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複雑・ファジー小説
- Re: Love Call ( No.9 )
- 日時: 2011/07/09 08:54
- 名前: 葬儀屋 (ID: 2cEGTv00)
外が見えない。恐らく、木曜日。
今日、あー君は一人で来ていた。寂しそうだった。
「みんながね、———のこと、きらいって。いっちゃいけないっていわれた……でもね、だいじょうぶだよ。あーくん、まいにちくるよ? ここにくるから……はやく、おうちかえろ」
ごめんね、あー君。
「ううん、いいの。あーくん、おりこうさんでまってるよ」
あー君は笑い、思い出したように肩から下げるカバンをあさりだした。
「あのね、おともだちにおしえてもらったの。うん、このまえいっしょにきてくれたひと……。やさしいよ。でもね、———のこと、きらいだったみたい……ほら、これ!」
あー君が差し出したのは、紙コップだった。赤い糸が通されている紙コップ。
「これでね、いつでも、おでんわできるんだって」
へぇ。いつでもあー君とおしゃべるできるの?
「うん! あーくんももってるんだよ。だからね、もしね———がね、さびしくなったら、あーくんもこれでおはなしするから」
つまり、もうここには来ないということか。
あー君は絶対に連絡するという指切りを自分にさせて、帰って行った。
そう言えば、最近。あー君の口から、お兄ちゃんの話を聞かなくなった。ちゃんとお見舞いいけているのかな。
心配だ。
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