複雑・ファジー小説

Re: Sterdast・Emperor ( No.2 )
日時: 2011/04/11 05:43
名前: ミズキ ◆vVjF/hT94A (ID: cEkdi/08)

私は何故走る?
誰かに追われてるからか?

何故追われているかもわからない。

私は何かしたわけではない。

村にいたことが問題なのかもしれない。
そんなこと知ったところで何かあるわけではないが・・・

私は足を止めた。
まだ誰かが追いかけている・・・

ダメ・・・もう走れない・・・
その場に倒れ込んだ。

私は覚悟を決めた。
根拠はないが、私の命はもう数分持つか持たないかだろう。


そんなこと考えていたら、不意に目の前に大男が現れた。
「お前か。村にいた野郎は・・・」

男は嫌な笑みを浮かべながら、右手に木こり用に見える斧を振り上げた。


「じゃあな!」
笑みを崩さず、斧を降り下ろす男を一瞬見えた。

そのあとは目をつぶった。

・・・・・・・・・・・・


目が開ける・・・?

何が起きたのか全く理解できず、困惑したが、少なくとも私は目の前にいる少年に命を救われたらしい。

さっきの大男は胴体を鮮血まみれにして、倒れていた。

少年の手には男の血であろう返り血を浴びた長細いレイピアを構えていた。


少年は私に近づいてきた。
「・・・大丈夫?」

少年は無愛想にそう一言だけ言った。

私はこっくり頷いて答えた。


「そうか・・・じゃあね」
表情さえ変えずに少年はその場を去ろうとしたが、

「待って!」
私は少年の青いコートの袖をつかんだ。


「・・・何?まだなんかあるの?」

相変わらず無愛想だ。
そんなことを思いつつも、
「ちょっと待ってよ! 村で何があったかわからない?」

「・・・知らない」
一刀両断だった。


「なんでもいいの! 私を襲ってきた大男の事でもなんでも・・・」
「だから知らないって。気が向いたから助けただけ」

放せと言わんばかりに手を振りほどき、去っていった。

「じゃあ名前だけでも教えてよ!」
私は少し笑顔になりながら聞いた。
特に意味はないが・・・

「ディア」
少々迷惑そうな顔で振り向き、やはり短く答えた。

「私はリシア。助けてくれてありがとう」
私は深く頭を下げた。

ディアは意外そうな顔で、軽く会釈をして去っていった。


「なんか不思議な少年だなぁ。ディアは」

無意識のうちにこんな言葉を口にしていた。