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複雑・ファジー小説
- Re: ねぇ、信じてよ。 ( No.1 )
- 日時: 2011/05/15 17:27
- 名前: キリア ◆Dl2ahzdhQs (ID: ZTrajYO1)
0.ハジマリ
「お前のせいで」
「お前の嘘で」
「お前のせいだ」
「嘘吐き」
「嘘吐き」
「嘘吐き——」
僕に降りかかる言葉は、全部消える。僕に刺さって、僕も消えそうになる。僕の嘘が、皆を狂わせた。この街を、この世界を、すべてを。
小さく、何も分かっていないのに。何も分かっていない僕に、皆が言葉を突き刺すんだ。
嘘吐き、嘘吐き、嘘吐き。僕が悪いの?
嘘吐き、嘘吐き、嘘吐き。僕のせいなの?
嘘吐き、嘘吐き、嘘吐き。僕のせいなんだ。
嘘吐き、嘘吐き、嘘吐き。僕は嘘吐き。
嘘吐いて、皆に殺されるんだ。
僕のこと、誰も相手にしなくなって。
僕のこと、皆が皆、無視し始めて。
僕のこと、嘘吐き、って呼んで。
僕のこと、殺すんだ。
小さな星の、小さな陸の、小さな街が、壊れた。
僕の吐いた嘘は、妄想。
「ねぇ、聞いて」
「なんだい?ぼうや」
「あのね、この街にはね、悪魔がすんでるんだ」
「本当かい?」
「うん。悪魔がすんでてね、もうすぐこのまちをこわしに来るんだ」
「へぇ、そりゃぁ大変だ。ハハハ」
「しょうこにね、さいきんじしんがつづいてるでしょ?」
「うん」
「それは、悪魔が動いてるからなんだ」
「へぇ」
「もうそろそろ、出てくるはずだよ」
妄想。
運が悪かっただけなんだ。
そのとき——
『ゴゴゴゴゴゴ……』
「な、何だ!?」
「ほら、悪魔だよ!!」
地が揺れた。
地が揺れて、悪魔が着たんだ。
津波という名の悪魔が。
*
「ぷはッ」
僕の目には、いっぱいの水と、街。ぼろぼろの街が、大きく、僕の目を突き刺した。
瓦礫に、ドロに、屋根の一部に、汚れた水に。
「おじさん!?おじさん!!」
「ああ、此処だ」
ぷかぷか浮かぶ、僕とおじさん。おじさんは、怖い顔をして、僕の顔を見ていた。
そして、こういった。
「悪魔だ……!」
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