複雑・ファジー小説
- Re: Gray Wolf ( No.81 )
- 日時: 2011/05/30 17:52
- 名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
- 参照: 此処に書く話題のネタが無い事をネタにしたこの文>(´・ω・`)
友
第
達
5
と
0
し
話
て
「‥‥‥」
カップからズズッとミルクコーヒーを飲む。
それから一つ溜息をついていたユーリは、1階のリビングルームのソファーに腰を下ろしていた。
彼に添えのクッキーをバスケットに入れて持ってきたのはシエラの妹、アリスである。
「あ。 ありがと、アリスちゃん」
「はい。 あ、コーヒーのお替りならまだありますよ」
テーブルに置かれたそれを一つとって口に入れる。
その味の良さに思わず微笑を浮かべ、それを彼女に向けた。
「上手くなったな、アリスちゃん」
「あ、はい! ユーリさんが料理を教えてくれたお陰でお姉ちゃんも喜んでくれてます」
ニコッとしながらユーリにお礼を言い、自分もクッキーを取ってサクッと食べる。
「シエラさんって‥‥‥ユーリさんの事好きなんですか?」
ベッドに腰を掛けたユナの言葉で、クローゼットの中で服を探すシエラの動きが硬直した。
すぐには動き出したが、ロボットの様にカクカクした動きで振り向いてくる。
しかもその顔は、赤い。
「‥‥‥あのぉ・・・」
「ひぃううぇああああ!!!!!」
そんな悲鳴を上げて更に顔を赤らめて、挙動不審に手足を動かし、暴れだす。
最終的に、持っていた服で赤く染まった顔を半分隠しながら床に腰を落とした。
『どうした?』
部屋の外から、ユーリの声が聞こえる。
先程の悲鳴で1階から駆けつけて来たのだろうか。
しかし、今彼が来るのは、彼女にとって良くない状況だった。
「い、いいの!!! 気にしないで下で待ってて!」
『え? でも今すげぇ声———』
「いいから!!!! 早く下に戻ってぇ!!!!!」
涙目で懇願するようにユーリを必死になって追い返す。
「ちぇ。 何だよ全く‥‥‥」
そう文句を言いながら下に戻っていったユーリの背中を少し開けたドアから確認して、ホッと安堵の息を漏らしながら閉めた。
「‥‥‥好きなんですね」
引きつりながらも、微笑みながら言うユナに、シエラは少し頷いて肯定する。
顔は勿論未だに赤い。
「でも、確かに良いですよね、ユーリさん。 私の事助けてくれたんですよ」
その言葉に一瞬だけドキッとした。
その口振りだと———————まさか————————————
「でも、やっぱりルリの方が魅力的だなぁ」
キラキラと目を輝かせ、柔らかい声でそう言う。
それに安堵の息を漏らし、シエラはまた服を探し始めた。
「ん?」
階段を降りてくる音が聞こえ、ユーリはそこに振り向いた。
すると、白いワンピースを着たシエラが降りてきている。
そして、その後ろには、桃色のTシャツに、ロングスカートを着ているユナ。
両者共に似合っていて、それに感動したユーリは思わず口笛を吹いた。
と、そこでインターホンが鳴る。
それに素早く反応したアリスは廊下に出て、玄関のドアを開けに行った。
その間、ユーリはユナの服装を褒めちぎっている。
「めちゃくちゃ似合ってんじゃん。 和服もそうだけど、洋服でも結構いけるんじゃないか?」
「え? そうですか? 洋服なんて学校の制服以外はめったに着ていませんでしたから、よく分かりませんが‥‥‥」
そこで、『学校』と言う単語に、シエラは反応して訊く。
「ユナちゃんの学校ってどんな所なの? 制服があるの?」
しかし、その質問の反応何を言っているのかという風な、唖然とした顔だった。
そこで、ユーリは割って入って教え始める。
「ああ、ヴェルゲンズや他の国と違って、日天の学校は制服があるんだよ。 俺達で言う所の『ミドルスクール』からそれを着るんだよな?」
「あ、はい。 詳しいんですね」
「まあな」と言いたげな、得意そうな顔で鼻から息を少し吹き出す。
そんな風に話していると、後ろからレンが読んだ。
「お、その娘か? あいつが探してんのは」
せっかく続いた話が途中で切れたため、少し不服そうにユーリは彼を見た。
「‥‥おー。 ‥‥‥いくら可愛いからって手ぇ出すなよ」
「出さねえよ!!!!!」
冗談ではあるのは分かっているが、流石に今の発言はこちらの信頼が損なわれかねない。
そんなやり取りを尻目にしながら、シエラはユナにそっと耳打ちする。
「ごめんね。 なんか色々と騒いじゃって」
「いえ大丈夫ですよ。 楽しいですし」
「ほんと? 良かったー。 あ、私のことは普通に敬語使わなくていいよ」
そう言って返事も聞かずに、ユナから離れ、彼らの、主にユーリに色々ある事ない事言われてかなり暴走しているレンを止めに行った。
本当は断ろうと恐縮していたのだが、しかし彼女の今の素振はまるでその返事を聞きたくない様に思えた。
それはつまり、友達として仲良くなりたいから敬語なんて使わなくていい、という事だろう。
少しだけ顔を曇らせながらも、すぐに笑顔を取り戻し、ユナは三人の中へと入っていった。
友 達 し て
と 終