−序章−私は歌っていた。いつからかはわからないけれど、歌っていた。そして、今も。気がついたら歌っていて。その前のことは、何も、知らない。だから、歌は私の全て。お願い。私から歌を奪わないで。声を、音を、奪わないで。他は何でもあげるから。権利も自由も心も身体も。歌以外の何もかもは、あげるから。どうか。歌だけは、私に、残しておいて……。