複雑・ファジー小説

Re:  【 期待崩壊 】 ( No.4 )
日時: 2011/05/24 16:59
名前: 零央 ◆lbvHSDGmRg (ID: iPZN8Dy0)

「サガミーノって呼びたかったのっ!!!」

「———————え?」

サガミーノ?サガミーノ、て何?

「……呼んじゃ、駄目?やっぱりサガミストの方がいい?みんなそう呼んでるし……」

—————あぁ、そうゆうことか。

あまりの期待はずれな彼女の言葉故、停止していた脳が再び動いたおかげで彼女の言いたいことが分かった。
つまり、彼女は……俺、佐上秋人のことをあだ名で呼ぶ許可を欲しかったわけだ。

————紛らわし過ぎるだろっっ!!

わざわざ人気のないところで2人きりになる必要あるかっ!?
わざわざたっぷりとためる必要あるかっ!?
わざわざ告白っぽい空気作る必要あるかっ!?
と、負け惜しみにしか聞こえない言葉が頭の中を渦巻く。

「話は終わった?」

!?

突然聞こえた第三者の声に驚き、後ろを振り向く。
そこにはどこかへ行ったはずの格好良い方の女子の姿。

「期待外れだったな、サガミーノ♪」

俺の負け惜しみを聞いていたかのようなコメント。
へこまないようにしていたのに、目の前で言われてものすごくへこんだ。

「えっと、サガミーノって呼んで良い、のかな……?」

……そんなに許可を取ることにこだわるか。
もう、いいや。なんでも。

「いいよ。サガミーノでもなんて呼んでもいいよ」

それだけ言ってその場を離れる。

完璧に心が折れた俺の耳には何も聞こえない。
ただ、去り際に見た可愛い方の女子の本当に嬉しそうな顔が脳裏に焼き付いていた。



教室に戻ると男共に囲まれ、質問攻めにされた。
あらかじめ予測できたことなので、適当にごまかして切り抜けた。
面倒くさいことは質問攻めだけだと思っていたが……

その日から、皆は俺のことを「サガミーノ」と呼んだ。