複雑・ファジー小説
- Re: 僕等と普通と神様と。 ( No.8 )
- 日時: 2011/04/13 20:33
- 名前: 香兎 ◆kyRFGkO1TU (ID: h9rhVioE)
一章 #1 白い心ト黒い物(ブツ)
はい、僕は小川葛馬です。今僕は絶叫してます。何故かというと、
汐音先輩にお姫様ダッコされて屋上へ向かっています。一言で言うと、『怖い』
「あああああ……せせせせ先輩……おろしてくださ……」
「大丈夫、もうすぐだから!」
足が地につかないのはふわふわして不思議だ。重力っていうか……階段をのぼっているせいか?とりあえず頭がぐるぐるしてきた。
そういや……今日弟たちの迎えに行ってやらないといけない……
「先輩……あの早めに帰らせてくださ「着いたよー」
先輩って、何度人の話を妨害するんだろうか。言いかけになるし……僕もいけないのかな、はっきり言わないし。
僕をおろしてから、汐音先輩はがちゃり、と屋上へのドアを開けると乱暴にドアを突き飛ばした。ドアが壊れそうで怖い、汐音先輩が弁償するんだよ、ね……?
外へ出てみると、今日はなかなか風が強かったようでびゅうびゅうと吹いている。特に変哲は無い。ただ気がかりなのはフェンスに大きな穴が開いていることと下のタイルがどんどん無くなってくることだ。ここの学校がそれほどボロだという事がなんとも分かる場所だ。
「ふはー、はぁぁぁあ……やっと追いついた……」
「あ………」
「全力スルーですか」
苓が息を切らして追いついてきたようだ。はあ、はあ……と酸素不足で必死で息を吸っている。本当、お疲れ様です。
汐音先輩はある一点を見つめている、空を見ているのだろうか。僕もそっちの方で見てみようと思い、先輩の方へ駆け寄った。
そして、目の前に広がっていたのは。
「……これ……」
「私が屋上に来てみたら……これが、空に」
「はー……これなんでしょう」
空に広がっていたのは、黒い、球体のようなものだった。
そんなブラックホール的な物では無く、ちゃんと形のあるものだった。時間が経つとにょきっとまた小さい丸が出てきて、また引っ込む。まるで生きているようだ。
僕は、生唾をごくりと飲みその光景をただ呆然と見ているしかなかった。
苓はー……目をキラキラと輝かせて、じーっと見ていた。これは駄目だ、あっちの世界に行っちまってる。
「とりあえず、これを見せたくて呼んだ。じゃ! 私帰るね」
「え、見せるだけならなんで僕達……?」
「見せられるの、私の中ではあんたたちしか居ないし」
じゃね、と声をかけてから先輩は屋上から去っていった。やっぱ嵐のような人だな……。
苓はまだ体育座りであれを見ている。見ていると全く動く様子が無い、飽きないのか?
僕は呆れて、苓を無視して屋上から出た。
しかし、あの黒い球体はなんなんだろうか。
「……とりあえず、保育園寄ろう」
.白い心ト黒い物
君の心は無垢でも、黒に遮られていく。
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