複雑・ファジー小説
- Re: 白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜 ( No.11 )
- 日時: 2011/06/22 21:13
- 名前: 龍宮ココロ (ID: 6xS.mLQu)
- 参照: http://yaplog.jp/yukimura1827/
「これ、本当に美味しい…」
さっき貰ったばかりのクッキーの袋を開けて一枚、私はかじってそう言った。
香ばしいミントと優しく優雅な甘さが口の中に広がって、喉を潤すような感じになる。
そんな私は今、店のあちこちを出回っている。
「こんなに人がいるものだから入り難いだろう…」と思っていたけれど、案外意外にも入れた。
でも、私が心の中で「これが欲しい !」という物が無くて少し残念。
そうして今に至る。
二枚目のクッキーをかじると、ふと何処からかオルゴールの音が聞こえる。
「あれ…オルゴールの音…」
久々に聞くオルゴールの音。
私はハッとし、少し大きなフルーツバスケットの中をゴソゴソと探すと——それはあった。
「あった、お母さんから貰ったオルゴール」
だけども、そのオルゴールは凄く昔な物で今では音も出せなくただ雑音が流れていた。
「丁度いいな〜」と私はそう思ってオルゴールが聞こえる店を探す。
けれどそんなに探す手間は無かった。
すぐ傍の所にふと目を向けたら、「Music box 双子屋」という看板が置いてあってしかも店自体が綺麗。
もしかしたら店よりも家の方がしっくりとくるほど。
ドアは綺麗な浅葱色のドアで可愛くおしゃれな感じの雰囲気が漂う。
私はすぐにドアノブに手をやり押すと、カランカランと鈴の音が店の中へと響く。
「あ、あの…失礼します…」
だけど、店には人はいなくただオルゴール全てが待ちわびていたようになっているだけ。
綺麗な音楽が私を待っているだけで人の気配も本当にない。
「…留守なのかな?」
私は少し首を傾げていたその時、カランカランと鈴が鳴って——。
「あれ? お客さん、あともう少しで開店なんですけど…何故中に?」
「—— !」
少しビクついて振り返ると—— 茶髪で活発な男の子と言う感じの髪型、綺麗な緑の瞳をし童話の世界でよく農業の息子とか着るような服装をして箱を持っている男の子がいた。
多分自分よりは少し年上な…はず。
「あ、あの…ご、ごめんなさい !! 開店していなかったのに…気付かずに入ってしまって…」
オドオドとした私を彼はポカンとして見てたけれどもすぐにクスクスと笑った。
「お客さん、初めて来た方だね。そりゃ開店はまだかどうかは分らないからね」
「あ…えっと…その…」
「上がってどうぞ、お客さん。初めて来た方は大歓迎だよ」
そう言ってすぐにカウンターの横を通り過ぎて「どうぞ」と言うので、私は少し遠慮がちで付いて行く。
付いて行った先にはシンプルな黒いドアで、中に入ると明るい日の光を存分にそして優しく浴びられる綺麗な白い部屋。
「わぁ…綺麗」
私の一言にニコッと彼は笑った。
「そうですか? ありがとうございます。一応、ここはオルゴールの相談室なんですけどね」
「オルゴールの…相談室?」
きょとんとする私に彼は少しクスッと笑う。
「そう、ここではねオルゴールの修理とかする時に持ちかけた人から「いつ・何処で・誰から貰って・いつ壊れたか」を聞く部屋なんだ。君もオルゴールを直して欲しいから来たんでしょ?」
あまりにもズバッと当ててしまう彼に私は少し頷いていると彼は「あっ !」と言って私の方を見る。
「君の名前、聞いてなかったね。僕は「Music box 双子屋」の『グレーテル』こと路座間グーレン」
「よろしくね」とにっこりグーレンは笑う。
「『グレーテル』…、やっぱりここは「ヘンゼルとグレーテル」の童話なんだ…!」と心の中で思いながら彼の言葉を返す。
「わ、私は『白ずきんちゃん』と言われている赤島ハク…です」
「—— !君、『名持ち』なんだ !」
パァァァァ…と彼からそう言う雰囲気が漂う。
「しかも聞いた事が無い名前だから…あ、君もしかして余所者?」
私はただコクンと頷く。
グーレンは「余所者かぁ ! 珍しい !」と言ってはしゃいでいた。
「僕は何てラッキーなんだろう ! あ、ちょっと待ってて今アップルティーを入れるから」
にっこりと笑う彼。
でも、そんな事しなくてもただオルゴールを直す為に私は来ただけ。
「あ、で…でも」
と、私が言っても彼は「大丈夫、相談受けるから待ってて」と言って私を白い部屋に置いて行った。
第7話「オルゴール屋」
