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複雑・ファジー小説
- Re: ねぇ、信じてよ。 ( No.2 )
- 日時: 2011/05/16 21:12
- 名前: キリア ◆Dl2ahzdhQs (ID: ZTrajYO1)
1.知らない、興味ない。
「ねぇ、知ってる?」
友達の唐突な問いかけに、私は「何」としかいえなかった。
朝のがやがやした教室の中、チャイムがなるのを待つ。女子どうしが固まって、ぺちゃくちゃしゃべり、男子はふざけて走り回る。
後ろを向いて、椅子の背もたれに手をかけてニヤニヤとする友達は、なんとも不気味だった。
名前は、瑠歌。瑠歌は、親友といってもいいほどの友達で、珍説に踊らされやすい。
まさに今、その状況だ。
「私達が幼稚園のころに起きた津波ってさぁ、悪魔の仕業なんだって」
「ふぅん」
興味ないなぁ、とでも顔に書いてあるのか、瑠歌はムッとして、私に語りかけた。
まぁ、正直に興味が無いのだが。
「親戚のおじいさんが言ってた。あの人、嘘は吐かないから」
「へぇ、で?」
「冷たいなぁ。その悪魔がね、何かこの辺に住んでるらしい」
「あっそ」
「……もう美羽には語らないから!」
「いいよ。むしろ嬉しい」
私がこんな態度を取るから、瑠歌はプイっと前に向き直ってしまうのだ。
何にもやることがなくなった私は、騒がしい教室をよそに、しーんとした校庭を、いつまでも見つめていた。
「はーい、ホームルームはじめるわよー」
チャイムより、三分遅れて登場した先生が、手を二回ほど打ち鳴らす。
出席を取るときに、何度も名前を呼ばれたのは言うまでも無いだろう。
何か、ひっかかっていたから。
悪魔?
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