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　何も言わなくなった彼女たちは儚げで美しい。

　動かなくなった彼たちはおぼろげでかわいらしい。

　ただ、身を任せているだけの可愛い、美しい”天使”。

　
　そのせいなのか。名前もなかった自分は「ネクロフィリア」と呼ばれるようになっていた。


　今日も道を歩いてみる。

　行き先も分からず、ただたださまようだけの日々。

　そして”天使”に出会い、彼女たちを空へ送っている時。


　大っ嫌いな者があった。


「何してるの？」

　嫌いな者は言う。自分を否定するようなことを言う。

　それが、いやでしかたがない。

　自分は”天使”たちに目線を送った。

「知ってるよ、送ってあげてるんでしょ？」

　その者は言う。

「なんで、送ってあげるの？　赤の他人なんでしょ？」

　理由は、彼女たちが美しいから。この世界では認められなくても、違う世界なら、認められると思うから。

「ふぅん、でも、つまんないじゃん。この人たちの後のことが分からなかったら尚更」

　自分は首をかしげるが、その者は笑う。

　笑って、自分に聞いてきた。





「ねぇ、幽霊って信じる？」