複雑・ファジー小説
- Re: たんぺんしゅー。 ( No.1 )
- 日時: 2011/04/10 18:14
- 名前: 白兎 (ID: A6MC5OIM)
では、一個目。
初っ端から暗め。
†
とある森
1匹の狼
狼は生きる為
いつも、いつも
他の命を奪って生きてた
日常的な殺し
見慣れた赤の風景
でも、その日彼が欲しかったのは
食べ物としての命では無くて——
とある森
1人の少女
少女は大切なお祖母さんの為
危険だと知りながら
パンとワインを持っていこうとしてた
いつもの赤い頭巾を被り
心細さに耐えながら
とある森
2人は出逢う
「何処に行くの?」
「お祖母さんのお見舞いに」
狼は、少女の持っているモノが欲しかった
だから、すぐには殺さなかった
そして、その受け取り手であるお祖母さんを殺した
しばらくして
やって来たは先の少女
狼は変装してた
けれど
「いつもと違う」
気付かれてしまった
気付かれてしまっては
もう、少女の持っているモノを手に入れる事は出来ない
欲しいのに
欲しくて堪らないのに
この少女を喰らえば
その欠片くらいは手に入る、
そんな気がして
狼は少女を喰らった
違う
違う、そうじゃない
こんな赤じゃない
机の上のパンとワインでもない
当然 少女の肉でもない
違う
僕が欲しかったのは——
少女がお祖母さんに届けようとしたモノ
それは、美味しいパンとワインと
それと
—— 愛
この腹の中に、愛しの少女がいる
そう思うとワクワクした
満足
それと共に喪失
狼は嘆いた
食べなければ、あの少女は此処に居たのに
狼は、自分の腹を引き裂いた
腹の中を探した
少女を求めて
けれど、出て来るは
誰ともわからぬ肉片ばかり
喰らい狂いCRY
流れる赤と透明
狼は意識を手放した
腹の痛みからか胸の痛みからか、それとも他の何かか
彼がそれを知る事は無く
とある森
1人の紳士
紳士は、寂しそうな老婆の為
暇があれば、此処に訪れていた
いつものいえ
いしつなへや
広がる赤色
見えたのは
我を失い、狂ったように
自分の腹をあさる狼
紳士は、麻酔銃で彼を撃った
彼を助けようとした
けれど、既に内臓はぼろぼろ
赤は広がり、広がる
狼は息絶えた
†アトガキテキナモノ†
赤ずきんちゃんを元に作りました。
これ、前にシリアス・ダークで書いてた小説に使うつもりだったんだけど、
それは挫折しちゃったので、詩だけ。
ちょっとグロいかな…?