複雑・ファジー小説
- Re: Gray Wolf 移りました ( No.27 )
- 日時: 2011/04/07 19:03
- 名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
第 1 9 話
無属性魔神術
「なるほど‥‥‥魔神術ね…」
「その通り。 お前の放ったやつも魔神術じゃないのか?」
ああ、と呟きながらユーリは刀を肩に担ぐ。
「だが無属性の魔神術か」
魔術という物には属性と呼ばれるものがある。
炎、水、地、風の四つの基本属性(自然属性とも呼ばれる)。
爆、氷、樹、雷の四つの派生属性(超自然属性とも呼ばれる)。
闇、光の二つの二大属性。
そして何にも属さない無属性。
これらは一般魔術、魔神術、召喚術、退魔秘術のみにある。
特に魔神術は個人によって使える属性が違うが、無属性だけは唯一誰でも扱うことが出来る。
レンの使った「弟切斬」もその一つである。
「弟切草って知ってるか?」
弟切草(おとぎりそう)とは花の一種である。
幾つか花言葉があるが、「恨み」、「敵意」などの言葉がある。
弟切斬はそれに因んだ魔神術であり、恨み、敵意、つまり「対称に対する敵意」が強ければ強い程纏う覇気の質、殺傷能力が強くなる。
少ない覇気でも強い一撃が放てる。
「さて、ここまで手の内を見せてやったんだからそろそろ真剣勝負してもらわんと困るな」
ここまでしつこく言われて諦めたのか、溜息をつきながら抜刀する。
太陽の光をその鋭い刃で反射し、耳鳴りのような摩擦音が聞こえる。
鞘を腰のベルトに戻し、構える。
それを見て、レンもまた刃をユーリへと向けた。
お互いに視界の中央に相手を離さず、曖昧な意識を捨て、前を見る。
そして———————
刃が二つ。
振り下ろし、振り上げ、薙ぎ払う。
火花が散り、衝撃が大きな風の流れとなる。
薙ぎ払ったレンの剣を跳躍してかわし、そのまま足を突き出す。
その一撃をクロスに交差した両腕で受け止め、レンは押し出した。
その勢いを逆に利用し宙返りで着地したユーリに更に斬りつけてきた。
ユーリはその攻撃をギリギリ左手の鉄板で防いだ。
それを弾き、同時に剣から炎を発する。
漏れた炎が勢いを増し、強大な紅い海へと景色を変わらせた。
その危険性を察知したレンは大きく後ろに飛んで間合いを開ける。
それに気づきながらも、間合いを詰める事無く立ち止まって紅い軌跡を描いた。
「炎牙!!!!!!」
先程よりも強大な炎が宙を駆け、レンの元へ行く。
焼炎砲とは桁が違う、大火がレンを飲み込まんと進み続ける。
レンは驚愕以外の感情を表せないその光景を目の当たりにしながらも、直ぐに覇気を集中させた。
敵を斬る、敵を討つ、敵を殺す
———————あの炎を斬る!!!!!
「弟切斬!!!!!!!!!!!!」
振りかぶり、下ろした斬撃が炎を切り裂く。
だが、無理だった。
レンが込めた覇気よりも強大なそれは一瞬止まりながらも、あっという間にレンを包み込んでしまった。
腹に力を入れ、息を止め、己の体を焼かせることを許さず、地面を踏み込んだ。
景色は晴れ、紅く見えた空は再び青く染まる。
レンはその景色を拝む様に見ながら、力を失い、地面へと倒れこむ。
ユーリは切らした息を整えなおしながら、うつ伏せに倒れる彼を見る。
刀をしまい、その場に腰を付けた。
「火加減はしてやったんだ。 感謝しろよ」
無
魔
属
神
性
術
終