の軍隊にはるかに劣る。【SPACE】内にもしそういう人間がいた場合はこっちがやられてもおかしくない。
そういう場合のために存在するのが特別課だ。
全員戦力は他の部員とは桁違い。俺は違うがほとんどの輩が階級が上。
ヴァーリーも特別課の人間だ」
!ヴァーリーが…?
「そんなすごい奴らが俺ら相手とは光栄だね」
「自惚れるな。我々は貴様が必要なんだ」
その時だった。
『パンッ!!!』
「直人ッ!!」
美佳の声だ。
声のする方を振り向くと、黒いカバーがしてある左腕を右手で押さえつけている直人の姿があった。
それは、直人の敗北を意味していた。
突然不合理な感情が芽生える。
嘘…だろ?
直人を上回る銃使いなんているのか…?
「デイソーン、こいつら弱ーい」
甘味はくるくると人差し指で拳銃を振り回すと直人を見つめた。
「ま、お子ちゃまにしてはまぁまぁかな」
テメェ、殺、っ……
背中に電撃が走った。