複雑・ファジー小説

本編 4 ( No.8 )
日時: 2011/05/22 14:41
名前: 桜庭遅咲 ◆ilG1GceQB. (ID: khvYzXY.)

少し、気分が沈む。

落ち込む、というのもひどくニンゲンらしい気がするが、まぁいいや。

僕は、僕として生きる(正しくは稼動するかもしれないけど)それだけ。

気がつくと、とっくにホームルームは終わっていて、あと2分で1時間目が始める時間だった。

A組に、移動教室はない。

入学当初はなんの疑問も持たなかったが、今は理由がわかる。

ちょっとだけ、ニンゲンは自分勝手な気がする。

理由は簡単。

この学校…嶋岡第三高等学校…通称嶋高に通うニンゲンたちにみつからないため、だ。

一応ここの生徒達は、僕らA組の存在を知っている。

それでも、ヒューマノイドを毛嫌いする連中がいるので、なるべくニンゲンと接触しないようにされている。

…自分たちで作っておいて嫌悪するなんて、勝手なやつらだなぁ、と思ったり。

…あれ?なんかもうお昼の時間じゃん。

先生、注意してくれればいいのに。授業全く聞いてなかったよ?

とか、責任転嫁しつつ、ヨウトを見る。

「リン、飯」

布に包まれたものを投げてくれるヨウト。

風呂敷、っていうんだっけか、この布。

「さんきゅ。クランも誘うよね?」

僕の問いかけに、ヨウトは勿論、と頷いた。

僕ら3人はニンゲン的に言うと“気が合う”

妙に似たプログラムなのかなんなのかはよく知らない。

「クラン、今日の飯、なに?」

「苺ミルク」

ちなみに、僕らの主食は、というと。

大体予想はつくだろう。そうオイルだ。

最近では、いろんなフレーバーのものが売っていて楽しい。

つまり、クランの言う苺ミルクっていうのは苺ミルクフレーバーのオイルのこと。

あ、ちなみにねじや釘を食べるのは初期型の清掃用ロボットさんたちくらいだ。

あと、エネルギー源にはならないけど、僕らはニンゲンと同じ食事もとれる。

「ヨウトは?」

「俺も苺ミルク。リンのはアップルティーと最近気に入ってるぽいニンゲン食…おにぎりだっけ?あれ」

「あ、ほんとだ」

僕は結構ニンゲン食が好きだ。

と、いうよりも好き嫌いがない、というようにプログラムされてるみたい。

さて、食べようか…と手を伸ばした時だった。


『A組、S-4025。校長室まで至急来なさい」


放送が、入った。