複雑・ファジー小説
- Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜 ( No.10 )
- 日時: 2011/06/18 13:47
- 名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
- 参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/
森の中を抜けて少し歩いていくと…。
「わぁ…! 本当に、お菓子の町…!」
板チョコを屋根にし、壁には色々とデコった家々がずらりと並んでキラキラと宝石のように光って輝いているように私は見えた。
道も綺麗なカラフル色の板チョコが敷いてあって本当に綺麗。
そして多くの店もあって人盛りで凄くにぎわっている。
色々と周りを見ていると、ここの住人の人なのか女性が話しかけてきた。
「あら? 貴方は見かけないような人ですが、貴方の名前は?」
「え、あ…。わ、私は『白ずきんちゃん』と呼ばれている…赤島ハクです」
少しおどおどしながら答えると、その女性の人は「まぁ !!」と少し驚いた声を上げた。
「珍しいですわ、貴方『名持ち』の方でしたのね」
「名持…ち?」
ニコッと女性は笑顔を見せて続けて言った。
「そうです、貴方みたいな可愛らしい方が『名持ち』だなんて羨ましいですわ」
「あの、それはどう言う意味で…?」
私の言葉に「あらあら? 知らないと言う事は、世間も忘れた眠り姫のようですわね」と言って少し驚いていた。
その後、少し微笑んで優しい声で女性は言う。
「『名持ち』と言うのは、この世界では貴重なものなんです。私と同じ『名を持たない者』は…例えば男の人の場合を呼ぶ時は「彼」や私達女の人の場合は「彼女」と括られているんです」
「え…!?」
自分自身驚いてしまった。
だって、私の世界では名前なんて誰でもあるのにこの世界では—— 名前が無い者なんて存在するなんてありえない。
「ワンダーランドなんて、そう言うものですよ」と女性は少し苦笑していた。
どうしてそう言うのだろう。
私にとってそう言って笑う人なんて—— ただ、悲しいだけなのに。
「あ、あの…」
声を振り絞って小さく言うけれども、彼女はそれに気付いてない。
私は勇気を振り絞って大きな声で言った。
「—— あの !!」
「—— !」
行き成りの大きな声に女性はキョトンとした顔でこちらを見続ける。
それはそう、行き成り大きな声で言われたら誰だってそう言う顔をする。
「あ…い、行き成り声を上げてごめんなさい。…でも、名前が無いなんて私にとって—— 凄く悲しい事だと思います」
やっと言えた、自分の言いたかった事。
その言葉を聞いた女性は少し悲しそうな色を見せて私に言った。
「…貴方、凄い子ね。私たちの事、そう思ってくれる人なんていなかったのに。…本当に“白髪が綺麗で顔立ちも良い白ずきんちゃん”、ね」
「—— !」
さっき言われたばかりのメトロの言葉と同じで私自身ビックリした。
女性は「フフフ…」とさっきまでの悲しそうな色を忘れたかと言うように私に笑い返していた。
「あ、あの…」
「言わなくていいわ、白ずきんちゃん。貴方のような子と会って、私自身凄く幸せよ。貴方は一言で「天使」と言うべきかしらね?」
そう言って女性は「はい」と言ってスッと小さな袋を私に差し出す。
「これは…?」
「これは私が作ったクッキーなの、良かったら食べてね」
そう言って女性は笑った後、にぎわった人の中へと消えて行った。
私は少しその場でポカンとしていたけれど、我に返る。
「あ……。お礼、言ってなかった…」
ふと、渡されたクッキーの袋を見てみると凄く綺麗な水色で水玉模様が散らばっている。
その袋からはかすかに—— ミントクッキーのいい匂いが私の手の上で小さく漂っていた。
第6話「名持ちとクッキー」
