複雑・ファジー小説

Re: 妖異伝 ( No.107 )
日時: 2011/12/29 17:30
名前: 玲 ◆yO06Z/4s8A (ID: PBJobJTc)
参照: 大久しぶりの更新、誠に申し訳ございません。


冥府から手紙が来た。真夜中の丑三つ時であの後、陰陽師の会から帰宅後、晩飯を食べ、風呂に入り無事に布団へと寝込んでから一時間後に。寝ぼけた瞳を手紙の字に焦点を合わせ、羅列を見据える。
内容は、閻魔大王が父親だというのは全て嘘。偶然、ジュンの父親と容姿は瓜二つだった為、母親と共謀しジュンを騙したのだ。怒りを通り越し、呆れで手紙をクシャクシャに丸めて。ゴミ箱へと直行の旅へ導く。

「さあ……寝よう」

布団の中に潜り込み、目蓋を閉じる。






早朝。好い加減そろそろ此処を出て行こう。決意を固めたので前々から準備した〝道具〟を取り出し、裏口からそっと抜け出す。神社の鳥居の前に立ち、鳥居の向こうに続く階段と本殿を見据え、〝道具〟を鳥居の中へ放り込んだ。
凄い勢いの爆発と爆音、それと鳥居を含めた神社全体が一瞬で燃え広がり、炎上する。本殿が次第に黒く炎の中で小さく。中にいた巫女達や、あの神主や陰陽師も即死しただろうか。ふと思う。どちらにしろ、死んでも構わない。くるり、と背を向いた。少年は冷たい眼差しを横目で神社に見据えながら呟く。

「今まで無駄に足止めされたお礼だ。じゃあね」






その後、あの神社がどうなったか。彼の知ったことではない。




(妖の怒りと炎上する神社)