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複雑・ファジー小説
- 本編 3 ( No.7 )
- 日時: 2011/05/15 21:35
- 名前: 桜庭遅咲 ◆ilG1GceQB. (ID: khvYzXY.)
【ヒューマノイドは造られたモノである】
【ヒューマノイドはニンゲンにより造られた】
【ヒューマノイドはニンゲンより上位に立ってはいけない】
【ヒューマノイドはプログラム以上のものを知ってはいけない】
【ヒューマノイドに自由などない】
【ヒューマノイドに心などない】
【ヒューマノイドに…】
入学したときから毎朝毎朝呪文のように言われる言葉。
それによって僕らはヒューマノイドなんだって、いやでも認識させられる。
もう、飽き飽きした。
だから、目の前の人物の赤髪を軽く引っ張る。
「なに…?」
僕のほうへ怪訝そうな顔で振り向く深い闇色の瞳。
彼女は、クラン。
僕よりもずっとおねーさんの型番A−0020
昔あった事故のせいで視覚プログラムの一部にバグが生じるらしい。
その自己のせいで、右目の人工皮は剥がれて、修復不可能なレベルにまでなってるらしい。
だからクランはいつも、右目に包帯を巻いている。
「ねぇ、先生の話つまんなくないの?」
「なに言ってるの、リン。大切で有り難い話でしょ?」
クランの口調は呆れつつも、諭すような感じ。
ヨウトにも聞いてみようかとも思ったけど、どうせ同じ返答がくるだろうと思って、やめた。
たまに、僕は不良品なんじゃないかと思う。
感情的で、自由主義で、ヒューマノイドらしくない、としょっちゅう言われる。
もし、不良品なんかじゃなくて、本当のニンゲンだったら、なんて絵空事を思い描く。
ありえっこない。
型番S−0425、固体名リン、ニンゲン風に言う時は中村鈴。
それが、僕…ヒューマノイドS−0425。
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