複雑・ファジー小説
- Re: Gray Wolf 移りました ( No.9 )
- 日時: 2011/04/07 18:49
- 名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
反
第
撃
5
の
話
機
その出来事に思わず我が目を疑った。
突然前方から突風が吹き荒れたため目を開けられず、開いたときには男は宙を飛び、回りながら落ちた。
その原因となる物といえば、この得体の知れない獣としかいえない。
緑色の体毛。 良く見れば耳の毛がはねている。
赤い瞳。
浮いた小柄な身体。
見るからに狐か何かだろう。
もしかして私が出した—————?
シエラは自らが描いた魔方陣に目をやる。
だが、その暇は無く、シエラは再び前を見た。
すでにこちらの前方で険しい表情を見せながら銃を構えている男の姿がある。
その姿に恐怖を覚えたが、宙に浮く狐がシエラの手を取り、上空へと飛んだ。
小さく悲鳴を上げながら、シエラは緑の狐に手を引っ張られる。
自分が空を飛んでいる。
子どもなら好奇心にあふれ、夢を見るだろう。
だが実際は、ここまで高く飛んでもしも落ちたらという恐怖感が心を支配する。
だが、段々慣れてくることで冷静にもなれた。
どうやらこの狐が宙に浮いていたのは小さなつむじ風がやっていたことらしい。
実際空を飛んでいるのもその竜巻によって自分を吹き飛ばしている物なのである。
しかし、それほど高くは無く、下からは男が銃弾を撃っている。
こちら側がかなりのスピードなので追いつかれることは無いが、普通に届く距離。
狐は空いていた右の前足を振り上げ、それを振り戻した瞬間に巨大な竜巻が出来上がる。
それを男達に向けて飛ばし、轟音を立てて突進してくる。
避けられる程度のスピードでもなく、見事に命中し、4人の男を大きく吹っ飛ばした。
ついた先にあったのは大きな広場。
ゆっくりと地上へ足を着け、手を放す。
改めて自分の重力を感じ、思わず尻餅をついたが、やがて慣れ、何とか立ち上がることが出来た。
スカートについた埃を払い、回りの状況を確認すると、遠くに人影が見える。
自分と同じ逃げてきた人だろうかと思い声をかけようとしたが違った。
オールバックの白髪。
同じくスーツを着、ゆっくりとこちらへ近づくその動作はシエラに膨大な恐怖感を与える。
しかし、恐怖するのはそれだけではない。
右手に持っていたのは紛れも無い巨大な“斧”だった。
その顔は今までのスーツとは比べ物にならない、眉間にしわが集中して出来ている。
逃げようとしても身体が動かない。
その上先程の狐がいつの間にか消えていなくなっているのだ。
段々と近づく相手の足。
その度に早まっていく自らの心の鼓動。
斬られる、斬られる、斬られる、斬られる———————
また、あの時と同じ光景。
固い音が響き、大きな背中が目の前に現れたその光景。
目に溜まっていた雫が頬を伝って落ちていくのも気付かずに“彼”を見つめる。
————————ユーリ————————————
反
撃
の 機
終