複雑・ファジー小説
- Re: キーセンテンス 参照500突破っ!初、番外編更新! ( No.50 )
- 日時: 2012/01/03 20:49
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: FMKR4.uV)
どんなに辛くても、どんなに悲しくても。
人は、生きていく。
それはどれだけ辛いことなのだろう。生きるということは、どれほど人にとって大事なことなのだろう。
変わらない欲しいのに、変わってしまう毎日。
変わってしまっているのに、それが当たり前として取り込まれて、流されていく毎日。
そんな日常と呼ばれるこの世界の時の流れは、どれだけ裕福なのだろう。
変わっていく時の中で、その中でたった一回の笑顔でさえも、表せない世界が、人間がこの広い宇宙の中のどこかの世界で、いるかもしれないというのに。
僕達は、歩き続ける。
それは、決して険しくない道だけど、それでも歩いていく。
歩いていくその先に、何が見えるのだろうか。
それぞれに、それぞれの思いの言霊を胸にして、歩み続けることだろう。
どんな人生にも、不幸という言葉はないのだから。
世界は、廻り続ける。日常も、廻り続ける。
そしてそれは、この世界でしか起こりえない、有り得ない奇跡さえも起こしてしまう。
きっとそれは、人々の思いの形であるそれぞれの思いの言霊の力なのかも知れない。
——貴方は、この世界で何を見ますか?
いっぱい歩き続けた。足が冷たい。その感触はあるけど、全然平気だった。
繋がれた手は、とても冷たくて小さなものだったけれど、私はその冷たい手が無ければ、この世界のこの場所に来るまでに無くなっていたかもしれない。
——大丈夫。
目の前に広がる、どこまでも続いているように見える大雪原を前に、彼はそう言った。
大丈夫、その言葉はどれほど信用できるものなのだろう。けれど、私たちは歩いていく。どこかに、この世界にも救いがあると信じて。
「きっと、大丈夫」
今の私たちは、大丈夫という言葉で何とかこの世界にいることが出来た。
険しい道のりが待っている。雪はゆっくりと積もっていく。太陽も無く、薄暗い光が全体を照らしている。たまに見える木々は皆枯れていたり、根元から折れている。見るたびに、心が悲しくなった。
——きっと、
きっと。その後が出てこなかった。きっと、大丈夫なのだろうか。
私たちは、その冷たい手と手を離すことは無かった。
「北条!」
廊下で見かけた北条に向けて、俺は声をかけた。俺の右手には、傘がある。しっかりと握り締めて、北条の元へと駆け出した。
北条は、俺の方を見てア然とした顔をする。どうしてそんな顔をするのか、俺には見当もつかなかったが、この傘だけは返さなくていけない。そんな気がした。
「これ、この傘。休み挟んで、借りていたんだけど……」
と、言ってから傘を渡した。大きめの、藍色の傘だった。
北条は、そのア然とした表情のまま、それを手に取ると——
「あの……」
と、小さく声を漏らした。
「人違い、じゃないですか?」
「え?」
北条が言った言葉に耳を疑った。正真正銘、俺は北条から借りた。そして目の前にいるのは……北条、だよな?
北条、といってもあいつの俺に対しての喋り方は敬語じゃなかったはずだ。なのに、この目の前にいる北条は敬語を話していた。
「これ、確かに北条から借りたろ?」
「北条……?」
何故か、北条は北条という名前に心当たりの無いような、間の抜けた声を出して、
「知らないです」
「知らないって……」
北条は、そう言って俺の手に再び傘を落とした。随分と重い傘だった。今こうして手にとって見ると、何故だか懐かしい感じがした。
あれ? この感覚。どこかで覚えているような……。小さな子供とか小学生にしたら重いこの傘を、幼少時代に持っていたような気がする。それも、同じ色の、同じ藍色の傘で。
それはいつのことだっただろう。ぼんやりと薄れていく頭の中は、真っ白に変化し、そして——
記憶が、蘇っていく。
【第二章】プロローグ
〜あとがき〜
普段はあとがきとか書かないのですが、第二章が始まるっ! ということで書かせていただきます。
まず、明けましておめでとうございますっ。今年もよろしくお願いしますー。
えーこの作品を書き始めて、早2ヶ月となるわけですが、順調にここまで辿り着けて(?)まあ良かったと思いますw
更新が止まったりしてしまったことはたびたびあったのですが、それなりに頑張って来れたかなぁという感じでおります。
さてさて、この第二章ですが、第一章では全くと言っていいほど謎だらけでした、それぞれの登場人物の過去的な部分に迫っていきます。
第一章はー……なんだろう。登場人物の性格とか、どういう思考とか、状況とかを万遍無く書いた、ぐらいしか記憶にございません(ぇ
後は、何かたびたび入るわけの分からないように思える世界なわけですが、勿論勘付いている人もいらっしゃることですが、あの分厚い本の内容を少し指してたりはします。
五十嵐があの本の内容のことを熟知しているようで、それも過去が結構関わってきます。
過去的部分ですが、あの一章で目立たなかった北条さんが一気にヒロインの座を奪いにきます。上記に書いてあるお話通り、北条さんが当初メインで物語が進行します。
勿論、過去のことだけではなく、もうすぐ夏休みに入るので、主人公達の合宿とかやってもいいかなぁとか思ってます。
一応、物語の軸になるのは、一回ぐらいしか登場してなかったりする人なのかもしれませんっ。メインの他に、サブの登場人物も。
このお話は全三章で締めたいと思っているので、丁度中間ですかね……一番長くなると思います。
恋愛ノベルのように感じさせる、甘いようで悲しくて切ない物語展開を生み出せるように頑張りたいと思います!
……二章で結構、人柄とかも出ちゃいますから、二章でキリのいい所ぐらいで何かイベント的なのをしてもいいかもしれないですねぇ。
それでは、長くなりました! まだまだ修行中の遮犬。描写も不十分な点が多いというのも重く受け止めています。それらを改善していきながら、これからも頑張っていきたいと思います!
どうか、最後までお見送りをしていただければ光栄ですっ。以上、遮犬でしたっ。