複雑・ファジー小説
- Re: Gray Wolf 移りました ( No.54 )
- 日時: 2011/04/07 19:23
- 名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
第 4 0 話
捜 索 依 頼
「聞けばお前は何でも屋、だそうだな?」
紅茶を飲んだ後にでたルリの疑問に、ユーリはああ、と呟く。
それを聞いて安心したのか、彼は胸を撫で下ろす様な態度を取った。
「そうか‥‥‥なら‥‥こいつの捜索を頼む」
まあ予想はしていたけれど、やっぱり溜息が出る。
————————面倒事がまたやって来る‥‥‥
しかし、頼まれた以上は仕方が無い。
ユーリはまず自分にある疑問を解消するべく、ルリに訊いた。
「一つ聞きたいんだけど」
「何だ?」
キョトンとするルリ。
「この子は何だ? マフィアの要人の娘か何かなのか?」
「いや全く違う」
即答された。
しかし、それなら警察に頼めば良いというのに。
「何で警察じゃあ駄目なんだ?」
ユーリは砂糖が多い紅茶を飲みながら次の質問をする。
だが、それは答えてくれない。
すっかり口を閉ざしてしまっている。
「まあ良いけどよ。 別に法に触ろうがそんな大事にならない事なら一応協力するぜ?」
もの凄く危ないことを平然と言ってのけた。
しかし、街で騒ぎを起こして国軍に連れて行かれる位の人物がユーリなのだから、それ位はお手の物だろう。
そんな彼が軍で偉い地位にある陸軍大佐と友好的(?)な仲を築いているのだから皮肉である。
ユーリが引き受けてくれることを知って、ルリはスッと立ち上がる。
「それじゃあ俺はまた探す。 10日後に此処に来て事を報告する。 もしそいつを見つけたらその写真を見せて俺の知り合いだと証明させて、この街に滞在させておけ。 あとそれからそいつの名前はユナ・カナザワだ」
「おいちょっと待て」
さっさと話を進めて帰っていこうとするルリに、ユーリは言葉で引き止めた。
黒いポニーテールを揺らしながら振り向き、それを確かめてから彼は部屋の隅に移動し、携帯をとった。
「これで連絡した方が早いだろ?」
‥‥‥
「ゆ、浴衣姿はいつもだからすぐに分かると思う」
「待て待て待て」
あからさまに言葉が震えている。
早々に立ち去ろうとしたルリを、今度は肩を掴んで引き止める。
しかし、それを払い、彼はドアノブに手をかけた。
「そ、それじゃ」
ドアを開け、ルリは前に居るシエラとレフィを一瞥する。
シエラの方は少し脅えていたが。
そのまますぐに階段を降りて行った。
ユーリもドアから出て行って、上からいそいそと歩くルリを見る。
「あいつ———————」
———————まさかケータイが使えないとか?
有り得そうな気がする。
ユーリは女子2人を連れて部屋に戻った。
それからタンスの引き出しからいつも通りの紙紐を取り出し、その場で後ろ髪を結ぶ。
長い金髪は上に結ばれ、短い毛が幾つか残るも、ポニーテールの様になった。
そして、ベッドに背中から飛び込み、寝転がる。
それを見たレンは、一人考えた。
———————さてはルリの影響受けたな
いつもは下に結んでいるのに。
「あーあ。 疲れちまったよ」
「本当に探すのか? なんか色々と怪しい気がするんだが」
ベッドで右へ左へゴロゴロと転がるユーリに、レンは恐る恐る訊く。
いや勿論当たり前なのだが、少し引き止まっても良いのではとも思う。
すると、ユーリはまた起き上がって本棚へ歩む。
「当然だ。 頼まれた以上仕方がねぇしな」
それに、と言いながら上から本を探す。
しかし結局どういうわけか一番下にある雑誌を手に取った。 それも、グラビアモデルの
「あんな可愛い娘なんだ。 助けなきゃ可愛そうだろ?」
またベッドに飛び込み、今度は座り込む。
そしてパラパラとめくり、何事もないようにしていた。
———————それが本音か、このエロオヤジ
女2人が居るというのに。
彼を見て、レフィは頬を膨らませるが、シエラは別段変わった様子はない。
恐らく彼女が居る前でもあれを常に読んでいたんだろう。
教育上問題過ぎる。
ユーリはそのまま自分が一番好きなモデルの雑誌を読み続け、
シエラは自分の家の様にキッチンから取り出したポットで湯を沸かし。
レフィも近くの椅子に背もたれし、
レンは溜息を付きながら、ソファに座り、また紅茶を飲み始めた。
捜
索 終 依
頼